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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」第767号 2020年8月21日発行

エッ!また仕事が増えるの?!

自校献立食材の契約・支払事務が事務職員に?

学校の「働き方改革」はやっぱり学校事務職員への労働強化に過ぎないのか? 
 
 来年4月から給食費の公会計化が導入されます。
 給食費はこれまで校長の「私会計」として徴収・管理されてきましたが、公会計化(公費扱いとなり市の歳入となる)後は徴収や入金確認、未納対応等を市教委が行うこととなり、給食費徴収に係る教職員の負担軽減につながるとされています。私たちも、学校における給食費の徴収業務が軽減されるとすれば望ましいことと考えます。
 しかし同時に、小学校で行っている「自校献立」の食材費も「私会計の給食会計」から「公費」からの支出となり、その契約・支払は財務会計システムにより行うことになるとされています。これは学校業務として残るものであり、その事務担当の所在が問題となります。
 このほど、川崎支部が労使窓口折衝で情報提供を求めたところ、市教委当局はこの担当者について“各校の校務分掌として学校長のもと決めてもらう考え”であることがわかりました。
 現状では、自校献立食材の契約・支払は栄養教諭・学校栄養職員が行っているものです。他方で、現在学校で財務会計システムによる契約・支払事務を行っているのは基本的に事務職員のみです。こうした状況下で、栄養教諭・学校栄養職員に向けて財務会計システムの操作方法説明の機会も設けられずただ“校務分掌で”とされれば、事務職員に割り振られることになるのは火を見るよりも明らかです。事務職員への新たな業務の導入であり、業務負担増大・労働強化に他なりません。
 川崎支部は8月7日付で下記の通り申入書を提出。事務職員への業務負担増大に反対します。
 7月17日には文科省が教員と事務職員それぞれの標準職務例を通知しましたが、そこにあったのは「学校における働き方改革」の名のもと、ひたすら教員の業務負担を事務職員に転嫁する内容でした。川崎市における給食費公会計化も「教職員の働き方・仕事の進め方改革」の一環です。「働き方改革」とは結局は特定職種への仕事の押し付けなのか!と声を大にして訴えます。

給食費公会計化に関する交渉申入書
 
 私たち学校事務職員労働組合神奈川は学校事務職員の労働条件改善に向け、様々な取り組みを進めています。学校事務職員の業務課題は、私たちが日々健康に働き続けるうえで欠かすことのできない、労働条件上の課題です。
 貴職はこれまで、学校事務職員に関係する新規業務導入や業務手続き変更にあたっては、当組合との間で交渉により相互理解を積み重ね、業務負担増大や不合理性といった指摘について課題・懸念の解消に努め、必要に応じて内容修正も含め対応してきたところです。
 さて来年度より、学校給食費の公会計化が導入されます。これは2019年2月の「教職員の働き方・仕事の進め方改革の方針」に基づくものと認識しています。公会計化により給食費の徴収業務が軽減されるとすれば、たいへん望ましいことと考えます。
 しかし一方で、公会計化に伴い自校献立の食材が公費からの支出となることで、食材の契約・支払は財務会計システムにより手続きを行うことになるとされています。これについて健康給食推進室は「公会計化導入後の自校献立実施にあたっては、これまで必要ではなかった契約書の作成や各事務におけるシステムでの処理など事務量が増え煩雑になる」との認識を、18年12月給食主任会配布資料において示しています。
 しかるに近日の労使窓口折衝で本件につき情報提供を求めたところ、財務会計システムによる手続きの担当者について、“各校の校務分掌として学校長のもと決めてもらう考え”とする健康給食推進室担当者の見解が伝えられました。
 現在、自校献立食材の契約・支払は栄養教諭・学校栄養職員が行っているところです。他方、現在学校において財務会計システムによる契約・支払手続きを行っているのは基本的に事務職員のみです。こうした中で、栄養教諭・学校栄養職員に向けて財務会計システムの操作方法説明の機会も設けずただ“校務分掌で”とされれば、操作方法を把握している学校事務職員に自校献立食材の契約・支払手続きが割り振られることになるのは明らかです。これは学校事務職員への新たな業務の導入であり、業務負担増大・労働強化に他なりません。
 このことを踏まえ、以下のことを求めます。
 
 
1.自校献立食材の契約・支払事務担当者に学校事務職員を充てないこと。このことについて、全校に徹底すること。
 

 

7/17文科省「標準職務例」通知の「意味の取り方」

 
 文科省は7月17日、「事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について(通知)」並びに「教諭等の標準的な…(以下同文)」の2本の通知を発出しました。両通知は「参考例」という位置付けのもと、事務職員と教員それぞれの「標準的な職務」を示したほか、事務職員通知では加えて「積極的に参画する職務」も提示しています。
 両職種の標準職務の明確化は、中教審が19年1月25日に出したいわゆる「学校における働き方改革」答申に盛り込まれ、当初は19年3月末までに提示することとなっていたものです。予定から1年以上遅れての策定となります。
 ここでは事務職員通知と教員通知を読み合わせ、その背景も踏まえた「意味の取り方」を記します。
 まず大前提として、両通知はいずれも前述の中教審答申を踏まえたものですが、その中教審での論議の大半は終始あくまで“教員の”働き方や職務のあり方でした。そもそも論議自体、教員の長時間労働問題に端を発しており、事務職員の労働環境や業務負担の軽減という観点は、答申の中で一切出てくることはありません。
 また両通知の文書番号に着目すると、教員通知が「2初初企第14号」であり、次いで事務職員通知が「2初初企第15号」と続いています。このことは、教員の標準職務例がまず先にあり、それを前提として事務職員の標準職務例がある、ということを示しています。
 通知発出に至る経緯を踏まえると、今回の事務職員標準職務例は本質的には、教員の標準職務明確化を図るうえでその範囲から外れる業務を事務職員に転嫁するために、教員の標準職務例通知の付属物として策定されたものに過ぎないと解します。事務職員通知のみを取り上げてそれを独立した標準職務例や「積極的に参加する職務例」と受け止めるのは誤りであり、事務職員の働き方や仕事のあり方とはまったく無関係に、教員向け施策に付随して策定されたものに過ぎません。
 しかしその程度の軽さは、同時に事務職員に対する要求の苛烈さとして表れます。教員の業務のみならず、中教審で「学校以外が担うべき」とした業務まで……と、ここで紙幅が尽きました。
 まずは、文科省「標準職務例」は事務職員の実態を一顧だにせず策定された代物に過ぎず、こんなものを理由に私たちの働き方が左右されてはならない、ということを確認しておきます。
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