ニュース「学労川崎」836号(2026年10月16日発行)
人事委員会「給与報告及び勧告」
基本給・ボーナスとも引上げ勧告
2026年度人事委員会給与勧告概要(学校事務職員関係)
〇基本給:初任給9,500円引上げの他、中堅層以上について前年を上回る引上げ(対民間較差3.01%・13,219円の解消)
〇ボーナス:年間0.05月分引上げ4.70月(期末と勤勉それぞれ0.025月分引上げ)
川崎市人事委員会は10/6、今年度の「職員の給与に関する報告及び勧告」を公表。上記の通り給与改定の勧告を行いました。
人事委員会による給与勧告制度は、地方公務員に対する労働基本権(協約締結権やスト権)制約の代償措置と位置付けられているものです。
人事委員会は民間企業における賃金実態等を調査の上、職員の賃金に関する報告・勧告を行います。これを受け、市当局と労働組合(職員団体)との間で賃金確定交渉が行われ、そののちに市議会に変更が提案されて所要の条例改正等が可決されることで、今年度の私たちの賃金が確定する仕組みです。
長時間勤務是正や人材確保の本気度質す
翌7日の勧告内容説明会で学労川崎は、人事委員会事務局に対し主に次の点を指摘しました。
▽長時間勤務是正の項目で示されている時間外勤務実態が、なぜ“480時間”超の人数なのか。人事委員会規則や36協定上の時間外勤務上限は“360時間”であり、それベースで論じるべきだ。労働基準監督機能を担う人事委員会がこれでは、長時間勤務是正の本気度が疑われる。何のための規則、何のための協定なのか。来年の勧告では改めるべきだ。
▽会計年度任用職員固有の課題への言及があったこと自体は良かった。来年以降、臨時的任用職員固有の課題への言及も求めたい。初任給経験年数加算上限や月途中任用時の手当支給、退職手当支給月数の問題など、実質的に臨時的任用職員固有の課題は多い。
▽「人材確保」の具体の筆頭が「効果的な採用広報活動」というのはいかがなものか。それよりもまず労働条件の向上。具体的には、①賃上げ ②時短や業務負担軽減 ③休暇制度改善。特に休暇制度改善は他に比べて、コストも時間もかからず実現可能なこと。子の看護等休暇の年齢引上げ、時間年休制限の撤廃、育児休暇の時間延長などを進めることが、広報活動より先決だ。
賃金交渉~臨任給与上限撤廃の早期実現を!
賃金確定交渉が始まります。学労川崎は8/4提出の賃金要求書への回答と当局提案を待ち受け、要求実現・賃金引上げ等を目指します。
とりわけ、前号で詳報した初任給経験年数加算上限=臨任・任期付職員の給与上限撤廃の早期・確実な実現を強く迫ります。皆さんもぜひともに!
川崎市教委の二枚舌 市内での説明に反し
文科省には「共同実施を全校実施」と回答
文科省が3月に公表した「令和7年度教育委員会における学校の働き方改革のための『見える化』調査結果」。調査項目には「学校事務の共同実施をしている」か否かを問うものがありました。
同様の項目は前年までもあり、川崎市教委は「検討中」と回答してきました。実際に現時点で実施されておらず、学労川崎との交渉でも「検討」と回答してきました。時折誤解される相互支援事業は、「共同実施に当たるものでもなく、共同実施を目指すものでもない」と、市教委当局は一貫して明言しています。
しかし今回の調査では共同実施について「実施」と回答。さらに続く「どの程度の学校で取り組んでいますか」との項目に対して、「全ての学校」とも回答していました。相互支援事業には例年2割超の事務職員が参加しておらず、やはり当てはまりません。学労川崎は5月、「何を指してそう回答したのか皆目見当がつかない」と指摘。説明を求めました。
しかるに市教委当局は、
▽文科省から学校事務職の加配を受けていること
▽全校が参加可能な「学校業務相互支援事業」を実施し、そこで学校事務職員相互の支援などを行っていること
▽相互支援事業は共同実施を目指すものではないが、学校間で連携している取組は共同実施の趣旨に通じる側面もあること
を理由として「取組実態を踏まえた整理のもとで『実施』と回答した」と説明しました。
意味がわかりません。内部では「共同実施ではない」としている事業の実施を理由に、外部には「共同実施をしている」と回答するのは、まったく筋が通りません。「加配を受けている」に至っては、事実を曲げる理由にはなりません。ぶっちゃけて言えば、「やってることは共同実施でもそれを目指すものではないんだけど、加配もらっちゃってるし趣旨が通じるところがあるから、文科省調査には『実施』ってことにしました」としか捉えられません。
学労川崎はなお追及。しかし当局は「文科省調査における『共同実施』の定義が必ずしも明確でない」としたうえで、「共同実施の趣旨に通じる側面もある」との説明を繰り返すにとどまりました。
内部での説明と外部への回答の不一致。川崎市教委の対応は「二枚舌」のそしりをまぬかれず、川崎市教育行政の信用を損ねるものです。さらには、文科省調査結果全体の信頼性をも損ねるものです。学労は文科省への回答修正を求めましたが、市教委当局は応じませんでした。
はなはだ残念な経過ですが、学労の一連の指摘とこの事実の公表が、信頼回復の第一歩、自浄作用につながることを願います。
学労川崎このかんの動き~記事にならなくてもいろいろやってます
■対市教委交渉
・10/5(「事務職員の在り方」、学事課諸課題)
■労使窓口折衝(トピックス)
・ハラスメント問題
・研修派遣の労働条件性
・人事評価賃金反映の制度周知
・課長補佐級職員の人事
・年休繰越の誤算定
先々記事にするかもです
【連載コーナー】
2文で回答・続きはwebで
このコーナーは仕事上の素朴な疑問に2文で“結論のみ”回答します。理由や意味を解説する“続き”は、本紙本号web版をご覧ください。
Q:保険料控除証明書や住宅借入金控除申告書、学校でコピーを保管すべきもの?
↓
A:すべきではありません。必要性のないコピー保管は法律違反になりえます。
(以降webでの続き)
年末調整の時期になりました。保険料控除証明書や住宅借入金特別控除申告書は原本を給与厚生課に提出しますが、中には学校でそのコピーをとって保管している例があるようです。
異動したら過去分が保管されていた、という話は複数見聞きします。またその影響か、職場の教員から「去年の証明書のコピーを見せろ」「なんで取っといてないんだ」と言われた事務職員もいます。
しかし考えてもみましょう。それら証明書や申告書の「コピー」があったところで、それ自体はなんの証明にも申告にもなりません。申告自体は職員情報システムに入力するのだし、証明書は原本でなければいけません。コピーをとって保管しても、何の意味もなさないのです。また言うまでもなく、職場の教員が去年何を申告したか、どんな保険に入っているか、そんなことは自己管理の問題であり、こちらで保管し面倒見てあげることではありません。
問題は単に「不要」というだけにとどまりません。保険料証明書や住宅控除申告書には個人情報が記載されています。そうした書類を必要もないのに保管することは、個人情報保護法に違反してしまいます。
同法は行政機関に対し、個人情報の保有は所掌事務又は業務の遂行に必要な場合に限るとし、また利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有してはならないとしています。「なんとなく」「念のため」「前例踏襲」「来年教員から求められるかもしれないから」といった理由でのコピー保管が、業務の遂行や利用目的達成(年末調整で言えば申告)に必要な場合・範囲から逸脱していることは明らかでしょう。
というわけで、コピー保管は「する必要がない」ばかりか「すべきではない」ということになります。もし職場に過去分があるようでしたら、すぐシュレッダーすることをお勧めします。ただし、誤って休業者代行申請用で学校保管している原本申告書を一緒に廃棄しないようご注意を。
個人情報記載書類の扱いは年末調整関係書類に限った話ではありません。むやみなコピー保管全般を見直してみましょう。それは情報流出リスクを減らすとともに、私たち自身のひと手間が減ること=業務改善にもつながります。
(文責:伊藤)
【参考】個人情報の保護に関する法律
第六十一条 行政機関等は、個人情報を保有するに当たっては、法令(条例を含む。第六十六条第二項第三号及び第四号、第六十九条第二項第二号及び第三号並びに第四節において同じ。)の定める所掌事務又は業務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用目的をできる限り特定しなければならない。
2 行政機関等は、前項の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない。
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