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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」第763号 2020年5月18日発行

異動年数基準アンケートへのご回答 ありがとうございます

勝ち取った交渉権を手に「人事異動実施要領」めぐり申し入れ

 

市教委当局の不当な交渉拒否を突破

 川崎市教委当局は2018年8月、毎年度策定する「教職員人事異動実施要領」において、学校事務職員を異動対象とする年数基準をそれまでの7年から3年に大幅に短縮する内容を盛り込みました。学校事務職員に頻繁な異動=勤務先変更を強いる労働条件の不利益変更でありながら、労働組合との合意はおろか事前提案も交渉も行わない一方的な決定でした。
 私たちがくろう神奈川川崎支部は直ちに、頻繁な異動により業務負担増大を強いるものである内容面、そして労働組合との合意も交渉もないまま一方的に決定された手続き面の両面から強く抗議し、撤回を求め労使交渉を申し入れました。しかし当局は、人事異動年数基準は労働組合と交渉する事項ではなく撤回も必要ないと主張し、以降1年半近くにわたり正式な交渉を拒否し続けました。
 こうした当局の言い分に対し、最大組合の川教組はなんら反論せず交渉要求を放棄し、この不利益変更を受け入れてしまいました。
 一方川崎支部は当局の交渉拒否を突破すべく、法令上の根拠や他都市の事例を提示し、また市人事委員会への措置要求も行うなど、粘り強く取り組みました。その結果、当局は今年2月に交渉拒否の誤りを認め、今後は誠意をもって交渉に応じると明言するに至りました。
 

自ら勝ち取った交渉権で基準改善迫る

 私たちの取り組みの結果、人事異動実施要領は労使交渉を経て決定されることとなりました(やるかどうかはともかくとして、川教組も交渉できることとなります)。次の目標は、異動年数という内容面の改善です。川崎支部はこのほど《「教職員人事異動実施要領」に関する申入書》を提出。交渉で改善を求めていきます。
 しかし年数基準について当局はこれまで、ひとつの学校に長く勤務することで進められる改善を「3年になると出来なくなるというものではない」と述べ、また学校運営に携わる校長・教頭・事務の3人中2人が同時に変わる事態が増えることが学校運営上良いことかとの問いに「良いことだ」とするなど、無責任に発言を繰り返しています。今年1月の交渉でも異動年数の短縮を「事務職員にとって不利益ではないと考えている」と決め付けるなど、市教委の認識と現場の実態や思いとでは大きな隔たりがあります。
 しかし不利益かどうかは当事者が決めることです。川崎支部は2月から3月にかけて、学校事務職員に向けて「人事異動の年数基準に関するアンケート」を実施。50通の回答が寄せられました。
 このうち、異動年数基準の短縮を不利益だと思うかとの問いに対しては、7割が「不利益」と回答しています。また、異動しなければならない対象となる基準として望ましい年数(原則/最長)の問いに対しては、平均でおおむね6年/8年という結果でした。個別に見ると、「不利益だと思わない」と回答していても望ましい年数については現行の3年/5年より長い年数を記入している方がほとんどで、圧倒的多数が「現行基準は短すぎる」と認識していることがわかりました。
 自由記述では、「効率が悪くなり働き方改革に逆行」「3年で異動なら腰掛程度の仕事で良いという意味になる」「学校に精通出来ず信頼が得られない」「長期計画での業務が出来ない」「育児がある中生活への影響が大きい」などなど、多くの声が寄せられました。特に多かったのは「学校現場のためにならない」「一般行政の課間異動と同じに考えないで欲しい」という声でした。
 川崎支部は学校事務職員の労働条件改善を担う唯一の労働組合として、現場当事者である皆さんの声を当局に届け、異動基準改善を求めていきます。最後になりますが、アンケートへご回答いただいた皆様、ありがとうございました。
  
「教職員人事異動実施要領」に関する申入書
 
 私たち学校事務職員労働組合神奈川は、学校事務職員の労働条件改善に向け、様々な取り組みを進めています。人事異動についても重要な労働条件にあたるものです。
 貴職は従来、人事異動の取扱いの変更等に際しては組合との誠実な交渉を積み重ね、合意をみてきました。しかしながら、2018年8月に出された「人事異動実施要領」をめぐっては事務職員の人事異動対象年数の大幅な短縮など著しい不利益変更を伴うものでありながら、当組合との合意はおろか事前の提案もないまま決定が強行されました。少数職種である学校事務職において頻繁な異動は業務負荷を高めるものであり、労働条件の一方的な改悪に他なりません。
 さらに貴職は、その後においても1年半近くにわたり当組合の正当な労使交渉申し入れを不当に拒否し続けました。交渉拒否をめぐっては昨年11月、市人事委員会が当組合の主張を全面的に認め「交渉の対象」とする判定を示し、貴職も今年2月にようやくその過ちを認めたところです。
 人事異動の基準は、地方公務員法で言うところの「勤務条件」でありかつ同法に基づく交渉事項に当たります。そうした基準の変更において、組合への提案と労使交渉が行われなかったことは必要な手続きを欠いたものであり、ひいては現行の「人事異動実施要領」自体も正当性を欠くものです。
 このことを踏まえ、来年度の「教職員人事異動実施要領」の策定に当たっては正当性を欠く現行要領を前提とせず、それ以前の要領を出発点に位置づけるとともに、学校事務職員当事者の願いを背景とした当組合の要求に沿った決定をするよう求めます。
 
 
1.「人事異動実施要領」の策定・変更にあたっては、労使合意を前提とすること。
2.学校事務職員の人事異動対象年数について、従前基準かつ教員と同じ「原則7年・最長10年」をベースとして改善すること。
3.人事異動を昇格の条件としないこと。職階により異動の取扱いに差を設けないこと。
以上
(2020年5月15日付提出)
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