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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」第778号 2021年6月28日発行

人員削減・外注化を意図する「全庁業務量調査」を批判する

 
 5/31、総務企画局デジタル化推進室は全庁に対し「デジタル化の実現に向けた全庁業務量調査の実施について」依頼文書を通知。6/1にはこれが教育委員会庶務課より学校に転送されました。戸惑いを覚えた学校事務職員も多いことと思います。
 この調査は、《行政手続のオンライン化等の「デジタル化」を実現するため、業務プロセスそのものの見直しを図る「業務プロセス改革」を推進する》としたうえで、業務のプロセスや性質、量を可視化しデジタル化に向けた業務プロセス改革の取組を推進するため、コニカミノルタ㈱の《調査・分析ノウハウを活用して無償にて全庁業務量調査を実施》するとしています。
 降って湧いたような「業務プロセス改革」。その説明もなく突然「推進することとしております」と言われてもなんのことだか。いやいや、学校という職場は本庁の動きから取り残されがちなところがあるから知らないだけで(だとすれば知らせない教委事務局も悪いが)、きっと全市的には知らぬ者のない目下の重点施策なのかな?と思って調べてみましたが、21年3月発表の「川崎市働き方・仕事の進め方改革推進プログラム」において、実に95個ものトピックスのうちのひとつとして「原則オンライン化等に向けた業務プロセス改革の推進」が見付かった程度。うーん…。知らぬ者は学校以外でもたくさんいそうです。
 さて問題の調査の中身。ご承知の方も多いかと思いますが、まずあらゆる業務についてその全作業を最大限細分化してそのひとつひとつについて業務の性質や作業時間を記載せよ、との指示が徒労感を誘います。記載要領の例に従えば、例えば予算委員会ひとつ取っても8つ程度の作業に分けて記載することになります。これを全業務についてやるのですから、キリがないしバカバカしい。
 そのうえ性質調査では《正規職員が行う必要があるか》《正規職員が行う理由は何か》を、その業務を担っている当の職員に対して示せと迫っています。こうした問いかけは「業務プロセス改革」の先に、正規雇用職員を減らして非正規雇用への転換を進め、あるいは民間企業への外注化を進める意図があることを明瞭に示すものです。回答自体が自分の墓穴を掘る行為になりかねません。
 そもそも、公務であれ民間であれ使用者が業務に従事させる労働者を正規雇用することに理由が必要なのでしょうか?労働者の雇用環境を劣化させ続け貧困を広めてきた日本大企業の雇用観を、私たちの職場に持ち込むことは許せません。
 今回「無償で」調査を行うコニカミノルタはITソリューションを中核事業とし、関連会社では人材派遣も行っています。調査で得られる業務プロセスは営利事業上格好の情報。「タダより高いものはない」。その陰で私たちの職場の人員や労働条件がさらに切り下げられようとしています。
 がくろう神奈川川崎支部は「全庁業務量調査」を厳しく批判し、「デジタル化」に乗じた人員削減・外注化等の行政合理化に強く反対します。  
 

 

今年も人事異動年数基準の改善を要求 交渉へ

 

不法な交渉拒否を突破した川崎支部

 川崎市教委当局は2019年4月の人事異動より、学校事務職員を異動対象とする年数基準を教員と同じ7年から、3年に大幅に短縮させました。学校事務職員に頻繁な異動=勤務先変更を強いる不利益変更でありながら、労働組合との合意はおろか事前提案も交渉もない一方的な決定でした。
 私たちがくろう神奈川川崎支部は、頻繁な異動で事務職員に負担増大を強いる内容面、労働組合との合意・交渉なき一方的決定という手続き面の両面から強く抗議。撤回を求め労使交渉を申し入れました。しかし当局は、人事異動年数基準は労働組合と交渉する事項ではないと主張し、以降1年半近くにわたり正式な交渉を拒否し続けました。
 この当局の言い分に対し、最大組合の川教組はなんら反論せず(できず)交渉要求を放棄し、不利益変更を受け入れてしまいました。
 一方川崎支部は粘り強く取り組みを続け、法令上の根拠や他都市の事例を積み上げ、市人事委員会より「交渉の対象」とする判定を引き出すことに成功。その結果、当局は昨年2月にそれまでの交渉拒否の誤りを認め、今後は誠意をもって交渉に応じると明言するに至りました。
 

現場当事者の声を労働条件に反映させよう

 これを受け昨年8月には21年4月異動に関わる労使交渉を持ちました。しかし当局は異動年数基準の改善要求に対して全く応じない「ゼロ回答」。川崎支部は、多くの事務職員が年数基準短縮を不利益だと受け止めている実態を突きつけましたが、当局は「負担ではあるかもしれないが不利益とはちょっと違う」と主張しました。
 しかし、不利益かどうかは当事者が決めること。川崎支部には「育児がある中生活への影響が大きい」「行政の課間異動と同じに考えないで欲しい」といった声が寄せられています。異動すなわち勤務場所変更を意味する学校事務職員の受け止めを、明治安田ビルの同じ階の中でも異動は異動となる当局が勝手に決めつけるな!という話です。ちなみにこの交渉に出席した当局者は今年4月、いずれも明治安田ビルの中で異動しています。
 要求なくして改善なし。川崎支部は学校事務職員の労働条件改善を担う唯一の組合として、今年も5/14付で申入書を提出。昨年以上の交渉体制で、異動年数基準改善を目指します。皆さんも私たちとともに、現場の声を訴えていきましょう。
  
「教職員人事異動実施要領」に関する申入書
 
 私たち学校事務職員労働組合神奈川は、学校事務職員の労働条件改善に向け、様々な取り組みを進めています。人事異動についても重要な労働条件にあたるものです。
 貴職は従来、人事異動の取扱いの変更等に際しては組合との誠実な交渉を積み重ね、合意をみてきました。しかしながら、2018年8月に出された「人事異動実施要領」をめぐっては事務職員の人事異動対象年数の大幅な短縮など著しい不利益変更を伴うものでありながら、当組合との合意はおろか事前の提案もないまま決定が強行されました。少数職種である学校事務職において頻繁な異動は業務負荷を高めるものであり、労働条件の一方的な改悪に他なりません。
 さらに貴職は、その後においても1年半近くにわたり当組合の正当な労使交渉申し入れを不当に拒否し続けました。交渉拒否をめぐっては19年11月、市人事委員会が当組合の主張を全面的に認め「交渉の対象」とする判定を示し、貴職も20年2月にようやくその過ちを認めたところです。
 人事異動の基準は、地方公務員法で言うところの「勤務条件」でありかつ同法に基づく交渉事項に当たります。そうした基準の変更において、組合への提案と労使交渉が行われなかったことは必要な手続きを欠いたものであり、ひいては現行の「人事異動実施要領」自体も正当性を欠くものです。しかしながら貴職はそうした反省意識を欠いたまま、21年4月人事異動にあたっても不法のもとに強行した基準を維持したことは容認できません。
 当組合が昨年実施したアンケートでは、多くの学校事務職員が人事異動対象年数の短縮を「不利益」と回答。自由記述では、「効率が悪くなり働き方改革に逆行」「学校に精通出来ず信頼が得られない」「長期計画での業務が出来ない」「育児がある中、生活への影響が大きい」「学校現場のためにならない」といった声が寄せられています。
 このことを踏まえ、来年度の「教職員人事異動実施要領」の策定に当たっては正当性を欠く現行要領を前提とせず、それ以前の要領を出発点に位置づけるとともに、学校事務職員当事者の願いを背景とした当組合の要求に沿った決定をするよう求めます。
 

1.「人事異動実施要領」の策定・変更にあたっては、労使合意を前提とすること。
2.学校事務職員の人事異動対象年数について、従前基準かつ教員と同じ「原則7年・最長10年」をベースとして改善すること。
3.人事異動を昇格の条件としないこと。職階により異動の取扱いに差を設けないこと。

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