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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」第777号 2021年5月14日発行

今年も酷い!賃金差別と分断の昇格発令

90年代採用50代~40代後半を置き去りにして06年採用30代に4級昇格発令 
 

客観基準無視の不透明・恣意的な昇格発令

 がくろう神奈川川崎支部は「昇格」に対して従来より一貫して、◎昇格は賃金改善である ◎賃金は公平に分配されなければならない ◎ゆえに昇格も誰もが公平に発令されるべき ◎そのため年齢順の発令を、との立場を取り、年齢や在職年数といった公平で客観的な基準による発令を要求してきました。
 昇格基準をめぐっては、県費負担職員時代は相当程度、年齢・在職年数といった客観的要素に応じて設定され、また運用されてきました。少なくとも、採用13年目に県4級(現在の市3級に相当)、40代後半から50歳頃に県5級(現4級相当)昇格というのは、誰もが適用されてきた学校事務職員の昇格であり賃金カーブです。長らく差別的な運用が続いた県6級(現5級相当)についても川崎支部の取り組みの結果、定年まで勤めればほぼ全員が昇格する状況を作り出してきました。
 しかし給与負担の市費移管に伴い川崎市教委当局が設けた新基準は、年齢や在職・在級年数といった客観的な基準の要素が大きく後退し、校長の推薦の有無や推薦書・内申書上の評価、そして市教委当局による選考という主観的要素の影響が格段に色濃くなったものでした。
 そして実際、新基準後は年齢・在職年数上位者を大幅に飛び越す恣意的な昇格発令が横行。今年4月の発令も同様で、90年代採用の50代~40代後半職員が何人も3級に留め置かれる一方で、06年採用30代に4級昇格が発令されました。
 06年採用30代の4級昇格発令は昨年の川教組事務職員部長への発令に続き2年連続で、06年採用からの4級昇格は実に4人目になります。また、40代ながら07年採用職員にも4級昇格が発令されました。県費負担職員時代では考えられなかった、差別賃金構造が生まれています。
 なお、こうした若年昇格者はいずれも川教組組合員のようですが、その一方で同じ組合員の中でも長く3級に留め置かれる組合員が少なくありません。川教組事務職員部は「真面目に働いている者が報われるような選考」なる要求を謳っていますが、昨年は元部長が5級、現部長が4級にいずれも若年で昇格しています。
 差別賃金構造を放置し役員が率先して甘い汁を吸いながら、賃金の問題を「真面目に働いている」云々といった個人の姿勢・能力・資質の問題に切り縮め矮小化する川教組は、労働組合失格です。「真面目」かどうかが校長や教育委員会といった当局者の主観で判断される制度の下で、何が「報われるような選考」かという話です。
 

客観的要件による昇格基準の見直しを!

 私たち学校事務職員は多くの場合1校に1人か2人。校内比較は事実上不可能ですし、職務環境は校種・学校ごとに異なっており比較は馴染みません。しかも全体で見れば二百数十人の事務職員に対して168人の校長がいて、それぞれが判断した推薦なり評価なりを比較するというのですから無理は明白。公平性は一切担保されません。
 にもかかわらず、特に4・5級昇格は何よりもまず校長の推薦が必須であり、校長の個人的な好悪や職業観により私たち学校事務職員の生涯賃金が左右されかねない制度です。
 事は制度設計の問題です。市教委当局は主観的評価による昇格発令の問題性を認め、従前のように客観的な年齢・年数要件による昇格発令となるよう、昇格基準自体を見直すべきです。  
 

 
理由も説明せずC評価?!

悪質校長による不当な人事評価=賃金切下げを止める

 
 3月中旬、川崎支部にX学校事務職員のYさんから、人事評価について相談がありました。話を聞くと、20年度の人事評価において標準が「B」であるところ複数の評価項目で「C」が付けられ、人事評価全体でもオールBであった場合の「標準点」を下回ることとなることがわかりました。
 川崎市の賃金制度では、校長の人事評価が標準点を下回った場合、機械的に次年度の昇給や勤勉手当が切下げられてしまいます。今回の人事評価は賃金上の不利益に直結する大問題でした。
Yさんはその場でがくろう神奈川に加入。川崎支部はただちにX学校校長に対し交渉を申し入れ、数日後に支部役員が同校に赴き交渉を持ちました。
 支部役員からはまず、人事評価が賃金に及ぼす影響に対する制度的理解や市教委が定める人事評価制度の「ねらい」について校長に質しましたが、校長は正確に述べることが出来ず。人事評価者として基本的な知識・認識・責任意識を持っていない上に、C評価という重大な評価をするに当たってさえ顧みない安直な評価姿勢を露呈しました。
 次いで支部役員とY組合員は、C評価の理由とされた「円滑な業務遂行に支障をきたす場面が見られた」との記載をめぐり、その具体的事案を尋ねました。校長は「客観的事実がある」と述べましたが、その内容はおろか件数についてさえ、具体的には説明しようとしません。役員がいったん席を外せばY組合員本人には言えるだろうと応じても、それでも説明しない、との回答。本人にさえ説明できない「客観的事実」など、実際には存在しないと判断せざるを得ません。
 さらに支部役員は、市教委が定める評価段階判定の目安を示し、仮に「支障をきたす場面が見られた」としてもC評価は目安から逸脱していることを指摘。しかし校長はこの目安自体を知らなかった様子でそれに沿った説明は出来ず、ついには「総合的な判断としてC評価」との言葉を繰り返すのみという有様でした。
 川崎支部は、交渉で明らかになったX学校校長の人事評価制度に対する無責任な姿勢や市教委が定める「評価の原則」「段階判定の目安」からの逸脱等を具体的にまとめ、C評価の不当性を示した「見解」を市教委に提出し是正を要求しました。教職員人事課長は「見解」を受け、「無視できる内容ではない」と応答。並行してY組合員も人事評価システムに基づく苦情申し立てを行いました。
 こうした取り組みの結果、最終的にC評価は撤回されることとなりました。
 悪質な校長の胸先三寸で賃金が削られるなど、あってはなりません。人事評価は賃金問題。困ったことがあればすぐに川崎支部へご相談を!
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