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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」第774号 2020年2月3日発行

定員・予算並びに諸権利交渉報告(中編)

 
 がくろう神奈川川崎支部は、8月に提出した「2021年度に向けた定員・予算並びに諸権利に関する要求書」(771号掲載)に基づき12月21・22日、川崎市教委当局と交渉を持ちました。前号に続き、主な課題に関する交渉の内容をご報告いたします。
 

>>> 教職員人事課・教職員企画課 <<< 「標準職務」による業務負担圧力に歯止め

 定員や労働条件、働き方に密接にかかわるこの2課との課題は、特に多岐にわたりました。
まず7月に文科省から出された、事務職員と教員それぞれの「標準職務」例通知について。これに対する当局の見解は事前に「川崎市はすでに事務職員の標準職務を定めているが、働き方・仕事の進め方改革において事務職員の能力活用を検討する中では材料のひとつになる」との回答を受けていました。この回答を踏まえ、現段階において文科省通知を受けて今の川崎版「標準職務」を変えることはないか質しました。
 これに対し当局は、「標準職務を変えるというよりは、どの学校でも標準職務に定める職務が行われているかという点を注視している」としたうえで、事務職員に過度な負担を招かないようにすべきとしつつ、「事務職員の標準職務を知らない校長もいるようなので周知する中で、標準職務を事務職員が担当していない場合どういった能力開発上の課題があるのか、検証する考えはある」と述べました。
 川崎支部は「事務職員の業務負担を顧みず機械的に、標準職務に載っている職務は全てやれ、という圧力になる」と批判。当局は「そうした圧力になるのは望ましくない」としつつ、何らかの形で担当状況を把握したいとの意思をにじませました。
 そもそも「標準職務」はそれ自体が、事務職員への過度な負担につながりかねないものです。これは文科省の通知でも川崎版「標準職務」でも同様の認識があって、だからこそいずれにおいても“過度な負担とならないように”との趣旨の文言が入っています。
 また、文科省通知は教員の負担軽減ありきのもと、それ以外の職務を軒並み事務職員に負わせたもので、事務職員が実際にこれらをやり切れるかといった議論・検証は中教審でもなされていません。私たちの参加する全学労連(全国学校事務労働組合連絡会議)が11月末に行った交渉で文科省は、標準職務通知について「あくまで網羅的なもの」と述べています。
 川崎支部はこうした点を挙げ、中教審・文科省の考え方の枠組みは問題がありそこに立っての検討は容認できないと強調。当局は「今の執行体制のまま、事務職員に職務がなんでも降ってくるようなことはないようにする」と応じました。
 

臨任・任期付職員の安定雇用実現を求める

 臨時的任用・任期付職員の課題では、現在働いている職員の安定的な雇用保障策を考えるよう強く要求しました。
 川崎支部はすでに、他市の実施例を挙げ経験者を対象とした採用試験の導入を提案しています。しかし当局は、「経験者の魅力はある」としつつも現行採用試験倍率が一定程度あり人材確保に苦慮している状況ではないとして、「今のところは考えていない」と回答。現行採用試験の年齢要件の撤廃・緩和の要求についても、「年齢構成に課題が生じる懸念もあり、撤廃は難しい」との回答にとどまりました。
 川崎支部は「こちらは具体的な提案をもって、臨時・任期付職員の雇用保障策を求めている。当局としても何らかの方法を考えるべき」と強く訴えました。
 

「共同実施」の問題指摘 事務職員間に「上下関係」はいらない!

 学校事務職の人員削減・センター化・外部委託化・廃職につながる「学校事務の共同実施(共同学校事務室)」については、強く反対する立場を改めて表明。文科省や他県の報告など公の報告は耳障りの良いことばかりですが、現場からは共同実施内での業務の偏在やパワハラ、所属校業務の停滞といった問題も多数起きている実態を指摘しました。
 対する当局は冒頭のやりとりを再度引いて、「学校間の担当職務が標準化されるツールにはなると考えている」としつつ「指摘のようなデメリットが解消できるかどうかも踏まえ多角的に検討していく」と回答しました。
 関連して、「事務長」は要らないとの要求に対しては「現状では考えていない」と回答しました。
 とはいえ、あたかも「事務長」然・と振る舞う職員を生み出し、学校事務職員間のフラットな関係を破壊していくものとして「学校業務相互支援事業」があります。交渉では相互支援組織内における事務職員間の関係性について確認。課長補佐からヒラ職員までの間に指揮命令関係や人事評価といった関係性はないこと、今後も導入は考えていないとの回答を受けました。
 もし相互支援事業内で、代表者やグループリーダーが他の職員に“あれをやれ・これをやれ”と言うことがあれば、それは自分が偉いと勘違いした人の根拠のない命令であり、応じる必要はありません。
 今年度途中にほぼ全校配置となった教職員事務支援員をめぐっては、当局は配置当初、校内での席の場所を「職員室」と明言していたにもかかわらず、実際には他の部屋に置かれている例があることを指摘(事務室にも!)。場所の問題に加え、机や椅子、更衣ロッカー等の予算措置もなかったことは労働環境の保障に問題があるとして、実態把握を行い是正するよう要求しました。
 しかし当局は「校内の所在は把握していない。急遽全校配置で、業務も含め様々な課題も出てくると思う。今の時点では、困ったことがあれば対応するという姿勢」としたうえで、現段階での実態把握には消極的な姿勢に終始しました。
 このほか、休憩時間の確保、休暇制度の改善、その他労働条件や業務体制など、幅広い課題についてやり取りを行いました。 
 

 
賃金要求書への回答と賃金制度等に関する説明受ける

2022年度から定年延長の方向で検討へ

 
 がくろう神奈川川崎支部は1月25日、川崎市教委当局と賃金交渉を持ちました。
 交渉ではまず、昨年7月に提出した「賃金要求書」(本紙766号掲載)に対して当局が回答。川崎支部は要求書の中で、初任給決定方法の改善や昇給制度の見直し、退職手当支給対象在職月数の短縮などを求めましたが、当局はおしなべて「条例・規則に基づき適切に実施されている」「全庁的にも影響がある」との姿勢を取り、いずれも応じませんでした。
 これに対し川崎支部は「初任給決定時の経験年数加算上限や退職手当支給対象月数で不利益を被っているのは臨時的任用・任期付職員。全庁の中でも多くの臨任・任期付職員を抱える教育委員会が率先して改善を訴えなければ変わらない」「ある要求に対しては『国・他都市との均衡』などとして退けつつ、初任給や退職手当、昇給制度では国・他都市より悪い条件をそのままというのは筋が通らない」と抗議。任命権者として責任ある取組を強く求めました。
 当局からは、定年引上げに向けた検討スケジュールが示されました。地方公務員の定年は国家公務員法の定める定年を基準に条例で定めるとされています。国公法改正は未成立ですが、成立を見越して2022年度末退職予定者から定年を61歳に引上げる方向で検討が始まることが決まりました。 
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