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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」第772号 2020年12月16日発行

実は義務ではない「支払調書」の講師本人への交付

業務負担軽減へ「交付不要」とするよう申し入れ

当局 例年通り通知も「義務ではないので絶対に送れということではない」
 

夢教育講師等への「支払調書」交付業務

 年の瀬も押し迫るこの時期、恒例の業務が「報酬、料金、契約金及び賃金の支払調書」の作成です。夢教育21推進事業の報償費などで講師を呼んでいる学校ではおなじみの業務。今年も12/14付で指導課から依頼通知がありました。
 今年1年の間に支払った講師謝礼をまとめて支払調書を作成し、指導課に提出するとともに講師本人にも交付することとされています。しかし、作成はまだしも本人への交付業務は結構煩雑。多くの場合郵送になりますが、封筒に宛名を書き切手を貼り調書に加え一筆入れて…。これを多い学校では30~40人分もやらなければなりません。それだけの数になるとかなりの業務負担です。住所氏名の入った個人情報書類ですので誤送付が起きてはならず、心理的負担もある業務です。
 この業務、なんとかならないのでしょうか。
「支払調書」自体は所得税法に基づき、報酬等の支払者が税務署に提出しなければならない「法定調書」にあたります。ですので、支払調書の作成はしないわけにはいきません。
 ただ実は、支払調書を講師本人へ発行・交付する義務はありません。国税庁のホームページにおいても、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書は、所得税法上、本人に交付する義務がない」とはっきり記されています。
 この見解に立てば、支払調書の送付業務から解放されます。がくろう神奈川川崎支部は市教委当局に対し、「業務負担軽減のため、本人交付は不要とするよう求める」旨を申し入れました。
 

制度と実態を基に業務負担軽減求める

 申し入れに対し指導課長が対応し「指摘の通り交付の義務はないが、今年も送付をお願いする形で通知を出させてもらいたい」との回答。給与・報酬事務を所管する給与厚生課と相談した結果「教育委員会全体で同じ対応をしており、指導課だけ変えるのは難しい」「全庁的にも交付する取り扱いをしている」旨を理由に挙げました。
 川崎支部から、「報酬調書は商慣習として交付されているものだが、最近はやめようという動きがある」「学校によっては送付先が30~40人にのぼる場合もありかなりの負担」といった実態を説明。その人数には驚いた様子でした。
 今回は「義務ではないので絶対に送れということではないが、送付をお願いするような通知にはなる」との回答にとどまりましたが、川崎支部は「来年に向けて引き続き、関係課も含め再検討に付して欲しい」と求め、受け止めさせました。
 がくろう神奈川川崎支部は業務負担軽減の実現に向け、今後、給与厚生課に対しても改善を求めていきます。
 

 

<給食費公会計化> 労使交渉前の「事務説明会」開催通知に厳重抗議

 
 12/7、「給食費徴収システム及び学校給食に関する事務説明会」開催通知が出されました。川崎支部はこの課題につき、8月に交渉申入書を提出していましたが未だ交渉は持たれていません。先に説明会開催通知が出されるのは順序が違うと厳重に抗議。12/21に交渉を持つこととなりました。
 

 

学校事務職員制度と雇用を破壊する

「学校事務の共同実施」反対を今年も申し入れ

 
 複数の学校の事務職員が定期的に集まり、事務の共同処理を進める「学校事務の共同実施(共同学校事務室)」。しかしこの施策の本質は学校事務合理化であり、その先にはセンター化、人員削減、非常勤化、そして学校事務職の廃職まで想定されるものです。
 実際、共同実施先行県においては事務職員の法定定数が無視され本来配置されるべき事務職員が学校に配置されない、臨時職員の割合が高い、といった状況が生まれています。東京都狛江市では、事務職員を拠点の1校のみに集約するとともに人員を削減し、10校分の事務を5人で行う、極限の労働強化を伴う共同実施体制が敷かれています。
 私たち学校事務職員にとって、共同実施は墓場への第一歩。川教組事務職員部はこの共同実施を「学校事務の組織化」「事務組織の整備」と称して推進し、相互支援事業をそのための場として利用しようとしています(拠点校代表者は事務職員部の前部長をはじめ全員が川教組組合員)が、自ら墓穴を掘る方針は到底理解できません。
 がくろう神奈川川崎支部は今年も川崎市教委に対し、以下の申し入れを行いました。これからも学校事務職員として働き続けるために、共同実施の導入は絶対に許してはなりません。
 
「学校事務の共同実施」と事務職員加配に関する申入書
 
 私たち学校事務職員労働組合神奈川は、学校事務職員の労働条件改善に向け、様々な取り組みを進めています。
 1998年の中教審答申において提起された「学校事務の共同実施」をめぐり、川崎市では2001年より2016年度まで、学校の主体的な取り組みとして「事務部門の強化に伴う会議(学校間連携)」が活動してきました。また、事務職員の加配を今年度は7人受けています。
 私たちは「学校事務の共同実施」について、学校事務職員の間に無用な階層化・上意下達の関係を持ち込むとともに、ゆくゆくは事務部門集約によるセンター化と人員削減・非正規雇用化、さらには外部委託化・民営化までつながりかねず、学校事務職員制度とその雇用を破壊するものと考え、強く反対しています。すでに「共同実施」が進められてきた自治体ではそうした事態に至るとともに、学校現場での弊害も明るみになっています。
 川崎における事務部門強化会議に対しても、そうした「共同実施」と同じ方向性を持つものとして川崎支部は実施に反対の立場で川崎市教委と折衝・交渉を重ね、一定の確認をしてきたところです。また、2017年度に始まった「学校業務相互支援事業」をめぐっては、「共同実施を目指すものではない」と市教委は明言しています。
 2017年度より、学校事務職員を含む小中特別支援学校教職員の給与負担が市に移管され、加配事務職員の給与負担も川崎市が負っています。
私たちは客観的基準に基づく定数改善は求めていますが、「共同実施」を理由とする加配はなんら改善にはならず、むしろ雇用の不安定化を招くものと考えます。そうした加配に予算をつけるくらいなら、過大規模校や中規模単数配置校への増員、あるいは臨時的任用・任期付職員の賃金改善などに回すべきです。ついては、以下の通り申し入れます。
 
1.「学校事務の共同実施」やそれにつながる施策を実施しないこと。
2.「学校事務の共同実施」を理由とする事務職員の加配を文科省に申請しないこと。また、同加配に関する予算要求を行わないこと。
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