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「学労川崎」829号(2026年1月14日発行)

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>>>「定員・予算・諸権利要求」 回答&労使交渉ダイジェスト①<<<

学校事務職員の時間外勤務 最長は年505時間
360時間超過(36協定&人事委規則違反)もまた増えて6人に

協定・規則はお飾りか?
この上「在り方方向性(案)」で業務増など容認できない

 
 学労川崎は8月、市長と教育長に宛てて「2026年度に向けた定員・予算並びに諸権利に関する要求書」を提出しました。これは定数や制度、労働環境、事業・施策、業務のあり方全般、そして休暇制度等について、学労川崎の要求をまとめたものです。
 11月に市教委各課から当初回答を受け、12月24日に重点課題について交渉ももちました。複数の課題で問題意識を共有した一方、課題認識度合いの低い項目もあり、一層の取組強化が必要です。
 2号にわたり、ダイジェストでご報告します。
 

労働条件全般【教職員企画課・教職員人事課】

<職の在り方・定数・国の動きに対する評価>

 学校事務の「職種存続」「行政との任用一本化・人事交流反対」「独自採用試験」について質し、「存続」「来年度はない」「変わらない予定」との回答。中長期的な学校配置の事務職の必要性についても「在り方を検討しているということは必要ということ」との回答を確認しました。
 定数をめぐっては、中央支援学校をはじめとする過大規模校への人的措置を毎年求めています。しかし当局は「(現行の)法定定数が基本。まず業務を精査し、必要に応じて人的措置も検討」とし、後ろ向きな回答にとどまりました。
 欠員補充や休業休職代替職員の配置の遅れが常態化している点も追及。近年は毎年年度当初段階で欠員不補充を生じさせています。当局は、候補者と学校が求める人材との不一致を理由として述べていますが、では一致しなければ補充しないのかと追及し「基本的には補充する」と確認しました。
 当局が示した「在り方方向性(案)」については、その本質が文科省が進めてきた「共同実施」と、「つかさどる」「学校運営参画」等を謳った事務職員業務増であると指摘。全国ではその流れの中、精神疾患で働けなくなる学校事務職員が増加し、最新の調査結果では50人に1人に達している事実を挙げ追及しました。しかし当局は「国から標準職務参考例通知が出されている以上、検討はしなければならない」「精神疾患増加の要因は特定できない」と、無責任な態度にとどまりました。

<長時間労働と管理責任>

 そもそも今の川崎市学校事務職においても、深刻な長時間労働の実態があります。当局が示した資料によれば、昨年度の時間外勤務の最長は505時間。36協定と人事委員会規則による上限規制に違反する360時間超過も年々増加し、今年は6人に達しました。これまでも相互支援事業等を通して事務職員の業務増を進めてきた当局による明らかな失政です。しかし具体的な政策転換や改善策は示されず、問題意識の低さが浮き彫りになりました。
 責任は現場校長にもあります。そもそも勤怠・休暇・出張といった服務管理に関する管理職の制度知識・実務・責任意識の低さは目に余ります。特に月末・月初に全日の会議を設ける中学校校長会・教頭会への是正指導を求めました。しかし当局は「多くの管理職はきちんとやっているのでは」「まず事実確認から」と腰の引けた対応に終始しました。
 また現場で目立つのは、非常勤講師を含む会計年度任用職員の勤務時間・休憩時間が守られていないことです。ほかならぬ管理職が始業前や休憩時間中でも平気で業務を指示したり、そもそも勤務時間を把握していなかったり。時間外手当も教職調整額もないままの無賃労働が横行している問題を指摘しました。さらに教委事務局職員までもが残業を強いた事案を指摘し、これについては当局も確認を約しました。
 総じて、過大規模校の過重業務も解決せず、欠員不補充も常態化、36協定違反の長時間労働も常態化かつ増加、管理職は無責任。そんな状況でこれ以上事務職員への業務上乗せが許される前提にないと強調しました。

<臨時的任用・任期付職員の雇用>

 臨任・任期付職員について、現職者優先の任用を要求。当局は「前年度きちんとやっていればそれが実績になる。経験者のほうが業務上スムーズ」と応じました。現職者の中にはもう10年以上勤続している職員も多くいます。とりわけ長年働いてきた方々が雇止めされることはあってはならないと強調しました。
 また、現職臨任・任期付職員を対象とした採用試験実施も要求しました。当局は「公平性」を理由に難色を示しましたが、総務省は現職会計年度任用職員対象の採用試験を好事例として紹介しており、臨任・任期付職員にもあてはめられる考え方です。組合から総務省資料を提供することとし、検討を求めました。
 

 

学校事務職員の50人に1人が精神疾患で休職・病休

「つかさどる」や標準職務通知とともに急増
「在り方方向性(案)」が招く未来

 

 12月22日、文科省より「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」結果が公表されました。 毎年公表されるこの調査結果では、教員の精神疾患による休職・病休者数の増加が強調され対策が叫ばれます。しかし実は、学校事務職員の精神疾患休職・長期病休率が教員のそれを大きく上回っていることを、私たち学労運動は早い段階から指摘してきました。
 今回も、休職は横ばいながら1か月以上の長期病気休暇を含めた割合は大幅に上昇し、ついに2%を超えました。学校事務職員の50人に1人が、精神疾患で働けなくなっている。これが学校事務職員を取り巻く全国状況です。
 にもかかわらず文科省はなお、教員から事務職員への業務転嫁をさらに強める「学校と教師の業務の3分類」に基づく業務の適正化を進めるとしています。苦境にある事務職員にさらに追い討ちをかけるもので、憤りを禁じ得ません。
 学校事務職員の精神疾患休職割合の悪化は15年度から加速しています。このとき何があったのか。
《チーム学校→働き方改革→質の高い教師の確保》
 というこの10年の文教政策が進めた、教員から事務職員への業務転嫁=労働強化、それを裏打ちする
《学教法「つかさどる」改正&共同学校事務室法制化→旧3分類→標準職務参考例通知→新3分類》
 という事務職員政策と軌を一にしており、それらの政策が招いたものであることは明らかです。
 文科省と各教委は事態を受け止め、政策転換を図るべきです。特に川崎市教委が目下進めようとしている「在り方方向性(案)」は、そうした国の誤った政策に沿ったものです。このまま進めば川崎でも「学校事務職の50人に1人が精神疾患で休職・病休」という状況が生まれかねないということなのです。
 一連の政策を要求・賛同・評価・推進してきた全事研と日教組の責任も重大です。健康を犠牲に一握りの「上位級」を目指して潰し合うのではなく、皆がゆとりある労働環境のもと健康に働き続けられる在り方を、学労川崎は追求します。


  
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