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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」808号(2024年3月11日発行)

徴収金自動振替を用いた親睦会費徴収「禁止」明示

業務負担の軽減と不適切業務からの解放――学労川崎の要求実現

 
 学労川崎は過去3年、川崎市教委当局に毎年提出する要求書の中で「金融機関と結んでいる学校徴収金自動振替を、職場親睦会やPTA会費等、職員からの業務と無関係な会費徴収に利用することを禁じること」を求め、交渉でも時間を割いて対応を求めてきました。
 本紙805号既報の通り昨年11月の交渉でも、徴収口座や資金移動の件数が増えればそれだけ業務負担と事務ミス・事故を招くこと、勤務時間中にそれを行う場合職務専念義務上の問題があること、校務分掌である徴収金担当が私的団体の会費処理までやらされるのは許されないこと、などを指摘。当局も「金融機関との契約等を見ても、そうしたもの(私的団体の会費)を扱う前提にない」との認識を示していました。
 そしてこのほど当局より、PTA会費(学校管理運営規則に基づく委任手続きがある場合のみ)を除く親睦会等私的団体の会費徴収について、小・中・高・特の校長会長に対して「徴収金自動振替を利用した会費徴収があるとすれば、直ちにやめてほしい」旨を伝達し、併せて各校長への周知も依頼した、との追加回答がありました。徴収金自動振替を用いた親睦会費等の徴収を当局も明確に禁じたもので、学労川崎の要求が全面的に実現した形です。
 徴収金担当に業務負担の軽減と不適切業務からの解放をもたらす本件。そもそも徴収金は学校事務職員の標準職務外ですが、現実には担当している事務職員が一定数います(学労にも)し、改善効果は当然教員が徴収金担当をしていても及びます。
 学労川崎は、川教組のように単に「教員の負担軽減のため事務職員はもっと働け」という姿勢ではなく、事務職員も教員も他の職種もすべての学校職員が、道理の通らない業務負担・不適切業務を強いられない労働環境となるよう尽力しています
 なお万が一、引き続き徴収金自動振替を用いた親睦会費等の徴収がある場合はご連絡ください。
 

 

「学校業務相互支援事業」 市教委当局と14項目の確認

支援に名を借りた業務増反対――階層化でなく対等な立場での助け合い・支え合いを

 
 学労川崎は「学校業務相互支援事業」について、学校事務の人員削減と非正規雇用化、外部委託化、そして廃職=雇用破壊を招く「共同実施」「共同学校事務室」につながりかねないものと捉えています。
 また、共同実施・共同学校事務室の導入を目指す川教組が各区代表者をはじめ事業実施の中心を握り、さらに各区代表者と川教組事務職員部役員とで構成する会議体を同部の下に設けて、事業に関する共通理解を形成してきたこともわかっています。川教組が事業を自らの影響下に置く意図は明らかです。
 将来的に学校事務職員の雇用を危うくしかねない事業であり、私たちはこの事業に反対しています。
 

市教委と14項目確認 対して実態は…

 学労川崎はそうした方向性に歯止めをかけるため、毎年市教委当局に「確認要求書」を提出し回答を受けています。今年も3/8に交渉を持ち、14 項目につきすべて「その通り」とする当局回答を確認しました。
 
1.事業は年度単位であり、来年度の実施にあたっては要綱第2条に基づき、まず「校長の申し出」と教育委員会による「指定」により相互支援組織構成者が定められ、その中から拠点校の指定があり、しかる後に初めて相互支援組織が形成され始動するものであること。
2.事業への参加に係る「校長の申し出」は所定の様式に基づく書面によるものであること。
3.事業への参加に係る「校長の申し出」の募集者ならびに申し出先は教育委員会事務局であり、特定の学校や事務職員によるものではないこと。
4.事業への参加・脱退は、学校単位ではなく事務職員個々人単位であること。
5.事業への参加・脱退に関する校長の申し出は、事務職員個々人の意向に基づくこと。新採用・新任用者や異動者について、その意向が確認されないまま参加申出書の提出が行われることはないこと
6.事業への参加・不参加・脱退を人事評価の対象としないこと。
7.事業への参加・不参加・脱退を昇格の判断材料としないこと。
8.事業への参加・不参加・脱退を理由とした人事異動を行わないこと。
9.事業を事務職員全員に関わる事務連絡や情報提供、意向聴取等に用いないこと。
10.事業の実施にあたって、学校事務職員の兼務発令を行わないこと。
11.事業は「学校事務の共同実施」や「共同学校事務室」に当たるものではなく、またそれを目指すものでもないこと。
12.事業に伴う場で特定職員団体への利益誘導や勧誘活動等が行われることのないよう、実施主体として責任を持つこと。
13.事業は学校事務職員の業務増のためのものではないこと。
14.事業は各学校で決定された校務分掌に基づく事務職員の担当業務に対して必要な支援を行うものであり、代表者等が他校の校務分掌(担当業務や主担当・副担当の分担)に干渉・容喙するものではないこと。
 
 労使確認では、13項で「業務増のためのものではないこと」、14項で「代表者等が他校の校務分掌(担当業務や主担当・副担当の分担)に干渉・容喙するものではないこと」を確認しています。
 しかし現実には、「相互支援事業で代表者やグループリーダーから新たにあれこれ業務を担当しろと言われる」「有形無形にそうした圧力や指導がある」との声が複数耳に入っています。
 本来、各校での事務職員の担当業務(=校務分掌)は、学校教育法に基づき各校で決められるもの。課長補佐だろうと係長だろうと、他校の事務職員が「この業務も担当しろ」「主担当になれ」などと言えるものではなく、それがあるとすれば法を理解しない「越権行為」に他なりません。
 事業は「相互支援」 の名を冠し、特に経験の浅い事務職員への支援を謳っています。他方で業務負担の状況を見ると、時間外勤務の級ごとの最長時間数は1級で128時間、2級で475時間、3級で458時間にのぼっています。「支援」を言うならこうした業務過多を解消する方向でこそあるべきで、この上さらに業務増を推進する姿勢は「支援」とは言えません
 労使確認の5項にある通り、相互支援事業は個人の意思として「参加しない」自由、そして参加してからも「脱退する」自由が保障されています。6~9項の通りそれによる人事上・業務上の不利益もありません
 事業内や学校内で強制や強要、労使確認からの逸脱、その他問題があれば、学労川崎にご相談ください。
 

相互支援事業がなくても助け合える

 同事業による支援について、「助かっている」という職員の存在も認識しています。私たちも事務職員同士の支援自体は、非常にポジティブに捉えています。
 元来事務職員は、相互支援事業が存在しない頃から自発的に、お互い仕事を教え合い、必要であれば直接手助けに行くことをしてきました。そこに職務段階の違いや「代表」「リーダー」といった肩書きはなく、対等な関係で同じ仕事をする仲間として助け合い、支え合ってきたのです。
 そうした自発的で主体的な事務職員同士の関係性を、お仕着せの上下関係・階層化の枠に流し込み、上位/下位、指導/被指導の関係に置き換えてしまうのが、相互支援事業の悪しき特徴です。
 相互支援事業とは無関係に、今も自発的に助け合う関係は存在しますし、当局はそうした支援も認めています。事業に参加することなく、しかし孤立もすることなく、他校の事務職員と助け合いながら働いている事務職員はたくさんいます。相互支援事業に参加している方が、事業に参加していない学労組合員に敢えて業務について質問してくることもあります。
 学校事務職員は本来、フラットに助け合える存在であり、「相互支援事業」はそんな人間らしい成熟した職の在り方を損ねるものだと、私たちは考えます。


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