忍者ブログ

学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」806号(2024年2月7日発行)

定員・予算並びに諸権利に関する交渉報告(後編)~教職員人事課・教職員企画課

学校事務職員の時間外勤務 22年度の最長は年475時間!!

〇2年連続で36協定上限=年360時間超えが3人…深刻な長時間労働実態

〇過大規模校もそのまま・欠員もそのまま・上限規制超えの長時間労働も続く中

 「チーム学校」「事務の標準化」「教員の負担軽減」による業務増は許されない

 
学労川崎は昨年8月に提出した「2024年度に向けた定員・予算並びに諸権利に関する要求書」(本紙801号付録)をめぐり1/25、教職員人事課・教職員企画課と交渉をもちました。学校事務職員制度(任用一本化・共同学校事務室問題等)や業務負担、有期雇用職員の雇用、休暇制度など、幅広く議論しました。
 

~学校事務職員制度~

学校事務職種維持・任用一本化反対の要求に対し

引き続き「当面存続」「検証・検討」の回答

 現行学校事務職員制度(学校事務職種)堅持の要求について当局は、「職種は当面存続」としつつ、「学校教育・学校運営・教育行政の充実に向け、学校事務職に期待される役割やキャリア形成等の動向を踏まえ、職種としての在り方を検証・検討していく」と回答。また学労は反対している、一般行政職との任用一本化をめぐっても同様の考え方のもと「検証・検討」と回答しました。
 これに対し学労は、「職種」「任用一本化」「採用試験」や、目下開催されている「学校事務職員の在り方に関する庁内検討会議」における検討事項関係で、来年度変わることはあるか質し、「現段階ではない」との回答を確認。さらに「中長期的に、学校配置の事務職は必要な職であることの確認」を求め、「名称はともかく、学校の財務・総務といった業務をこなす職員は、教育職以外に必要」との回答も引き出しました。
 

~定数配置・共同学校事務室・業務負担~

不充分な定数配置と共同学校事務室が

業務増と長時間労働を招く

 定数配置をめぐってはまず、義務標準法が定める定数を「下回ることのないように」という要求の核心について見解を質しました。当局は「基本は義務標準法定数を維持」としつつ「全体の調整の中で上回ることも下回ることもある」と回答。さらに今現在の欠員や休業休職の補充・代替配置について、年度当初からの欠員未補充(臨時的任用職員を配置すべきところ非常勤職員を配置:本紙798号既報)が今なお続いていることを明らかにしました。
 当局は未補充の理由について、「学校の意向も踏まえた判断」としましたが、定数に応じてフルタイムの職員を配置することは教育委員会の責務。定数軽視の姿勢は将来の人員削減につながるもので、学労は厳しく批判しました。
 さらに学労は、先の「定数を上回ることもある」との回答も踏まえ過大規模校への手厚い職員配置を求めましたが、当局は「義務標準法に基づく定数を現段階で変えるつもりはない」と回答。学労は「学校規模で業務量は変わるが、小学校27学級と40学級超とでは同じ2人配置。過大規模には3人配置もあっていいはず。学校規模による業務量の差は『学校間の事務の標準化・平準化』以前に解決すべき課題」と食い下がりましたが、当局は応じませんでした。
「在り方検討」で浮上している共同学校事務室の導入については、学校事務職員の負担増や所属校業務の遅滞をもたらす事例が報告されており(本紙804号付録)、文科省でさえ学校事務職員の業務負担増を招いていることを認めている政策であることを指摘。そのうえで「事務職員配置」「所属校での執務時間の確保」「業務負担」の3点に特に問題があるとして、反対を改めて表明しました。これに対し当局は学労の問題意識への理解も示しつつも、「徴収金の扱い、学校全体の業務量スリム化、教委事務局と学校の役割分担といった事柄も含めトータルで検討すべき」との認識を述べました。
 ただ学労は、まさに「徴収金」「業務量スリム化」「教委事務局と学校の役割分担」の施策が実際には学校事務職員への業務押し付けにつながることを警戒しています。その点、来年度において具体的な業務転嫁が構想されているか質し、「標準職務を変えるといったことはない」との当局回答を確認しました。
 そのうえでしかし、今現在すでに業務過多の実情があります。交渉にあたり当局より提供を受けた情報によれば、22年度の学校事務職員の時間外勤務は、最長の職員で年475時間超にのぼり、その他にも450時間超の職員が少なくとも1人いたことがわかりました。
 労働基準法の定める時間外労働上限規制、そして川崎市立学校事務職員の時間外労働について定める「36協定」の上限時間は、共に360時間。36協定に反して働かせることは労基法上の罰則対象となる重大な問題です。しかし22年度、先の2人を含む3人が36協定を超える時間外労働を強いられていました。これは人数もそのまま、2年連続の事態です。
 学労の追及に対し当局は「職種の状況の反映なのか検証が必要」と回答しました。36協定違反の長時間労働は法令違反。他にも360時間以内ギリギリという職員もおり、長時間労働の要因検証とその解消は急務です。違法な長時間労働をそのままに、「教員の負担軽減」「教員が子どもと向き合う時間の確保」などと称して学校事務職員に対して一層の業務増を進めるなど、断じて誤りです。
 以上、定数配置―共同学校事務室―業務増―長時間労働は一連のもの。学労川崎は総括して「過大規模校は解消されない・欠員は埋められない・36協定も守れていない、そんな状況で当局が言う『事務職員の職務の標準化・平準化』、これは結局業務量の上乗せになると考えているが、そうだとすればそれが許される前提にはない」と強く申し入れました。
 

~有期雇用労働者~

臨時的任用・任期付職員の雇用確保と

無期雇用転換実現への施策を求める

 臨時的任用・任期付職員の雇用確保について学労は「経験者優先の任用」を強く要求。当局は「雇い止めが生じないよう努めていく」と回答しました。
 また、採用試験の年齢制限撤廃/緩和や臨任職員対象の採用試験実施も要求。すでに、長く働く臨任職員等に受験の門戸を開いた自治体もあると指摘し、川崎市はそれにも増して先進的な取り組みをすべきだと申し入れました。当事者の組合員も、「当事者は皆、強く願っている。少しでも改善を」と訴えました。
 

~休暇制度~ 他自治体を下回る川崎市の水準

「ワークライフバランス実現」は空文句か?

 年休の時間取得制限(40時間)撤廃と子の看護休暇の対象年齢引上げをめぐっては、学労川崎は独自に国・他自治体の状況を調査。圧倒的多数は年休時間取得制限を設けておらず、また子の看護休暇対象年齢も高いという事実を突き付け、改善を迫りました。
 しかし当局は、年休については「労働者側にもいろいろな意見がある」、子看休暇については「特別休暇全体として見た場合には、他自治体より条件の良い休暇もある」などと述べ、「全庁の動向に合わせていく」として要求に応じる姿勢は見せませんでした。
 地方公務員の労働条件をめぐっては、国・他自治体との「均衡の原則」が地方公務員法で定められています。またこうした低水準の休暇制度は、「ワークライフバランス実現」といった表向き市が謳う姿勢にも反するものです。何より、当該職員にとっては喫緊・切実な要求。学労川崎は改善に向けた取組を強めます。
 

※当局回答・交渉内容についてさらに詳しく知りたい方はご連絡ください

PR

学校事務職員労働組合神奈川

連絡先
横浜市港北区篠原台町36-28
 東横白楽マンション602
shino3628★gmail.com
(★を@に変えてください)