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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」803号(2023年10月19日発行)

2023年度人事委員会勧告

賃上げ勧告も物価高騰に見合わない水準

経験年数加算上限(=臨任職員の実質的賃金上限)撤廃では

人事委員会と任命権者の間で協議始まる

2023年度人事委員会給与勧告概要(学校事務職員関係)

▽基本給:大卒初任給11,000円、若年層を重点にすべての級号給で引上げ。(対民間較差0.97%解消)
▽ボーナス:年間0.1月分引上げ4.50月とし、引上げ分は期末手当と勤勉手当に均等に配分。

 川崎市人事委員会は10/6、2023年度の「職員の給与に関する報告及び勧告」を公表。上記の通り給与改定の勧告を行いました。
 人事委員会による給与勧告制度は、労働基本権(労働協約締結権やスト権)が制約されている地方公務員に対して、適正な労働条件を確保するための代償措置と位置付けられているものです。
 人事委員会は民間企業における賃金実態等を調査の上、市長と市議会に対して、職員の賃金に関する勧告を行います。これを受け、市長をトップとする市当局と労働組合(職員団体)との間で賃金確定交渉が行われ、そこでの妥結内容が市議会に提案されて所要の条例改正等が可決されることで、今年度の私たちの賃金が確定する仕組みです。

経験年数加算上限撤廃要求「重く受け止め」

 学労川崎は勧告に先立つ8/21に人事委員会に対して「2023年度給与勧告に向けた要請書」を提出。9/6には要請行動を行いました。
 昨年4月以来、食料品・日用品といった生活必需品も含めた幅広い分野における物価高と、実質賃金の低下が続いています。この影響は年齢や任用形態にかかわらずすべての労働者に等しく及ぶものであり、それを踏まえた全職員大幅賃上げを求めました。
 またとりわけ、臨時的任用職員・任期付職員の実質的な賃金上限として機能している「初任給経験年数加算上限(10年)」の撤廃と、学歴免許と職歴等経験年数を組み合わせた中で最も高位の号を適用する「初任給下位区分適用」の導入を、毎年のことながら今年も強く訴えました。
 人事委員会側は初任給課題について「重く受け止め、課題として認識している」とし、昨年度から任命権者と協議を始めていることを明らかにしました。学労川崎の長年の要求が、実現に向けて動き出しています。なお初任給経験年数加算上限の問題は、市職労・川教組等で構成する市労連も今年から、「適正な水準の確保」を求めるようになりました。
 この他、年次休暇の時間取得制限撤廃や子の看護休暇の対象年齢引上げについても重点的に要請しましたが、こちらは前向きな姿勢は見られませんでした。

賃金確定交渉へ

 給与勧告は平均年間給与1.59%引上げというものですが、昨年4月以降の月々の消費者物価指数(対前年同月比)は2.8~5.1%で推移しており、物価高騰に見合った水準とは到底言えません。
 市当局との賃金確定交渉は来週から始まります。学労川崎は8/21提出の賃金要求書(本紙801号付録掲載)への回答と当局提案を待ち受け、要求実現・賃金引上げ等を目指して交渉していきます。
 

 

学労川崎の2度にわたる要求が実現!

現職臨任・任期付職員への次年度勤務意向調査

今年から学校事務職員も対象に

 
 川崎市教委は10/12付で「代替任期付職員・臨時的任用職員・会計年度任用職員の継続意向調査について(依頼)」を校長宛に発出しました。これは現職の臨時的任用・任期付・会計年度職員を対象として、本人の直接回答(LoGoフォーム)により次年度の勤務意向を収集するものです。
 実は同調査、昨年度は教員と栄養職員のみが対象で事務職員は対象となっていませんでした。調査手法も、校長が対象者から意向を確認し校長が調査票を記入・提出するという方法でした。
 学労川崎は昨年12/2と今年7/26の2度にわたり、市教委当局に申入書を提出。この中で次の事項を要求しました。(文言は7/26申入書より)

▽現に勤務している臨時的任用職員・任期付職員につき、職種に関わらず全ての職員に対して次年度の勤務意向調査を行うこと。
▽前項の実施にあたっては、校長が意向を聞き取り書面化するのではなく、会計年度任用職員における再就職(就労)意向調査の例と同じく、職員本人が書面を記入しこれを集約する形をとること。

 今年度の対象と調査方法の変更は学労川崎の要求が実現した形。有期雇用職員の労働条件・労働環境向上に向け、引き続き取り組んでいきます。
 

 

昇任昇格基準交渉…「基準」が「基準」になってない!

 
 学労川崎は5月に提出した《「教職員人事異動実施要領」に関する申入書》《昇任昇格基準に関する申入書》(本紙797号掲載)をめぐり、7/31と8/23に川崎市教委当局と交渉を持ちました。このうち人事異動については800号既報の通りで、今号は昇任昇格基準について。
 昇任昇格をめぐっては、そもそも学校事務職において4級(係長)・5級(課長補佐)といった職位に応じた「職務」や「能力」とは何か、1人配置も多い学校事務職においてそれは存在するのか、を焦点にやり取りしました。市教委当局は全庁統一の「市人材育成基本方針」に示される「標準職務遂行能力」を挙げましたが、その内容は学校事務職に合致していません。
 例えば4・5級には「部下の指導、育成」といった職務が盛り込まれています。しかし学校事務の世界では、30年目の5級職員が2~3年目の1級職員に教えを受けることはいくらでもあります。今現在、4級ながら1人配置校勤務の職員は複数いますし、かつては5級に昇格してもなお1人配置校で継続勤務した職員もいます。そうかと思えば、1・2級=「職員」職位のペアでの2人配置校もたくさんあります。4人配置校にも4・5級職員は配置されていません。何より、学校事務職員間において級・職位の違いは上司・部下の関係を意味するものではなく、「指導、育成」すべき「部下」など存在しません
 各級=各職位に応じた「職務」「能力」が実態と合っていなければ、市教委による選考の根拠も不明確だし推薦内申する校長も判断に困るし、学校事務職員の側も何をなし何を身につければ昇任昇格できるのか、さっぱりわかりません。今のままでは「基準」が「基準」になっていない状況であり、だからこそ客観性の高い基準に改めるべきだと迫りました。
 当局は「意見として受け止める」と応じるにとどまりましたが、「選考に係る『標準職務遂行能力』を校長に周知していない」との学労川崎の指摘を受け、そちらは今年度初めて、参考資料として配布されました。
 なお、昇任昇格をめぐり校長が作成する内申書・推薦書について、当の事務職員に下書きさせようとした事例がかねてあり、今年も同様の告発が届いています。そんな校長の「内申」が4・5級昇格にあたっては第一関門。下書きを断ればそもそも内申自体なくなるでしょう。こんな選考に道理はありません。

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