忍者ブログ

学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」800号(2023年8月28日発行)

8/9「学校事務職員の業務に関する調査」における設問の「意味」

市教委当局明言「調査項目のすべてについて、

ただちに学校事務職員が行うべき、という視点ではない」

学労川崎の指摘を受けQAも追加発出

 

幅広・膨大な調査項目の「意味」

 川崎市教委は8/9、「学校事務職員の業務に関する調査の実施について」事務連絡を発出。9/8が回答期限とされています。
 この調査は前号で報じた「学校事務職員の在り方検討」の一環として実施されているもの。学労川崎は7/31に、「在り方検討」の開始に関する説明と合わせて「業務分担の分析のため8月中にアンケートを実施する」旨、情報提供を受けていました。収集された回答が分析に付され、今後の「在り方検討」の材料になる見通しです。
 ただ、いざ発出されたものを目にして驚きました。示された事務例=調査項目はあまりにも幅広くかつ膨大な総量を成しており、「こんな業務を/こんなに業務を、やってる学校事務職員なんていないよ」と言いたくなるもの。多くの皆さんも同じではないでしょうか。実際、不安を訴える声が寄せられています。
 前号でも一部報じましたが「在り方検討」においては、見込む効果として「学校管理職を含む教員の負担軽減と時間外在校等時間の縮減」が、検討内容として「教員の負担軽減等の効果」「標準的職務内容の見直し」「学校事務職の関わり方(主体的又は支援的関わり)」「業務移管のあり方(職員室→事務室、事務室、集約組織)」等が盛り込まれています。
 このため結論がどうなるかは別として(←ここ重要)、検討の中では現在のところ多くの学校事務職員にとって担当業務ではない業務、あるいはいずれの学校事務職員にとっても担当業務ではない業務も含め、学校事務職員への業務転嫁が検討に付される可能性は高いと言わざるを得ません。
 そうした背景を踏まえて今回の調査を見ると、「今現在その業務を担っているかいないか」自体を価値評価したり、調査を通して何らかの誘導や威迫を図る意図を持ったものではない、と解釈するのが正確です。そんなことをするまでもなく、当局はこれから検討会議まで立ち上げて、標準的職務内容や業務移管も含めた検討を始めるのですから。
 前号でも述べたように、学労川崎はこの動きに強い危機感をもって対処していきます。ただだからこそ、「調査」の意味を深読み・先回りして不安感を抱く必要はないということも強調しておきます。
 

「調査項目=学校事務職員の仕事」ではない

 ただこうした調査の背景・意味は、組合として当局より説明を受け、その内容や提供資料を組合員全体で共有しているからこそわかること。いきなり調査通知を受け取った立場ではわかりにくいものです。情報を役員で独占せず速やかに組合員に共有する学労川崎に加入することの意義はこうしたところにも表れるのですが、それはともかく。
 背景がわからないまま今回の調査を受けて、管理職や一部の学校事務職員の間で「ここにある業務は学校事務職員がやるべき/やらせて良い業務」といった、「勘違い」ないし「意図的な曲解」が生じ広まる可能性は、充分に考えられます。それは学校事務職全体の労働環境悪化を生み出すもので、黙過できません。
 そうした問題意識から、学労川崎は事務連絡発出翌日の8/10に書記長名で、調査項目の中に《学校事務職員の担当とはなり得ない業務》《特定の者に「職務」として付与するにはふさわしくない業務》《学校により現状では発生・存在していない業務》等があると具体的に指摘。実態把握の手法として課題があるほか、「調査対象業務は学校事務職員がやるべき業務」との誤解が広がる恐れがあり正確な意図を補足することが必要であると申し入れました。当局はこれを受け、「後日QAのような形式で学校宛てに発出するかどうか検討する」と回答。その後8/23にQAが発出されました。
 また、調査対象とした「事務例」(大項目・小項目)について「調査項目のすべてについて、ただちに学校事務職員が行うべき、という視点ではなく、あくまでも学校に置いて行われている事務的業務の分担の実態を把握するもの」(当局回答原文ママ)ということも確認しました。当然ながらこれは全校・全職員に適用される考え方です。
 今回の調査を受け、「ここにある仕事、やらなきゃいけないの?」と不安に感じている方、管理職等からそうした圧力を受けている方は、ぜひご相談ください。
 

 

異動基準交渉

異動に伴うストレス対策・昇任者異動実態等で追及

 
 学労川崎は5月に提出した《「教職員人事異動実施要領」に関する申入書》《昇任昇格基準に関する申入書》(本紙797号掲載)をめぐり、7/31と8/23に川崎市教委当局と交渉を持ちました。
 人事異動基準を定める「教職員人事異動実施要領」では、19年異動から強行された7年から3年への年数短縮と係長・課長補佐昇任選考合格者を異動対象とする規定について、昇格基準では、年齢や在職・在級年数と言った客観的要素が大幅に後退し主観的な推薦・選考により不透明な昇任昇格人事=賃金格差が生じていることについて、改善・是正を求めました。当局は前年同様の基準と考え方を改める姿勢を見せず、結果として改善・是正には至りませんでしたが、学労川崎は具体的な材料・論理を積み上げ追及しました。
 異動年数をめぐってはまず、短縮のメリット・デメリット双方を検証し「3年か7年かの二者択一ではなく妥当な年数を共に検討しよう」と当局に呼びかけました。そのうえで、市教委の発行する「メンタルヘルス対策の手引き」で異動がストレス要因の筆頭格に挙げられていることに触れ、7年から3年への異動年数短縮=頻繁化により単純計算で2倍以上のストレスを課していることになると指摘。異動の頻繁化に合わせてストレスを緩衝する対策を講じたのか質しました。当局は、異動がストレス要因になること、その頻繁化に合わせたストレス対応は特段取っていないことを認めました。これは労働安全衛生上大きな問題です。
 係長・課長補佐昇任者を異動対象とする扱いについては、そもそも学労川崎は従来より昇任昇格と異動を結び付けることに反対してきたと述べたうえで、この規定が適用された19年度以降5回の人事異動では、初年度を除く4回(20~23年度)の昇任者全13人、誰一人として異動していない事実を突きつけました。「3年」については5年までと限度を切って異動させない明文規定が存在しますが、昇任者を異動させないためのそうした規定はありません。
 当局は「本人より現任校継続希望が示され、それを尊重した結果」と回答しましたが、ならば3年を超え5年を超えても本人の継続希望を尊重し異動させないことだって、同じ割合で行われなければ理屈に合いません。実際にはそうした例はありません。
 人事に例外取り扱があることは私たちとしても否定するものではありませんが、「4年連続・全13人」はもはや「例外」とは言えません。当局が決めた「要領」の規定を他ならぬ当局が毎年守らない様は、恣意的で不当な情実人事が疑われても仕方ありません。
 学労川崎は、同規定はもはや死文化しているのだから削除すべきだと迫りましたが、当局は拒否。ならば24年異動では係長・課長補佐昇任者は確実に異動させるのかとの追及には、はじめ「要領の通り」と言葉を濁しつつ、最終的には「原則として異動させる」と明言しました。合わせて過去4回の取り扱いについても「要領と違う」との認識を示しました。
(昇任昇格に関する詳報は後日)


PR

学校事務職員労働組合神奈川

連絡先
横浜市港北区篠原台町36-28
 東横白楽マンション602
shino3628★gmail.com
(★を@に変えてください)