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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」798号(2023年6月16日発行)

学校事務職員の欠員未補充めぐり市教委・当該校校長と相次いで労使交渉

当局「未任用の臨任登録者は70人」

それなのになぜ2か月経っても未補充?!

 
 近年、全国で「教員不足」が問題となっています。定数欠員や休業休職(以下まとめて「欠員」)を補充する臨時的任用教職員が配置されず、「担任がいない」「特定教科の授業ができない」といった事態まで生じています。川崎市でも同様の状況が生じていることは、すでに多くの事務職員の皆さんも自身の職場で実感しているのではないでしょうか。今年4/6時点での川崎市立小・中・特別支援学校教員の欠員未補充は、49.5人にのぼるということです。
 しかし実は、欠員未補充は教員だけではありません。免許職ではない学校事務職においても4月時点から欠員未補充が存在し、しかもそのいずれもが6月半ばの今に至っても解消されていないのです。未補充は聾学校(休業休職代替未補充)、菅生小(欠員未補充)、南加瀬中(同)の3校3人です。
 言うまでもなく、「教職員定数」は根拠があってその定数が決まっているものであり、それが遵守されるべきであることは当然のことです。本来配置されるべき職員が配置されないということは、当該校の現職者に不必要・過度な業務負担=長時間労働や労働強化(労働の過密化)を課されることを意味し、容認できません。そもそも定数充足は、教育委員会事務局人事部門の基本的な責務。「欠員未補充=定数の空洞化」は学校事務職のあり方を不安定化させ、「共同学校事務室」「行政事務との任用一本化」と三位一体で職全体の労働環境と雇用を危うくするものであり、問題は個別の学校にとどまりません。
 学労川崎はこうした欠員について市教委当局に対し、年度当初から定数充足を求め、4/26には欠員の解消を求める申入書を提出しました。
 
欠員の解消を求める申入書
 
 私たち学校事務職員労働組合神奈川は、学校事務職員の労働条件改善に向け、様々な取り組みを進めています。
 教職員の適正かつ十分な配置がなされるか否かは、現に勤務する教職員の業務量=労働条件に直結するとともに学校教育の安定的な実施にも関わることであり、学校教育を人的側面から保障する任命権者として万難を排して講ずべき責務です。
 とりわけ昨今は「教員不足」が全国的に課題となっていますが、貴職としても定数に対する教職員の不足を黙過して良しとする考えはもちろん持っておらず、あらゆる手立てを尽くして欠員の解消に取り組んでいるものと認識しています。
 しかしながら今年度、教育職にとどまらず学校事務職においても、年度当初から欠員が生じ今なお解消に至っておりません。このことは「教員不足」同様に重要な問題であり、速やかに解消すべきものです。
 つきまして、以下の通り申し入れます。
 
1.現に生じている学校事務職の欠員を速やかに解消すること。このため臨時的任用職員登録者へ速やかに任用の打診を行い、なお解消できない場合は退職者・経験者に登録の呼びかけを行うこと。
 
 しかし進展はなく、結果6/7に設けられた労使交渉で追及するに至りました。
 学労川崎の事前照会を受けてまず当局は、未任用の学校事務職臨時的任用職員登録者が【70人】もいることを明らかにしました。それだけ登録者がいながら補充に至らないのは摩訶不思議。加えて学労では、登録者でこのかんまったく任用打診の連絡を受けていない方の存在も把握しています。
 このことを踏まえ、実際に何人に任用の打診を行ったのか質しました。申し入れ内容の核心であり当然用意していてしかるべき回答ですが、当局は「確認して後日回答する」。学労としては「交渉準備として不誠実」と批判しつつやむなく承諾しました。
 3校の欠員をめぐっては、「1校は会計年度任用職員を配置済、1校は7月に臨任を配置予定、1校は未定」と回答。学労からは「会計年度任用職員の配置は欠員補充には当たらない」と指摘し当局も認めたほか、7月というのは遅いし未だに決まらない学校があるのもおかしい、と追及。70人も登録者がありながら3枠いずれも2か月以上欠員が続くというのは、人事当局の不作為を疑わずにはいられません。
 学労川崎はさらに5/24、欠員校であり組合員勤務校でもある聾学校校長に労使交渉を申し入れ、市教委交渉の翌日6/8に交渉。同校長からは、折に触れて代替職員の配置を市教委に要求している旨の説明を受け、学労からは前日の市教委交渉を基に「臨任登録者は70人。人がいないわけではない。組合も頑張るが校長からも市教委に、強く配置要求を」と申し伝え双方取り組むことを確認。同日、市教委当局に校長交渉の経過を伝え「現場校長も配置を強く望んでいる。速やかな配置を」と改めて念押ししました。
 当たり前の定数配置が崩れた先に人員削減と業務増があり、その受け皿と称しつつ事態をさらに悪化させる、共同学校事務室・学校事務のセンター化・任用一本化といった人員合理化・廃職攻撃があります。
 学労川崎は学校事務職員の労働環境と雇用を守るため、事態改善に向けて具体的に取り組んでいます。
 

 

昇給制度 影響力が大きすぎる「困難度」

6号昇級は全員「困難度A」  「困難度A」45人中42人が6・5号昇給

 
 川崎市における4/1定期昇給は基本が4号昇給のところ、前年度の人事評価結果により6号昇給・5号昇給が存在します。人事評価により昇給幅に差をつける制度自体、実は当たり前のことではなく、導入していない自治体は数多くあります。
 川崎市の教職員賃金制度ももともとはそういう制度ではありませんでした。人事評価による昇給制度導入にあたり財源とされたのは、それ以前、客観的な基準で平等に分配されていた「特別昇給」です。元来誰でも平等に受けていた賃金原資を、「評価」という主観的・管理的な価値観で左右するものであり、学労川崎はそうした考え方自体を批判しています。
 さらに、市費移管を機に人事評価→昇給決定に新たな要素が加わりました。それが「困難度」です。
 人事評価を昇給に反映させるにあたっては、各項目の評価結果(S~D)を数値に換算し、その合計数により最終評価が決定されます。「困難度」はその換算にあたってウエイトをつけるもの。ある項目について同じA評価であったとしても、「困難度B」の人は8ポイントのところ「困難度A」の人は10ポイントに換算される仕組みです。困難度Aは学校ごとに職種横断で25%以内の教職員に割り振られます。教員出身の校長が、教員も事務職員も栄養職員も並列にその職務の「困難性」を判断するというのです。
 学労川崎はこの「困難度」を、格差昇給への主観性・恣意性を一層拡大させると批判。毎年当局に、学校事務職の最終評価=昇給区分ごとの人数と「困難度A」の内数について情報提供を受けています。
 今年の結果は表の通り。困難度Aならまず間違いなく6・5号昇給。この傾向は毎年のことです。困難度が過剰に影響しており制度のいびつさは明らか。学労川崎は市教委当局に改善を求め続けています。
最終
評価
総人数 困難度
A人数
21 21
36 21
167

 

 
【書記長雑記】
▽学校行事での「祝金」受領文化とともに、教頭管理の「謎のお金」に強い疑問を抱いている。最近の「公費でまかなうべきは公費で」の風潮の広がりは歓迎。旅費不正受給事件の影響か公用自転車のニーズが高まり、再利用自転車の提供申請を検討する学校があるようだが、実はこれに必要な防犯登録代も公費で措置できる。数年前に経験済み。お問い合わせがあれば資料提供します。 
▽いつからだろう。閉じ口に養生テープが貼られた集配用再利用封筒をよく見かける。新品角2封筒が1枚6円のところ、養生テープを角2の閉じ口に貼るとだいたい45cmで4.3円。養生テープはごみ問題の代表格・プラスチック製。何のための「再利用」? 費用、環境負荷、加えて手貼りの作業コストを総合すれば、やめるべきだと思うのだけれど…。
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