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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」796号(2023年4月10日発行)

小学校自校献立食材の支払事務 事務職員に転嫁へ

学労川崎は交渉で反対―譲歩案を示すも当局は応じず―業務増の認識は確認

 
 2021年度に始まった給食費の公会計化。これに伴い小学校自校献立の食材購入について、財務会計システム上で各校に予算配当がなされ支出負担行為兼命令により支払を行うよう変更されました。
 元来、自校献立食材の契約・支払は栄養教諭・学校栄養職員が行ってきたものです。学労川崎は、財務会計システムに移行することで学校事務職員に業務転嫁されることを危惧。新規業務導入・業務負担増に反対し20年8月に市教委当局に申入書を提出。給食事務説明会開催を前にした12月に交渉を持ち、以下の通り労使確認をしました。
〇説明会通知の言う「給食事務を担当する職員」=給食事務担当者というのは一般に、栄養士もしくは給食主任が担当していること
〇自校献立食材の契約・支払事務は給食事務担当者が行うこと
〇給食事務担当者が契約・支払事務を行うに当たって、教育委員会は初めての人でもわかるようなマニュアル作成等の措置を取ること
 実際、丁寧なマニュアルが作成され多くの学校で栄養教職員により支払事務が行われてきました。
 ところがこのほど、当局は「自校献立実施に係る標準的職務分担表」を組合に提案。その内容は、食材費の事前確認から納品書の確認、請求書の作成・送付と支出処理について事務職員の担当と明記するものでした。当初の危惧がやはり的中した形です。
 学労川崎は4/6に労使交渉。当局は理由として「審査差戻しに一部の栄養教職員が対応せず支払遅延が発生。昨年11月に栄養全体会で1時間かけて説明したが解消に至らない。だから精通している事務職員に」というものでした。
 一般論として、支払事務を事務職員に移管すること自体の合理性は否定しません。しかし、事務職員にとって定量的な業務増であること、やるべきことをやらない一握りの栄養教職員を結果的に追認する形であり理由として適切ではないことから、容易に受け入れられる話ではありません。
 それでも譲歩案として、自校献立食材支払事務について事務職員の職務と明示するなら、逆に給食管理システム・給食費徴収システムは事務職員の職務ではないことも明示するよう求めました。それをするなら本件は呑む、としたところです。しかし当局は「即答できない」としたことから決裂。通知強行の構えです。
 ただ交渉の中で「事務職員の業務増になること」「自校献立給食の実施そのものについて事務職員も当事者となること」の2点は確認。さらに1点目を前提に、代替の負担軽減を講じるよう校長に周知することも、持ち帰り検討扱いにさせました。
 

 

旅費不正受給事件 当局の人事施策上の責任を追及

 
 3/29に発表された南野川小の旅費不正受給事件。校長・教頭に第一義的責任があることは当然ですが、若年で係長に昇任し「事務の適正化」を掲げる学校業務相互支援事業の地区代表者も務める同校事務職員が、「不適切な処理であると知りながら」2年で197件・18万円以上もの、突出して多数・多額の不正受給を行っていたことも重大です。
 学労川崎は4/6に当局と協議。事件の詳細を聞き取るとともに、若年昇任や代表者指名といったこれまでの人事施策の妥当性と今後の対応を糺しました。また、全校調査についても説明を受けました。
 

 

臨時的任用学校事務職員の無期雇用転換を求める陳情

結果は「不採択」も議員からは前向きな受け止め相次ぐ

 
 既報の通り学労川崎が川崎市議会に提出した「市立学校で長年にわたり正規職員同様に働き続けている『非正規学校事務職員』(臨時的任用職員)の無期雇用転換を求める陳情」。これについて3/13、市議会文教委員会で審査が行われました。
 はじめに教育委員会事務局から、地方公務員法の規定等を示し無期雇用転換は困難との見解が述べられたのちに、議員による審査へ。
 発言順に共産党からは「1年の細切れでなく同じ事務職員が学校に居続けることはメリット」、みらい(旧民主党系会派)からは「採用試験では経験を加味して採用を」、公明党からは「処遇改善の努力と現場の声を聞くことが必要」といった発言がありました。
 そのうえで取扱いについて、自民党・公明党・みらいと無所属の2議員は「不採択」、共産党は「趣旨採択」の意見。結果、残念ながら不採択となりました。
 しかし、不採択意見はいずれも「法の定め」を理由とした上で、「同じ学校に居続けるメリットに配慮を」「内容としては耳を傾けなければならない」「気持ちはわかる」「問題提起としては大切」など、問題自体に対しては前向きに受け止める声が相次ぎました。
 一方で、川教組組織内議員・露木明美氏(みらい)がこの場で「不採択」に立った事実は明記しておきます。さらに同氏は、29歳を超えると採用試験を受けることさえできないことは陳情書の中で明記してあるにも関わらず、「試験で通らないのか、そもそも受けていないのか」「教員では敢えて臨任を選んでいた人がいた」と発言。問題の所在を理解していない上、審査する陳情の中身もまともに読まずに発言する不真面目さは、あまりに残念でした。
 ともあれ、もとより容易に突破できる壁とは考えていません。私たちは今後もあらゆる手法を駆使して、無期雇用転換実現に向けた取り組みを続けます。志をともに。全ての労働者の安定雇用を目指しましょう。

当事者の傍聴記―より良い雇用の実現に向け活動を続けていく

 
 新卒初任給が大幅アップしたとの報道を聞く事もあれば、パートから正規職員に転換したという話も度々耳にする今日。待遇の改善を実施する企業が続々と出てきており、雇用環境改善への歩みが着々と進んでいるように見えます。
 一方、そのような流れの中で非正規学校事務職員はどうでしょうか?幾らかの改善が見られましたが、まだまだ十分とは言えない状況と思うところです。
 50歳フルタイム勤務で手取り約22万。それが非正規学校事務職員の給与です。他の非正規という条件で働いている人と比べればまだ恵まれている方だからそれでいいじゃないかと思う方もいるかと思いますが、まだまだ厳しい状態かなと思います。
 そもそもなぜ十数年も非正規として働いているのか。答えは単純で正規職員への道が閉ざされているから。非正規という条件が好都合だからではありません。正規職員としての勤務が望ましいです。
 そんな中、非正規学校事務職員の無期雇用転換を求める陳情を審査する、市議会文教委員会が開かれました。長年非正規として勤務し、毎年ごとに任用に悩まされていた私としては待望の瞬間でした。無期雇用転換への一歩とともに待遇改善への期待が大きく膨らみました。
 陳情審査の結果は不採択となってしまいましたが、この委員会のなかで次につながるであろう発言を聞く事ができました。そして大きな希望を抱くことができました。
“民間では5年以上働いていれば無期雇用転換、学校事務職員も同様である、正規化に賛成”という発言があり、長年非正規事務職員として働いてきた私にとって大いに勇気づけられました。非正規という弱い立場の者にも救いの手を差し伸べてくれる議員が居たことに、目頭が熱くなりました。
 さらに複数の議員から“現行の法のもとでは陳情採択は難しいが、今後の課題として考えていかねばならない”という発言もありました。“処遇の改善努力は必要”“陳情の内容としては耳を傾けなければならない”“難しい話だが大切な問題としてとらえている”“法を超える事はできないが気持ちは理解する”といった発言が相次ぎ、陳情内容を問題と捉えていただき、善処するべき内容と見て頂けた事に大きな希望を感じました。
 川崎市教委からも“処遇について手当等を含めて関係部署と調整を図って行きたい”という現状の改善に向けた発言聞く事ができ、待遇改善に大きな期待をしております。
 今回の陳情審査で、長年勤続している臨時学校事務職員の無期雇用転換について、解決すべき事案として捉え改善に向けた歩みが必要という意見を聞く事ができました。そして非正規職員が長年、その職にあり続けている事を問題として考えていただけたことに大きく感謝しております。公務職場から非正規雇用問題に積極的に取り組み、より良い雇用が実現するよう大きな期待をしております。
 そしてそれが実現できるよう、私たちも継続して活動していきたいと思います。


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