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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」793号(2023年1月25日発行)

学校事務職の長時間労働 「教職員安全衛生委員会」へ

時間外勤務「最長586時間・他にも400時間超が2人」の実態を受け

 学労川崎が11月交渉で安全衛生委員会への報告状況を質していました

学校現場の長時間労働・業務負担問題―教員以外の職種についても軽減議論を

 
 本紙前号既報の通り、学労川崎が「定員・予算並びに諸権利交渉」にあたり川崎市教委当局から受けた情報提供によれば、昨年度の学校事務職員の時間外勤務が最長で年586時間超に及んでいたことがわかりました。その他にも2人が400時間超に達しています。
 私たちがこれを報じたのち、長時間時間外勤務について年休取得と絡める噂話が出回っているようです。私たちは出所も真偽も不明な噂話に左右されるものではありませんが、敢えて噂される年休との関係を解けば、年間付与日数20日×8時間で160時間。仮に586時間からそれを全部引いても426時間。それでもなお36協定&労基法違反の水準です。噂話の背景には、事務職員の長時間労働の実態が明らかになることが不都合であり矮小化したい勢力がいるのかもしれませんが、事務職員の業務増を進めてきた結果生じている問題を直視すべきです。
 さて、学労川崎は11月の交渉でこの問題を取り上げ、36協定&労基法違反であることに鑑み「安全衛生委員会での取り扱いはどうなっているのか」と質しました。これについて当局は12月の労使折衝で「安全衛生委員会で年度内に扱うことになった。教育職以外の他職種職員の長時間労働についても注意喚起する」と表明しました。
「安全衛生委員会」は労働災害防止・健康保持(メンタルヘルスも含む)等のため労使が一体となって調査・審議を行う機関で、川崎の教職員安全衛生委員会は市教委当局と校長会、産業医、そして川教組で構成されています。しかし当局によれば、従来そこでの長時間労働問題の取り扱いは教育職を想定したものが中心で、それ以外の職種が意識されることはありませんでした。労使で労働安全衛生を審議する場でさえ少数職種として顧みられてこなかった中では、「教員の負担軽減のために事務職員はもっと働け」という暴論が大手を振るのもうなずけます。
 今回の展開はそうした状況に一石を投じるものであると考えます。事務職員も含む教員以外の職種の労働安全衛生上の課題が取り上げられること。これまで顧みてこなかった当局・校長会・川教組の構成委員がそうした職種にも向き合うこと。それが重要です。
 ただちに何かの結果につながるかはわかりません。ただ何より、顧みられてこなかった事務職員の長時間労働・労働安全衛生を正式な場に押し上げたことは、学労川崎の大きな成果だと言えると思います。
 


 

定員・予算並びに諸権利に関する交渉報告(後編)

 
学労川崎は「2023年度に向けた定員・予算並びに諸権利に関する要求書」をめぐり、11月に川崎市教委当局と交渉を持ちました。前号に続き、今号は庶務・給与厚生・学事と環境整備・教育政策の3課2室です。
 

~庶務課~文書送付めぐる現場実態を訴える

 学校宛通知類の電子文書施行のみでの送付が増えたのは2019年頃のこと。それ以前は通知はすべて集配で届くものでした。計画配置PCの台数が限定的な学校では、結局プリントアウトして担当に回すのが一般的。学校現場への業務増をもたらしています。当局は「ペーパーレス化・電子化推進」と説明しましたが、環境整備が伴わなければ負担が増えるだけです。そうした実態は「理解する」と表明。また送付方法の明示が徹底されていないことを指摘。全課への周知徹底を確認しました。
 現在2万円となっている備品・消耗品区分ですが、国は5万円。他の自治体でも金額引上げが行われています。当局は「今のところ見直しの話はない」としつつ、引上げ要求については機会を通じて財政局にも伝えていくと応じました。
 

~教育環境整備推進室~事務室の位置づけ・適正利用で認識共有

 学労川崎は「事務職員の労働条件として事務室は必要」との立場から、1981年の結成以来事務室設置運動を強力に展開し、当時1割に満たなかった川崎の学校事務室設置率を全校設置に押し上げました。そのさなか、82年に市教委が示した「事務職員にとって事務室は必要」との見解を本交渉でも確認。そのうえで、本来事務室に置くべきではない物品が事務室に置かれるなど、適正利用の面における課題も提示・共有しました。
 要因のひとつである職員室の狭隘化については、当局も様々な対応を講じているとのこと。ただ、事務室環境の適正化は学校内における職種間平等が実現しているか否かという面も大きなところです。
 

~給与厚生課~過度な情報収集と時代錯誤の続柄表記に是正要求

 人事・給与手続きにおける過剰な個人情報等の収集について毎年問題にしています。扶養に入れるわけでもない一般人である配偶者の氏名・生年月日等をなぜ届け出なければならないのでしょう? 住民票上は「子」で統一される続柄が、なぜ長男次男…長女次女…なのでしょう?
 前者については住居手当の重複防止との回答。それであれば住居届に市職員同居の入力欄があるのだから、と問うと「入力しない人がいるので扶養親族届もチェックしている」。しかし、配偶者のいる職員と住居手当重複受給の可能性が生じる職員の数には大きな差があります。必要性の説明としてちぐはぐと感じざるを得ません。後者については児童手当認定時の都合を理由としましたが、出生順が男女混合ならこの記載で第何子かは判断できません。
 過度なプライバシー収集や、続柄記載をめぐる長幼の序列化は行政機関として適切ではなく、見直すべきだと改めて申し入れました。
 このほか、長時間労働に対する労働安全衛生所管機関としての意識喚起、教職員運動会に代わる直営・全職員対象の福利厚生実施、事務説明会の実施・充実等を求めました。
 

~学事課~徴収金・行事祝金等めぐる悪習の一掃求める

 学校徴収金をめぐっては文科省より「学校以外が担うべき」とする通知があります。現状や将来に対する認識を質しました。当局は、学校により経費がバラバラで学校で行う部分は残ること、給食費公会計化の際に検討したが学校ごとの単価の違い等から一本化は困難との結論に至ったとの経過を説明。課題認識はあるが具体的な検討には及んでいないとしました。
 徴収金自動振替での親睦会費等業務外の利用をめぐり学労は、不適切であるうえ徴収種類が増えればそれだけ振替事故を招くと指摘。当局は、いくつかの学校を見た中ではそうした例はなかったとしつつ、保護者からの徴収金に用いるということで金融機関に無料でやってもらっているところであり、そうした利用は適切ではないとの認識を示しました。
 行事等における現金受領をめぐっても実態把握と是正を要求。当局も一部で不透明な実態があるとして、「職員が勤務時間中にやっていいものではない」とし、事例を具体的に示して注意喚起を行っていきたいとしました。この課題では、PTA会計を職員(主に教頭だが学校によっては事務職員も?)が担当していることも問題につながっているとの認識も共有しました。
 このほか、財務事務説明会の中止が続いていること、事務ミス防止や全庁検査等で財務執行の厳格化が進んでいることを念頭に、事務説明の機会の実施・充実等を求めました。
 

~教育政策室~ 「改革方針」めぐり意見交換

 昨年3月に出された「第2次教職員の働き方・仕事の進め方改革の方針」の所管部署。学労川崎からは、具体的な施策が現場で見えてこない、「改革方針」自体も全職員に共有されているとは言えず、内容の是非以前の問題だと指摘しました。当局もそうした事実は認識していると回答。周知の方法について意見交換を行いました。


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