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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」792号(2022年12月23日発行)

定員・予算並びに諸権利に関する交渉報告(前編)~教職員人事課・教職員企画課~

学校事務職員の時間外勤務 昨年度の最長は驚愕の年586時間!!

〇36協定上限=年360時間超えが3人も 明らかになった長時間労働の実態

〇過大規模校そのまま・欠員も発生・上限規制超えの長時間労働もある中で

 「期待される役割」も「教員が子どもに向いあえる時間を作る」もなにもない!

 
 学労川崎は、8月に提出した「2023年度に向けた定員・予算並びに諸権利に関する要求書」(788号既報)をめぐり、11/22・24の両日、川崎市教委当局と交渉を持ちました。「定員・予算要求」は定数問題や予算措置が関係する労働条件・事業・施策について、諸権利要求は休暇制度等の権利について、組合の要求をまとめたものです。交渉では要求への当局回答をもとに、市教委各課長に対して学校事務職員を取り巻く課題や現状を訴え、解決を強く求めました。今号は教職員人事課・教職員企画課編です。
 
 学校事務職の定数・雇用・働き方・権利等、幅広く関与するこの2課とは一括で交渉。「学校事務職員制度」「定数配置・共同実施と業務負担」「有期雇用労働者課題」「権利」を大きな枠組みとして、多岐にわたる交渉協議を行いました。
 

~学校事務職員制度~

学校事務職種維持・任用一本化反対の要求に対し引き続き「当面存続」「検証・検討」の回答

 現行学校事務職員制度(学校事務職種)堅持の要求について当局は、17年の市費移管時見解である「学校事務の職種は当面存続」の回答を維持。学校教育・学校運営及び教育行政の充実に向け、学校事務職に期待される役割やキャリア形成等の動向を踏まえ、標準職務や学校運営体制の在り方との関係も含めて検証・検討していくとしました。
 学労川崎は反対している、一般行政職との任用一本化をめぐっても同様に「検証・検討」としつつ、「今すぐ」という段階ではないと回答。ただし、人事交流については先行する可能性があることを示唆しました。
「当面」との頭文字がつきがちなやり取り。学労川崎は「中長期的に、学校配置の事務職は必要な職であることの確認」を要求。当局は「学校事務職が担っている業務について、いらないという話にはなっていない」との発言を引き出しました。
 

~定数配置・共同実施・業務負担~

不充分な定数配置と上意下達の関係性が業務増と長時間労働を招く

 定数配置をめぐっては中央支援学校・西中原中等の過大規模校を念頭に充実を求めた上で、少なくとも義務標準法が定める定数の「遵守」を要求。当局は「遵守」の言葉は避け「基本」「ベース」との表現に終始しましたが、少なくとも職種間定数の流用が「前提」となることはない旨、確認しました。
 また、退職や休業休職の代替職員配置状況を確認したところ、未補充欠員が2人いることが判明しました。「教員不足」は広く知られているところですが学校事務職でも同様の状況があります。経験者への声掛け等による速やかな配置を要求しました。
 共同実施・共同学校事務室について学労川崎は、行政合理化と階層化・上意下達の関係性のもとパワハラ・業務増・定数削減・学校運営環境悪化といった弊害が全国的に明らかになっていると指摘。反対を強く申し入れました。当局は従来通り「選択肢の前段階の検討項目のひとつ」との回答で、その検討状況の進捗も特段ないと回答しました。
 ただ学校業務相互支援事業においても、そうした階層化・上意下達・業務増の強制の場となっているとの訴えが届いています。不合理で強制的な会議ルールを定める地区代表者がいることもわかっています。そもそも地区代表者であろうが課長補佐であろうが、他校の事務職員の職務担当=校務分掌に口を出すのは学校教育法に反する越権行為です。
 そうした問題性を指摘したうえで、同事業について「共同実施ではない」「業務負担を増やすためのものではない」という従来の労使確認を再確認。当局が示す「事業のイメージ」では、「コアな業務」の上に「教員が子どもに向いあえる時間を作るためにできること」と称して様々な業務を上乗せする構造になっていますが、これも「そこに挙げられているすべてを事務職員がやるということではない」「業務過多になることのないよう留意が必要」との見解を確認しました。
 しかしながら、現に業務過多は生み出されています。本交渉にあたり当局より提供を受けた情報によれば、昨年度の学校事務職員の時間外勤務は、最長の職員で年586時間55分にのぼることがわかりました。以降も約473時間・419時間と続きます。
 労働基準法の定める時間外労働上限規制は年360時間。学校事務・栄養職員の時間外勤務を合法化しかつ規制する「36協定」(川教組が現場に諮ることなく市教委と締結)も同じく360時間です。36協定に反して働かせることは労基法上の罰則対象となる、非常に重大な問題。当局も「課題意識は持っている」としましたが具体的な対策が必要です。
 また労働側にとっても、学校ごとに結ぶべき36協定を川教組が一括で締結したうえ遵守状況を顧みることもせず「結びっ放し」にし、その結果長時間労働規制としての36協定が実効性を持っていない事実は、重大な教訓です。教員が対象外である協定には無責任・無関心な川教組。36協定当事者としてふさわしくありません。
 ここまでの、定数配置―共同実施(共同学校事務室)―相互支援事業―業務増―長時間労働は一連のものです。学労川崎は総括して「過大規模校は解消されない・欠員は埋まっていない・36協定守れてない。そんな状況で当局が言う『事務職員の職務の平準化・標準化』、これは結局業務量の上乗せになると考えるが、そういったことが許される前提にない」と強く申し入れました。
 

~有期雇用労働者~

臨時的任用・任期付職員の雇用確保と無期雇用転換実現への施策を求める

 有期雇用労働者、とりわけ臨時的任用・任期付職員の雇用確保においては、現職者に対して次年度の勤務意向調査を丁寧に行うよう要求。当局は「校長ヒアリングで対応している」としましたが、教員・栄養職員は書面で確認しており、同様の対応を求めました。
 また、採用試験の年齢制限撤廃/緩和や臨任職員対象の採用試験実施について、今年も要求。現に緩和している自治体や試験を実施している自治体も見られると指摘し、川崎市も先進的な取り組みをすべきだと申し入れました。当事者の組合員からも、「強く望んでいること」と訴えがありました。
 

~権利~ 一部で若干前向きな回答

 子のコロナワクチン接種をめぐり、市が保護者同伴を求めていながら、これに伴う特休や職免の措置を職員に保障していないのは矛盾だと指摘しました。しかし当局は「市民の理解が必要。現時点では難しい」との回答にとどまりました。このほか、年休の時間取得制限撤廃と子の看護休暇の対象年齢引上げの要求に対しては、「何とかしていきたいとは思っている」とする、若干前向きな回答がありました。
 
   ※当局回答についてさらに詳しく知りたい方はご連絡ください

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