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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

支部ニュース「学労川崎」791号(2022年11月10日発行)

2022年度賃金確定――物価高に見合わぬ小幅改善にとどまるも

初任給経験年数加算上限撤廃で画期的な前進回答

 
◇2022年度賃金確定の概要(学校事務職員関係)

○基本給
大卒初任給4,000円、若年層を重点に40歳台初めの職員が在職する号給までを引上げ。
引上げ対象は1級全号、2級88号以下、3級52号以下、4級44号以下、5級28号以下。
非常勤学校事務職の時給単価30円引上げ(1,234円→1,264円)。23年4月から実施。
○期末勤勉手当
年間0.1月分引上げ4.4月とし、引上げ分は勤勉手当に配分。(期2.4月/勤2.0月)
再任用は0.05月引上げ2.3月とし、引上げ分は勤勉手当に配分。(期1.35月/勤0.95月)
会計年度任用職員の引上げはなし。(期末手当据え置き2.4月のみ)

→学労川崎は ①物価高に応じた賃上げ対象・水準になっていないこと ②賃上げ原資を成果給部分=勤勉手当に配分としていること ③会計年度任用職員の手当改善が置き去りであること  を主な理由として合意に及ばず。
→市労連の合意により上記内容で確定・実施へ。
 
 学労川崎は川崎市教委当局と10/24、28、11/9と3度の賃金交渉を持ちました。11/9の最終団交で当局は、上記囲みの通り最終提案を提示。これに対し学労川崎は、4月以来前年比3%の物価上昇が続く社会状況を前提に、主に3点の問題点を挙げさらなる改善が必要と主張。合意には及びませんでした。しかし川教組・市職労等で構成する市労連は当局提案に合意し、実施の運びとなりました。
 交渉では、7月と8月にそれぞれ提出した初任給申入書と賃金要求書への当局回答も受け協議。回答はおしなべて慎重なものでしたが、本紙788・789号でも紹介した学労川崎の重点要求事項である≪初任給経験年数加算上限撤廃≫については、「制度の所管は人事委員会」としつつ「臨時的任用・任期付職員への経験年数加算上限については撤廃の必要性を感じている。この考えは人事委員会に伝えていきたい」との回答がありました。
 これまでも紹介してきたように、初任給経験年数加算の10年上限は臨時的任用・任期付職員への実質的な賃金上限として機能しており、それらの職員の賃金改善の上で非常に重要な課題です。
 今後実際に撤廃に進むには、市教委当局と人事委員会との協議、さらに市長部局等他の任命権者も含めた調整が必要と考えられ、直ちに実現に進むかは依然不透明です。しかし当局が「撤廃の必要性」を認め改善に取り組むと明言したのは初めてのことであり、歩幅は小さくとも画期的な前進です。
 大組合にはない学労ならではの、労働者ひとりひとりに寄り添った賃金要求を今後も続けていきます。
 

 

「人事異動」「昇格」で8月・10月と労使交渉【後編】

公平性をないがしろにした基準は運用における不公平をも生み出す

 
 前号に続き、学労川崎が5/25に川崎市教委当局に提出した「22年4月人事異動・職員配置と『教職員人事異動実施要領』に関する申入書」「昇格基準に関する申入書」(本紙787号既報)をめぐる、8/3と10/19の2回にわたる交渉の概要を報告します。
 今回は「昇格」について。
 

昇格における所属長推薦 「頑張っている」の曖昧さ

 昇格基準をめぐっては、昇格選考のスタートラインとなっている「所属長推薦(係長・課長補佐の「内申」も含む)」のあり方について集中的に質しました。
 学労川崎が「レポート昇格該当年数基準を満たさないうちに、所属長が敢えて推薦しなければならないような3級の役割とは何か?」と問うたのに対し、当局は「頑張っている人は評価すべき。モチベーションにつながる。所属長として評価すべきと思ったら推薦するもの」とかみ合わない回答。
 とはいえそこも重要なので「頑張っている」の具体を質すと、「2人職場ならもう1人の職員に業務を教えるとか、他校の職員に業務を教えるとか、校内で様々な職務に取り組み広報したり、工夫するなど」と、ふんわりした説明。学労川崎は「そんなこと学校事務職員はみんな大なり小なりしている」と反論しました。
 元来、複数校で相方に初任者をはじめ経験の浅い職員が来たら業務を教えるのは、誰しもが職位にかかわらずやっている/やってきたこと。主任だとか係長だとか課長補佐だとかになって初めてできること/やることではありません。他校との教え合いや校内での様々な工夫にしたって同じことです。知識や技能の方向性は人それぞれですから、若手であっても人に教える/工夫している場面は多々あります。
 それをいたずらに職位と結び付ける発想は、これまでの学校事務職のあり方を理解しないものであるとともに、仮にそのそのようなあり方にしていくのであれば学校事務職の仕事も関係性も上意下達のものとなり、職全体が荒廃・劣化していくでしょう。
 

校長の経歴による認識格差をそのままに公平な選考はなしえるのか

 学労川崎はさらに所属長推薦について追及。焦点となったのは、推薦にあたり所属長が記入する、「推薦するに足ると考える具体的根拠及び事実」「評価の根拠となる具体的事実」欄についてです。
 これに先立ちまず、事務職員の昇格選考は人事担当課長(多くが教頭から着任しその後校長に転じるポジション)が担当していることを確認。そのうえで、推薦にあたり所属長が記入する「具体的根拠」「具体的事実」の例を公にすべきだと指摘しました。
 所属長によるこの記述は昇格選考において判断材料のひとつとなるものですが、現状ではその例、つまりどんな具体的根拠や具体的事実があれば昇格推薦に値し、そして選考において有利な材料となるのか、明らかでありません。
 こうした条件下では、人事担当課長=選考担当経験者の校長は推薦・内申書にどういうことを書けば昇格選考に有利であるかを知っている一方、それ以外の校長は事務職員のどんな業務遂行が昇格推薦に値するかさえ知らないということになります。ここに格差があって、公平な選考とはなりえない。学労川崎はそう指摘しました。
 しかし当局は「検討する」として回答を避けました。
 

人が人を評価するということは……

 本質的に、人が人を100%正当に評価することなど不可能です。それをあたかも可能であるかのうように装い、「実績評価」「人物・能力評価」「頑張っているものが報われる」などと称して賃金に差をつける仕組みは、人として傲慢なのではないでしょうか。
 売上高のような客観的な指標があるならまだしも、指標もなければこちらの仕事も知らない所属長と人事担当課長による「頑張っている人」とそうでない人の仕分け。こうした賃金体系は学校事務職に適したものだとは思えません。昇格基準の改善とともに、学校事務職に合った賃金体系の追求も続けていきます。
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