忍者ブログ

学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

支部ニュース「学労川崎」790号(2022年10月24日発行)

>>>2022年度人事委員会勧告<<<

賃上げ勧告も物価高騰に見合わない水準

ボーナス引上げは勤勉手当に配分

拡大する賃金格差と置き去りの会計年度任用職員

 
2022年度人事委員会給与勧告概要(学校事務職員関係)
○基本給:大卒初任給4,000円、若年層を重点に40歳台初めの職員が在職する号給までを引上げ。
○ボーナス:年間0.1月分引上げ4.40月とし、引上げ分は勤勉手当に配分。
 
 川崎市人事委員会は10/7、2022年度の「職員の給与に関する報告及び勧告」を公表。上記の通り給与改定の勧告を行いました。
 人事委員会による給与勧告制度は、労働基本権(労働協約締結権やスト権)が制約されている地方公務員に対して、適正な労働条件を確保するための代償措置と位置付けられているものです。
 人事委員会は民間企業における賃金実態等を調査の上、市長と市議会に対して、職員の賃金に関する勧告を行います。これを受け、市長をトップとする市当局と労働組合(職員団体)との間で賃金確定交渉が行われ、そこでの妥結内容が市議会に提案されて所要の条例改正等が可決されることで、今年度の私たちの賃金が確定する仕組みです。
 

勧告に対する私たちの評価

 学労川崎は勧告内容について人事委員会事務局から説明を受けたうえで、生活必需品を中心に物価高騰が進んでいる社会状況を念頭に特に ▽引上げ幅が物価高騰に追いついていないこと ▽基本給の引上げが職員全体(再任用も含む)に及ばなかったこと ▽ボーナスの引上げにおいて民間(4.42月)との格差0.02月が切り捨てられたこと ▽ボーナス引上げを勤勉手当に配分とし会計年度任用職員を置き去りにしたこと の4点の問題点を挙げ、たいへん残念・遺憾な勧告である、と表明しました。
 

長時間労働解消・子看休暇等改善を

 併せて公表されている「人事管理に関する報告及び意見」についても意見陳述。
 長時間勤務の是正をめぐり人事委員会は「事務の効率化」「AI・RPA等のデジタル技術のさらなる活用」への期待を示しましたが、学労川崎は「そうした取り組みは長時間労働の解消・労働関係法令の遵守の為のものでなければならず、人員削減等の行政合理化につながることがあってはならない」と指摘。
 また仕事と生活の調和とりわけ子育て支援をめぐっては、「育休制度改正等は行われたが、育児は幼児期にとどまらない。病気・障がい・不登校等、様々な事情を抱える子どもを持つ職員があり、その多様化と高年齢化は進行している。子の看護休暇対象年齢引上げや時間年休の制限撤廃を」と訴えました。
 市当局との賃金確定交渉は今日から始まります。学労川崎は8/3提出の賃金要求書(本紙788号付録掲載)への回答と当局提案を待ち受け、要求実現・賃金引上げ等を目指して交渉していきます。
 

 

「人事異動」「昇格」で8月・10月と労使交渉

当局ゼロ回答で改善はならずも次年度見据え取り組み継続

 
 学労川崎は5/25、「22年4月人事異動・職員配置と『教職員人事異動実施要領』に関する申入書」「昇格基準に関する申入書」の申入書2本を市教委当局に提出(本紙787号既報)。8/3に労使交渉を持ちました。学労川崎は交渉で、現行制度の矛盾や問題を具体的に指摘し、制度改善の必要性を強く訴えました。
 この日の交渉では当局の最終回答が示されず、また質問に対する応答にも不充分・曖昧な点が残ったため、8月下旬に次回交渉を設定。しかし、その後当局側にやむを得ない事情が生じたことを受け、次年度を見据えた継続交渉の設定を前提に最終回答のみ電話で受領。残念ながらゼロ回答で、改善を勝ち取るには至りませんでした。
 その後、10/19に続開交渉。この2回にわたる交渉の概要を報告します。今回は「人事異動」について。
 

「複数配置校での事務職員同時入れ替え」
明らかになった当局の無計画な職員配置

 今年4月の人事異動・職員配置では2校の事務職員複数配置校で、事務職員全員の同時入れ替えが生じました。単数校ではやむを得ないことですが、せっかく複数校であれば誰かひとりは引き続き在籍した方が、学校事務の継続的な職務遂行の為にも円滑な学校運営のためにも望ましいことは明らかです。
 この不合理について説明を求めたところ、当局は「前任者に、変わらざるを得ない事情があった。両校とも1人は退職・1人は異動年限」と回答。しかしここで言われている「退職」とは厳密には再任用の満期終了であるところ、当該の両者はいずれも昨年度、再任用最終年に希望もしていないのにわざわざそれまでの勤務校から両校に動かされています。
 学労川崎はそうした事実経過を指摘し、「異動年限を前にした職員の相方に再任用最終年の職員を配置すれば、『1人退職・1人異動年限』になることはその時点でわかる話。全く計画性がない」と当局の職員配置に対する姿勢を批判しました。
 

短い異動年数基準は事務職員にも学校にもマイナス

 さらに学労川崎は「異動年数を短くした結果、複数配置校で異動年限と退職が重なる確率は上昇する。異動年数短縮はこういった不合理が起きる確率を高める」と指摘したうえで、「複数校で事務職員が同時に替わってしまうことは、事務職員にとっても学校にとってもマイナスではないか?」と質しました。これに対しては当局も「そう思う」と回答しました。
 しかしそうであれば、そんな不合理なマイナスが生じる可能性を高め、かつ現に生じさせている現行基準は見直すべき。重い意味を持つ回答です。
 

「異動年数短縮」の効果・意義

短縮を強行した当局には立証責任がある

 当局は異動年数基準の短縮について「学校運営活性化、人材育成・資質向上・広い視野」をその目的だとしています。学労川崎はこのうち後段について、学校事務職とは職種も配属のあり方も異なる一般事務職の人材育成の考え方を機械的に学校事務職にも当てはめており、人材育成の考え方としても的外れだと考えています。市教委「人材育成計画」との整合にも疑問が残ります。交渉ではその点も指摘しました。
 それはともかく、異動年数短縮を強行した当局には短縮による効果や意義の立証責任があります。「同じ事務職員がその学校に長く在籍することのベネフィットと、当局の言うところの短くすることで得られる効果を比較衡量し、異動年数基準を何年とするのが良いのか検討すべき」と投げかけました。
 当局は「効果や意義を数字として示すのは難しいと思う」と回答。しかしそれでは政策の妥当性は認められません。「何より、学校の活性化も人材育成も当事者の納得があってこそ」と学労川崎は訴えました。当局も「意見を認識し次年度に向け検討していく」と回答。引き続き協議を続けていきます。
(「昇格」交渉報告は次号)
PR

学校事務職員労働組合神奈川

連絡先
横浜市港北区篠原台町36-28
 東横白楽マンション602
shino3628★gmail.com
(★を@に変えてください)