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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」第782号 2022年2月22日発行

教育職・学校栄養職のみ時間年休の取得制限撤廃へ

「勤務の特殊性」で年休権に差を設ける川崎市教委の危うい法意識

行うべきは年休権の自由拡大=全庁・全職種での制限撤廃だ!

川教組は合意―権利改善から置き去りにされる学校事務職員


時間年休取得制限撤廃に関する当局提案の概要

○労働基準法における年休の趣旨は、労働者の心身疲労回復・労働力の維持培養・ゆとりある生活の実現にあり、1日単位での取得が原則。川崎市も労基法の趣旨を踏まえ、時間年休の取得制限を設けている。この考え方を変えるものではない。
○しかし、教育職は授業、給食指導など児童生徒指導の業務に当たるため、栄養教諭及び学校栄養職は午前中は給食準備、給食時間中は教室を巡回して給食指導やアレルギー対応の状況確認等の業務に当たるため、いずれも1日・半日単位の年休は取得しづらい状況にある。
○そこで教育職・学校栄養職については、上記「勤務の特殊性」から、年休取得を促進するためには、時間年休の取得制限から除外し時間年休を積極的に活用できるようにする必要がある。
○学校事務職・学校用務員・学校給食調理員は取得制限維持。
→がくろう神奈川川崎支部は見直し要求も、川教組等他の職員団体の合意により4/1実施へ

 川崎市教委当局は2月15日、上記内容による休暇制度の変更について川崎支部に連絡。17日に労使交渉を持ちました。
 時間年休をめぐっては、県費負担教職員だった16年度までは休暇制度も県のものが適用され、無制限に取得することができました。それが17年度の市費移管に際して、年間5日(40時間)までとする市の制限が適用された経過があります。
 このため川崎支部は毎年、「市費化により後退した権利の復元」として「年次有給休暇の時間取得の制限をなくすこと」を掲げ、当局や人事委員会に要求を続けてきました。しかし両者とも「時間年休取得制限は労基法の趣旨を踏まえた労働者保護のため」と説明し、その考え方を改めようとしてきませんでした。
 しかるに今回の提案は、重大な問題をはらみます。
 当局は、「時間年休取得制限=労働者保護」とする考え方は変えていないとしています。しかしだとすると本提案は、「教育職・学校栄養職には労基法上の労働者保護を保障しない」ということを意味します。
 労基法は全ての労働者に等しく権利保護を保障するもの。労基法の趣旨を踏まえた時間年休取得制限の考え方を維持するのであれば、「勤務の特殊性」があろうがなかろうが、1日単位の年休を原則とする年休権行使を実体的に保障するのが、使用者である当局の義務であり責任のはずです。
 教育職・学校栄養職に対して「勤務の特殊性」を理由に時間年休の取得制限を撤廃する論理は、時間年休の強制=「児童生徒の下校まで年休を取るな」という年休権侵害につながります。こんな論理で年休権を捻じ曲げるのは、危険なことです。
 一方で、労基法の趣旨を上回る要因として年休取得促進を優先・重視するのであれば、それはどの職種に対しても同様に保障すべきです。年休取得促進はどの職場・どの職種でも必要な取組のはずです。
 川崎支部は「労基法の趣旨の真の実現は、時間年休も半日・1日年休もいずれも強制されることなく、全ての労働者にニーズに合った年休権行使が保障されることだ」と指摘し、教育職・学校栄養職に限らず、学校に限らず、全庁的に制限を撤廃するよう要求。加えて、職場内で権利格差を設けながら他方で「連携・協働」「学校運営参画」などと語る欺瞞を批判しました。
 しかし当局は、論理的な説明もできないばかりか学校現場の実態に対する無知をもさらけ出しながら、「他の職員団体からは合意を得ている」として提案内容の通り実施する旨を通告。交渉は決裂しました。
 問題の「勤務の特殊性」は、川教組から強く申し入れられたものだと当局は説明しています。その論理が事務職員置き去りを生みました。川教組のもとでは学校事務職の労働条件改善は開けません。

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人事評価での低評価は仕方ない? そんなことはありません

人事評価「C」「D」を付けられたらご相談を


 もうすぐ3月。人事評価の結果が開示されます。川崎市の制度下では、この人事評価結果が次年度の昇給幅と6月・12月の勤勉手当額を左右する仕組みとなっています。
 私たちがくろう神奈川は、人事評価制度とそれを活用した昇給・勤勉手当の格差について、教職員間に差別・分断をもたらすものだと考えています。
「能力や頑張りが給料で報われて何が悪い」と考える方もいるかもしれません。しかし、「能力」も「頑張り」も見るポイントや価値観でどうとでも変わるものです。例えば、大量の仕事を引き受け時折ポカもありつつこなすことと、仕事の量を線引きした上で引き受けた仕事は完ぺきにこなすこととで、どちらをより評価するかは人それぞれでしょう。残業も厭わず働く人といつも定時で帰る人とで、後者を低く評価するのは制度上不適切ですが、それを「頑張り」と感じる人は少なくないでしょう。さらに、事務職員の仕事を知りもせず興味も示さない校長が少なくない(というか、多数?)中で、そんな校長が測る事務職員の「能力」「頑張り」は道理あるものなのでしょうか。
 根本的に、人が人を評価するというのは難しいことです。そんな難しいことを、他の自治体に比べて著しく短絡的に賃金に結び付ける川崎市の制度は、「人が人を評価することの難しさ」をわきまえない非常に傲慢なものだと感じます。
 さて、「人を評価する」という行為はそもそも難しいものですが、中でも特に「低評価を下す」という行為は一層難しいはずです。標準を下回る評価である「C」や「D」は、その職員に心理的ダメージを与えることに加え、昇給幅や勤勉手当額が下がり将来にわたる経済的損失を与えることにもなります。
 人事評価制度においては、客観的な「事実」と「指導・助言」のもと、なお業務レベルとして「標準に達しないものが多く」て初めて「C」評価が、「標準レベルに達しないものがほとんど」で「D」評価が付されるものとなります。その評価が付されるのであれば当然、具体的にどんな業務がどの尺度に基づいてどんな指導助言を経てもなお標準に達しておらず、かつそれが業務全体のどの程度を占めるか、説明できなければなりません。そうした条件を満たしたうえで低評価を下している校長が、果たしてどれだけいるでしょうか。
 昨年度、校長により「C」評価が下された事例で川崎支部は校長交渉に取り組みました。そこで明らかになったのは、当該校長が人事評価制度に対して基本的認識からして欠如しているうえ、低評価の理由や具体的事実さえ説明できないという実態でした。これを受け市教委に評価の不当性を申し入れ、最終的に低評価は撤回されました。
 そんな悪質な校長は他にもいるかもしれません。そしてそんな時「仕事でミスがあったし…」「知らないことだらけで周りに迷惑かけたし…」「体調が悪くて結構休んだし…」なんて思う人もいるかもしれません。しかしそんなことは制度上、低評価の理由にはならない場合がほとんどです。いい加減な評価によって賃金面・心理面でダメージを与えられることなど、あってはなりません。とはいえ、不当評価に対してひとりで立ち向かうのもまた難しいことです。不当な低評価に直面したら、川崎支部にすぐご相談ください。
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