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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」第779号 2021年9月15日発行

人事異動年数基準の改善を求め労使交渉も決裂

働く者の負担を顧みない当局の異動基準

 

人事異動は負担につながる

 私たち川崎支部は8/4、川崎市教委当局(所管:教職員人事課)と「人事異動実施要領」をめぐり労使交渉を持ちました。 この交渉は5月に提出した申入書(前号掲載)に基づくもの。川崎支部は、18年度に労使交渉抜きで一方的に決定・強行された学校事務職員の異動対象年数の大幅短縮(3年で異動)について、従来の基準かつ教員と同じ「原則7年・最長10年」をベースとして改善することなどを要求しています。
 学校教職員の人事異動はすなわち勤務地の変更を伴うものであり、その基準変更は重大な労働条件です。そして、頻繁に勤務地変更を強いられることは業務面・生活面・心理面において負担につながる、労働条件の改悪にほかなりません。
 にもかかわらず、当局は労使交渉を持つことなく改悪を決定。川崎支部の抗議と交渉要求に対し「労働条件ではない」「労使交渉は必要ない」と主張し不法な交渉拒否を続けてきました。しかしそうした主張に対しては当局の「身内」と言うべき川崎市人事委員会さえも否認するに至り、昨年2月に当局も交渉拒否の誤りを認め、今後は誠意をもって交渉に応じると明言した経緯があります。
 

「教員とは業務内容が違う」

地域や子どもの理解・把握は不要との見解

 実は、18年度に課長補佐としてこの交渉拒否の先頭に立ったのが、今年度着任した宮川教職員人事課長。この2年間は他課に転じていましたが、課長として教職員人事課に復帰しました。
 そんな経緯もある今年度の交渉でしたが、ゼロ回答となった昨年度同様、今年も当局に歩み寄りの姿勢は見られませんでした。
 年数基準の改善要求には一切応じず今回も原則3年+延長2年の方向で提示する考えを示し、他の要求事項に対しても通り一遍の回答。口先だけでは「人事委員会の趣旨を踏まえた対応をとっていく」と言いつつ、その趣旨=「合意の形成に努め、ともに職場環境の向上に努力する」姿勢とはほど遠いものでした。
 川崎支部は、年数基準短縮に伴う人事異動対象者の増加により2人職場での同時異動など、不合理な異動・配置が頻発している問題を指摘。不要・無理な異動作業に追われ円滑な学校運営・業務遂行への配慮に手が回っていないのではないかと質しました。これに当局は「校長から特段支障が生じているといった相談はない」と述べる一方で、そうした不合理な配置の理由について、個別の経緯は把握していないとしました。
 当局の説明する年数基準短縮の理由=「人材育成・資質向上」をめぐっては、なぜ教員は対象とせず事務職員と栄養職員・栄養教諭のみ短縮したのか質しました。「人勢育成・資質向上」に年数短縮が有効だというなら、教員も同じはずです。
 これに対して当局は、「教員は学年進行のからみがある。1年生から6年生まで担任を持つと6年で、プラスアルファで7年。様々な事情や判断からずっと低学年を持つ教員もいるだろうが」「事務・栄養は教員とは業務内容が違うので学年進行を考慮する必要はない」と回答。小学校で1年から6年まで担任を持ち上がる人、見たことありませんが…?
 年数を職種で分ける理由を重ねて質すと、当局は「教員は業務上、その学校の地域や子どもの特性等を時間をかけて理解・把握しつつ業務にあたる必要がある」とも回答しました。裏を返せば、「学校事務職員は業務上、その学校の地域や子どもの特性等を理解・把握する必要はない」との見解です。同じ教職員人事課の人材育成・評価担当が行う、学校業務相互支援事業や学校事務研修会や初任者研修で言われていることとは真逆ですが、なんといっても課長がそう言うのですからそうなのでしょう。この点は肝に銘じました。
 さらに川崎支部は、当局の説明は年数基準を変更する理由にはなっても、3年+2年という年数の根拠にはならないと指摘。この根拠を示すよう追及しました。しかし当局は年数に対する根拠を答えることはできず、最後は沈黙が下りました。
 

不合理な異動で時間外勤務をさせるな

 不合理な異動で業務に支障が生じるのは、学校事務に限った話ではありません。教職員人事課内のある部門は今年度、所属の3人全員が異動で丸ごと人が入れ替わり、「バタバタしている」との理由から川崎支部への資料提供の遅延が生じました。私たちはそこの職員を批判するつもりはありません。所属全員が替わって前年度のことを知る職員がいなければ、バタバタするのは当然です。ただ、そういった異動の在り方は問題です。
 しかし、上司である教職員人事課長は当該部門について「問題だとは考えていない。皆慣れない仕事で時間外勤務もしながら、頑張って業務を進めている」と回答。時間外勤務をしなければならないような異動はそれ自体おかしいし、時間外勤務が生じること前提で人事異動の制度設計を考えているならさらに大問題です。
 不合理な異動で無用な業務上の支障や時間外勤務を生じさせるのは本末転倒。それは学校事務でも一般行政でも同じこと。そんな簡単なことを言っているのですが、伝わっている感覚はありません。そのうえで少数職種である学校事務の特徴として、学校事務業務の停滞や混乱、それへの対応は実質的に事務職員が一人で背負わなければならない実情について見解を求めました。
 しかし当局は「学校も一つの組織。学校事務だから一人で背負うというものではない」と形式論。そりゃ本来はそうあるべきですが、実態は≪事務のことは事務職員にお任せ≫という管理職ばかりなのは皆さんご承知の通り。当局の言い分は少なくとも現状では「空論」。これほど現場と乖離した意識で、適切な人事ができるのか疑問です。
 交渉では最後に、基準再考を要求して閉めましたが、8/25に「昨年度の実施要領の内容と同様」とする最終回答があり、改善は成りませんでした。
 川崎市教委当局は、不法な労使交渉拒否のもと強行した「3年+2年」の基準を、交渉応諾後も交渉の出発点に位置づけており、「やったもん勝ち」状態にあります。不当極まりない状態ですが、要求を突きつけることなしに改善はあり得ません。川崎支部は引き続き取り組みます。
 

 

おかしいね GIGAスクール端末を使った「学校事務研修会」

 
 9/1、「学校事務研修会」がZoomを用いたオンライン形式で開催されました。
 このオンライン研修は、GIGAスクール端末の利用を想定。受講確認を兼ねた「振返りアンケート」に至っては、GIGA端末利用が前提となっていました。しかし、川崎市教委はもともと学校事務職員をGIGA端末の配布対象外としています。配布していない物で研修を受けろ、というのは筋が通りません。
 川崎支部は開催通知のあった8/16、市教委当局に見解を質しましたが、研修当日まで回答なし。9/2になって回答がありましたが、「コロナ禍に集合研修を行うよりも、GIGA端末を活用した開催の方がより合理的」とかみ合わないもの。このため支部は、そもそも事務職員には端末もアカウントも配布されていないという認識の有無など、再度質しています。
 学校事務職員にもGIGA端末を配布すべきか否かは別としても、「端末配布しません、アカウントも用意してません、でも端末とアカウント使ってオンラインで参加しなさい」という「人材育成」。そのオンライン研修の中で「希望すれば事務職員にもアカウント発行できますよ。急な場合は学校に予備アカウントもありますよ」と案内がある本末転倒。こうした川崎市教委の姿勢は、学校事務職員をバカにしたものではないでしょうか。
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