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「学労川崎」825号(2025年10月8日発行)

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人事委員会「給与報告及び勧告」 基本給・ボーナスとも引上げ勧告

臨任・任期付職員の給与上限撤廃へ大きく前進

「初任給制度の見直し」の中身は「経験年数10年頭打ちの件」と確認

 
2025年度人事委員会給与勧告概要(学校事務職員関係)
〇基本給:高卒初任給12,300円・大卒初任給12,000円の他、若年層を重点にすべての級号給で引上げ(対民間較差2.97%・12,694円の解消)
〇ボーナス:年間0.05月分引上げ4.65月(期末と勤勉それぞれ0.025月分引上げ)
 
 川崎市人事委員会は10/6、今年度の「職員の給与に関する報告及び勧告」を公表。上記の通り給与改定の勧告を行いました。
 人事委員会による給与勧告制度は、地方公務員に対する労働基本権制約の代償措置と位置付けられているものです。
 人事委員会は民間企業における賃金実態等を調査の上、職員の賃金に関する報告・勧告を行います。これを受け、市当局と労働組合との間で賃金確定交渉が行われ、そののちに市議会に変更が提案されて所要の条例改正等が可決されることで、今年度の私たちの賃金が確定する仕組みです。

長年の要求・経験年数加算上限撤廃がついに動く

 学労川崎は勧告に先立つ8/13に人事委員会に対して「2025年度給与勧告に向けた要請書」を提出。9/8には要請行動を行いました。
 要請では最重点課題として、臨時的任用職員・任期付職員の実質的な給与上限として機能している「初任給経験年数加算上限(10年=40号給)」の撤廃を、毎年のことながら今年も強く訴えました。人事委員会も「課題意識を強く持っている」と応じ、実際に見直しについて調整中と説明しました。
 そして迎えた「報告及び勧告」は、「本年の給与の改定」の中で「経歴をより適切に初任給に反映できるよう(略)初任給制度の見直しを行う必要がある」と明記。学労川崎が人事委員会にその中身を問うと「下位区分適用と経験年数10年頭打ちの件である」と回答。いずれも学労川崎が要求してきた改善内容を指すものである旨を確認しました。
(紙幅の都合で「下位区分適用」要求について詳述できませんが、本紙788号をHPよりご覧ください)
 これから賃金確定交渉が始まります。学労川崎は8/13提出の賃金要求書(リンク参照)への回答と当局提案を待ち受け、要求実現・賃金引上げ等を目指します。とりわけ、初任給経験年数加算上限撤廃の確実な実施を求めます。
 

「経験年数加算上限撤廃」取組の経過

 この要求を掲げたのは19年度。18年度にそれまでの臨時的任用職員給与「1級38号給上限」を突破したものの、今度は経験年数加算上限が給与上限として機能したため、手を緩めることなくさらなる賃金引上げを目指してのことでした。
 今回、20年に行った人事委員会要請の記録が見つかりました。このとき人事委員会は経験年数加算上限について「臨時職員への影響については承知していなかった」と述べています。
 学労川崎がなければずっと認識されることのなかった、臨任・任期付職員の給与上限。その後議会要請等も展開し、ついに山を動かしました。
 

 

仕事は増やすが給与は増やさない「在り方方向性案」

 
 川崎市教委が7月に公表した「学校事務職員の在り方に関する今後の方向性(案)」の「モデル事業」が、今月から4グループで始まりました。
 ただ、モデル実施のグループリーダーは係長とされていたところ、課長補佐を充てた例が複数。またグループ内に係長級以上が複数人在籍している例も複数あり、そうした「手厚い」人的構成が「モデル」として適切なのか疑問です。その点については市教委当局に見解を求めていますが、それとは別に今の時点で判明していることを紹介します。
 なお、学労川崎は前号でも強調した通り、「方向性(案)」は係長・課長補佐を上位とする学校事務職員のグループをつくり階層化・上意下達の体制を設けること、その体制のもと学校事務職員の業務を増やすこと、その2点の狙いが明らかであることから、強い反対と厳しい対処の意を固めています。
「方向性(案)」を前に不安を抱いている方、憤っている方、転職しちゃおうかなと考えている方。学労川崎で力を合わせて、働きやすい職場を守り、あるいはより働きやすい職場を作り、そして広げていきましょう
 

ここまでの質問・疑問と当局回答

◇何で成果を計り、成果に対して何を与えるのか。業務増への対価は何か。
→標準的職務内容を標準的にやってもらう。国の示す標準的職務内容について、できないと思っていない。体制を整えればできる。そのため何かを与えるという考えはない。(※つまり仕事は増やすが給与は増やさないということ)
◇グループの位置づけをどう定義しているか
→人材育成や学校間の事務の標準化・平準化等を推進し、業務の効率化や質の向上を推進するための協力体制。共同実施や共同学校事務室とは異なる
◇グループ編成にあたり、特別支援学校はどのように取り扱うのか
→モデル事業の結果等を踏まえ、小中学校と同じか特別支援学校のみでグループとするか検討。
◇グループ内における係長以上と職員の関係はいかなるものか
→原則、現状同様所属校の管理職の指揮命令下。但しグループでの業務・作業等では、係長は自身やグループ職員の所属校管理職の監督下、職員に必要な指示・指導・助言を行い、職員は職務として係長の指示等に従う必要がある。
◇課長補佐による「区内の係長のとりまとめ」とは具体的にいかなるものか
→グループごとの取組状況や課題等を把握し、グループ相互の連携・調整等を図ることを想定。
◇課長補佐と係長の関係はいかなるものか
→課長補佐は係長級の業務に加え、区内の係長のとりまとめや、他区相互の連携・調整業務を担うことを想定。
◇標準的職務の実施率引き上げフェーズⅠ「就学奨励費」は、就学援助ではなく特別支援学級就学奨励費を指すとの理解で正しいか
→その通り。
◇モデル事業における巡回イメージに従えば係長の勤務校在校日は著しく少なくなるが、それを補う人的措置等はあるか
→モデル事業では想定なし。モデル事業実施状況や標準的職務内容の整理・業務量精査を行う中で必要性も含め今後検討。
◇グループの設置根拠はいかようにするのか
◇係長級以上による「人事評価に当たってのサポート」の根拠規定をいかようにするのか
◇事務職員の政策加配申請について今後いかようにするのか
◇課長補佐と係長はそれぞれ7名(区数)と22名(中学校58校÷2-課長補佐分7名)が定数となると考えられるが、その理解で正しいか
◇学校業務相互支援事業はいかようにするのか
→以上5点いずれも今後検討
 

 

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