「連帯」No.323(2026年6月8日)
学校事務職員の労働環境の悪化がさらに進行している。文部科学省は昨年9月、新たに「学校と教師の業務の3分類」を通知。「教師を取り巻く環境整備」の名のもと策定された新「3分類」は、教員の負担軽減のために学校事務職員へのさらなる業務転嫁を盛り込んだ。
12月には、学校事務職員の精神疾患による長期病休者が24年度、2%超=50人に1人にのぼったことが明らかになった。教員を大きく上回る水準で、かつ年を追うごとに悪化し続けている。
今年3月には義務標準法改正案が成立し、中学校35人学級化や養護教諭の複数配置基準改善といった、学校現場で実務に当たる教職員の定数改善が図られた。しかし学校事務職員については「共同学校事務室を複数設置する自治体への『統括職』定数新設」というもので、現場事務職員は増えないまま。それでいて、現場を持たずゆとりのある「統括職」の登場とその実績づくりのため余計な仕事が生み出され、ますます業務過多に追い込まれる未来が目に浮かぶ。
「専門性」「参画」「期待」「活躍」「存在価値」「職務の高度化」……文科省や教育委員会、一部の特権的な学校事務職員が唱えるそれらは、私たち働く当事者にとっての幸福を意味しない。顧みれば、終わりなき「高度化」要求が学校や教員を、ここまで疲弊させてきた。そしていま、同じ過ちが学校事務職員に及んでいる。
私たち学校事務職員は、空っぽなお題目に惑わされることなく、もっと声を大にして言っていい。「業務増反対!」「法定定数の完全配置を!」「全校配置実現・複数配置基準改善を!」と。「子どものため」「教育のため」といった前提はいらない。自らの労働条件を守り改善するための当然の要求として。
――がくろう神奈川も参加する、全国の学校事務職員独自組合でつくる「全学労連」は、8月に東京で全国集会を開催します。私たちの働く環境を私たち自身の手で良くしていく。そんな元気を分かち合い、持ち帰る場にしていきたいと思います。ぜひ皆さんもご参加ください。
全国学校事務労働者交流集会(全交流)ご案内と参加の呼びかけ
8月8日(土)14:00~17:00(終了後懇親会有)・9日(日)9:30~13:00
品川区立総合区民会館「きゅりあん」(大井町駅前)
☆参加費無料、当日の飛び入り参加も歓迎
☆懇親会(有料)は7月15日までに要申込
☆参加ご連絡はがくろう神奈川でも受け付けます
☆開催詳細は全学労連HP参照
県内どこからでも組合加入歓迎!
過重業務やハラスメント、賃金、人事評価、職場環境等、働く上での様々な相談に対応。働く環境をもっと良くしていくため、一緒に力を合わせて取り組みましょう。お気軽にご連絡ください。
Eメール:shino3628@gmail.com
公式HPに加入申し込みフォームもあります
横浜・事務長 研修もなく他校職員の人事評価に「意見具申」
横浜市では2017年以来、事務長が事務職員の人事考課(人事評価)に対し、「意見具申」と称して根拠のない介入を続けている。この「意見具申」について市教委当局は、事務長への研修を行なっていないことが今回明らかになった。
人事考課の考課者(校長・副校長)に対しては、市教委が毎年考課者研修を実施しており、当局はそれによって人事考課の公正を担保するとしている。それに対して、事務長「意見具申」については(その行為の不当さもさることながら)公正性の担保さえないまま、規則上の根拠もなく学校事務職員に対してのみ恣意的に導入し既成事実化している実態が、改めて明らかになった。
事務長は大半を日教組系の浜教組組合員(役員経験者や元事務職員部長、元専従者も含む)が占めており、特定の団体に人事情報の一部が流出している恐れについても、がくろう神奈川は指摘し続けてきた。これに対し市教委人事課は、「他の考課者と同様に、意見具申を行う事務長へも研修等を通じ人事情報の取り扱い方について指導しており、懸念は無い」と応じてきた。
しかし今回、そうした市教委当局の説明についても事
実と異なる疑いが出てきてた。事務長による「意見具申」が違法な人事考課への介入であることが、ますます明白になっている。
制度の公正な運用が担保されない以上、既存の人事考課(人事評価)のあり方そのものが問われる。また、こうした不適切な運用を意図的に続けてきた市教委当局、そしてそれを漫然と「処理」「従事」してきた事務長の怠慢はさらに指弾されるべきである。
いま川崎市でも、管理職による学校事務職員の人事評価を他校の係長級学校事務職員が「サポート」することが狙われている。不透明な「評価」を通じた学校事務職員間の階層化に、私たちは反対していく。
川崎 「過重労働モデル」づくりの「学校事務研究指定校」
川崎市教委は今年度、2校を学校事務に関する「研究指定校」とし、それに伴う加配定数を措置した。この加配措置は25年度に文科省が設けたものだ。
文科省文書をもとにわかりやすく言えば、「徴収金や就学奨励費や学籍転出入や教科書や調査統計は言うに及ばず、さらには学校業務改善もICT支援も学校評価も学校運営協議会運営も施設開放も保護者連絡もコンプライアンスも防災計画も危機管理マニュアル作成も安全点検も情報公開も広報も……ぜーんぶ事務職員の標準職務!」とする、文科省が20年に出した「標準職務通知」とりわけその「別表第二」の職務に実際に事務職員が「従事」することにより、「事務職員の職務の新たなモデルの構築に向けた実践を行う」……そんな研究を想定した加配措置である。
加配を受け手厚い人員配置のもと構築された「新たな(過重労働)モデル」が普通の定数配置で働く事務職員のモデルになるはずがなく、そもそも的外れな施策だ。しかしそんなものに川崎市教委は乗った。しかも獲得した国からの加配枠は1人のところ、わざわざ市単独予算でもう1人措置したという。
目下川崎で検討されている「学校事務職員の在り方方向性案」で当局は、文科省「標準職務」の範囲まで川崎の標準職務を引き上げるとしている。現場の強い反発を受け、説明会では「国の標準職務をすべてやれ、とは思っていない」と回答するなど見直しの気配もあったが、今回の「研究指定校」は当局が、文科省「標準職務」の川崎での全面適用をまったく諦めていない表れだ。
過重労働に従事し実践しモデル化する「研究」などいらない。そんなもののモデル化は多くの人を不幸に追い込む「社会悪」だ。またいかに加配があるとは言え、研究指定校2校の「研究」下での過重労働も心配される。
私たちは過重労働を進める動きに強く反対していく。
狙われる裁量労働制=「定額働かせ放題」拡大 長時間労働の根絶を
5月1日、神奈川県労働組合共闘会議など3団体が主催する神奈川メーデー集会が開催された。当日は激しい雨の影響で、時間を短縮し、デモ行進は中止した。
高市政権発足から半年、集会では、労働時間規制の緩和、裁量労働制拡大、憲法9条改憲、原発再稼働推進など、政権が進めようとしている政策に反対する発言が相次いだ。メーデーの起源は、1886年5月1日、米国で労働者が8時間労働制を求めて立ち上がったことにある。労働者が勝ち取った権利を、現政権に奪われてはならない。
働き方改革の契機の一つである労働者の過労死問題と精神疾患は、未だ改善が見られない。長時間労働は減少傾向にあるものの、精神疾患は増加している。高市首相は就任早々、労働時間規制の緩和を検討するよう厚生労働大臣に指示。そして2月の施政方針演説では、裁量労働制の拡大を表明した。
労働時間規制緩和について、「もっと働きたい人がいる」ことを理由の一つとしているが、26年3月発表の厚労省調査では、そういう人は少数でしかない、多くの労働者は時短を求めている。そもそも、8時間働けば生活できるだけの賃金や物価高に負けない賃上げがあれば、
労働分配率が改善されれば、なおさらのことである。
裁量労働制は1987年の労基法改正により、研究開発職など「専門業務型」5業務に限定して始まったが、04年の改正で「企画業務型」が新設され、ホワイトカラーへまで対象が拡大された。あらかじめ労使で決めた働く時間(みなし労働時間)を働いたものとして賃金が支払われる。労働時間は労働者本人が決定できるが、業務量は使用者が決める。
実労働時間に関わりなく賃金は変わらないのであるから、業務量は増える。「定額働かせ放題」と揶揄されるのは当然のことである。実際に、裁量労働制の労働者は一般労働者比べ実労働時間が長く、深夜・休日労働が多い。(19年厚労省調査より)
使用者には労働時間管理が厳しく求められている。労基法の遵守はもとより、適正な賃金の支払い、そしてなにより労働者の健康管理に大きな責任がある。高市政権の労働政策はあまりにも経営者寄りである。政府にはこの国で働く人の命と健康を最優先考えてもらいたい。
私たちは、先人が勝ち取った8時間労働制の意義を再確認し、労働者の権利前進に不断の努力を続けていく。
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