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2025年10月9日付・神奈川県教育長宛「学校事務職員の労働条件に関する申入書」

学校事務職員の労働条件に関する申入書

 
 私たち学校事務職員労働組合神奈川は、すべての学校事務職員の労働条件改善を求めて取り組みを行っています。
 2022年4月以来、食料品・日用品といった生活必需品も含めた幅広い分野における物価高と、実質賃金の低下が続いています。特に今年に入ってからは、対前年比で物価は4%前後の高騰、実質賃金はマイナス2%前後の下落と、状況は深刻化しています。物価高に見合った賃上げがなければ労働者の生活は成り立ちません。この影響は年齢や任用形態にかかわらず、すべての労働者に等しく及ぶものです。
 学校事務職員にとって「学校における働き方改革」は、「教師が担う業務の明確化・適正化」や「教員の負担軽減」の名のもと、教育活動関係業務以外のあらゆる業務が事務職員に転嫁され、1校1~2人の事務職員定数に対して到底担いえない膨大な業務量・広大な業務範囲を強いるものとなりつつあります。学校全体の業務過多と人員不足という現実や、労働関係法令が遵守されない労働環境を抜本的に改めることなく、単に業務負担を少数職種に転嫁することは「働き方改革」「チーム学校」の名に値しません。とりわけ、文部科学省が2020年7月に発したいわゆる「標準職務参考例通知」別表や、今年9月に策定した「学校と教師の業務の3分類」は、事務職員への過酷な労働強化を進めるものであり、断じて取り入れるべきではありません。
 併せて、「共同学校事務室」の導入や職制段階の強化(学校事務職員の一部を管理・指導的立場に位置付ける等)は、学校現場にさらなる分断と疲弊、そして人減らしをもたらすものであり断じて実施すべきでない旨、強調します。
 現在、学校事務職においては多くの臨時的任用職員・任期付職員が働いています。いずれも定数内職員として、補助業務ではなく常勤職員と同様の業務を担っています。長年勤務している職員もおり、蓄積された経験と発揮してきた業務遂行は確かなものです。今さら能力実証の必要などなく、本来は有期雇用の繰り返し任用ではなく希望に応じて無期雇用に転換すべきものです。少なくとも、採用試験の門戸を開け無期雇用への道を開くべきです。
 以上のことを踏まえ、貴職に対し以下の要求を行います。
 
 
賃金・手当・旅費・休暇制度に関すること
 
1.基本賃金を大幅に引上げること。
2.「学校行政職給料表」を通し号俸制にすること。
3.初任給の経験年数加算あたっては、5年超過分も含めて100%加算すること。
4.昇給・昇格等、賃金決定における人事評価の利用をやめ、年齢ならびに経験年数を基本とした制度とすること。
5.昇給について、経験年数を基本とし平等に運用すること。上位昇給の配分が特定の職員に偏らない制度に改めること。全職員に少なくとも4号昇給を保障すること。
6.5・6級の定数枠をなくすとともに、年齢順等の客観的かつ公平な昇格を行うこと。
7.臨時的任用職員・任期付職員の賃金を改善すること。月途中に任用された場合にも、諸手当を支給すること。
8.会計年度任用職員の賃金を改善すること。当面、時給1,500円以上とすること。すべての会計年度任用職員に賞与・退職金、ないしそれに類する賃金を支給すること。
9.再任用職員・暫定再任用職員の賃金を改善すること。賃金について退職前を下回らない額とすること。当面、少なくとも退職時の7割は保障すること。すべての手当について、常勤職員と同等に支給すること。特に、夏季・冬季一時金の支給率を常勤職員と同一とすること。
10.夏季・冬季一時金を改善すること。一時金は期末手当に一本化し、年間6月以上とすること。勤勉手当の成績率による支給はやめること。職務段階別加算を廃止し、その財源により全職員一律に支給率を引き上げること。
11.諸手当を改善すること。自己所有住宅居住者にも住居手当を支給すること。会計年度任用職員にも常勤職員と同様に手当を支給すること。
12.旅費予算を増額し、命令のあった出張について旅費が全額確実に支給されるようにすること。
13.車賃旅費の単価を引上げること。
14.会計年度任用職員の療養休暇・子の看護等休暇をはじめとする休暇制度について、常勤職員と同等水準に引き上げること。
 
定数・制度・業務に関すること
 
1.引き続き「小中事務」区分の採用試験を実施すること。
2.義務標準法に定める事務職員の標準定数を最低基準として遵守すること。欠員や休業・休職に対しては、補充・代替職員を切れ目なく配置すること。
3.学校事務職員への兼務発令を行わないこと。また、欠員や休業・休職・療養休暇等に際して補充・代替職員を配置できていない期間について、その業務を共同学校事務室に負わせるのではなく校内分担により対応すること。
4.常態化している欠員を解消し、常勤職員を配置すること。そのため、現在任用されている臨時的任用職員・任期付職員を常勤職員として採用すること。
5.学校事務職員採用試験の受験年齢制限を撤廃または緩和すること。
6.初任者が事務職員単数校に配置となった際の、サポート非常勤職員の配置を維持すること。
7.学校事務の共同実施・共同学校事務室の設置を推進しないこと。共同実施等に伴う文科省への加配申請や予算措置を行わないこと。
8.学校事務の共同実施・共同学校事務室ありきの業務執行体制を取らないこと。業務説明(研修)や書類確認等は任命権者・業務所管者の責任のもと行い、共同実施等に委ねることのないよう取り扱うこと。
9.学校事務職員の標準的職務内容を策定しないこと。また、市町村教育委員会に対して、標準的職務内容の策定に関する指示をしないこと。
10.長時間労働を抑制すること。長時間労働につながる過大な担当職務・校務分掌決定をすることはないよう、市町村教育委員会と校長に対し周知すること。
11.給与明細配布日・給与支給日と学校閉庁日の重複について、学校事務職員の業務遂行に配慮するよう、市町村教育委員会に対し周知すること。
12.給与支給日に校長の出張用務を設定しないこと。このことについて、市町村教育委員会や校長会、その他関係団体に対しても周知すること。
13.給与からの諸会費控除の実態を明らかにすること。法律・条例によらない諸会費控除のために、学校事務職員が業務を強いられることがないようにすること。
14.給与・手当・旅費等に係る事務マニュアル・手引きについて、適宜改訂するとともに充実させること。
15.充て指導主事の発令にあたっては、本務校における学校事務職員の事務負担軽減を図ること。
 
以上
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