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13年地教委要請書

2013年12月から14年1月にかけて、神奈川県内の全市町村教育委員会に提出した要請書です。






要 請 書
 
 日頃より、学校事務職員の労働条件改善及び義務教育諸学校の教育条件整備にご尽力いただいていることに感謝申し上げます。私たちは、神奈川県内の義務教育諸学校に働く学校事務職員で作る労働組合です。学校事務職員の労働条件を維持改善するとともに、学校ならびに行政の民主化を推し進めるための活動に取り組んでいます。
 教育は、現場の声を尊重してこそその役割を十全に果たすものと考えます。貴職におかれては以下の要請内容にご理解をいただき、諸課題解決に向けた取り組みや、関係方面への働きかけを行ってくださいますよう、要請いたします。
 
 
1.学校事務職員を学校から引き剥がし、人員削減や廃職につながる「学校事務の共同実施」を行わないこと。また、「共同実施」を目的とした定数加配を申請しないこと。
「学校事務の共同実施」は数校の事務職員を定期的に1ヶ所に集め、事務の共同処理を進めることで効率化・迅速化・適正化を図るものとされていますが、学校現場を離れることで校内業務への迅速な対応が出来なくなる、個人情報の校外持ち出しが生じるなど、事務職員・勤務校双方の業務にかえって差し支えになることが多くあります。また、「共同実施」は学校事務合理化の施策の面が強く、「共同実施」推進の先には義務教育費国庫負担制度からの事務職員はずしや事務センター化、人員削減、そして廃職まで想定されます。これらは学校事務職員の労働条件と雇用を破壊するとともに、学校運営にも不安定・不均衡をもたらすもので、私たちとしては到底受け入れられるものではありません。
 あわせて、2001年開始の文部科学省第7次定数改善計画以来、事務職員定数加配として「きめ細かな学習指導や教育の情報化の支援等のため事務部門の強化対応を行う学校への加配」が設けられていますが、その内容は「共同実施」の推進を目的としています。一時的に少々の加配を受けられたとしても、将来を見据えれば「毒饅頭」と言えます。加配方式である以上毎年受けられる安定したものとはなりえず、「事務職員定数の改善」ともまったく無縁です。
 学校運営と学校事務職員制度を守るため、貴職におかれては「共同実施」およびそれにつながる施策を実行しないよう要請します。
 
2.非正規雇用職員の労働条件を改善すること。
 神奈川県において非常勤や臨時的任用といった非正規雇用職員は、あらゆる労働条件について正規職員より著しく低く抑えられています。
 休暇制度を見ると、正規なら有給なのに非正規雇用だと無給であったり、期間等が制限されているものがいくつも見られます。臨時的任用の場合の一部を例に取ると、私傷病の療養休暇は正規が有給で90日のところ、無給で10日だけ。慶弔休暇では正規だと結婚5日と父母の祭日1日があるのに対して、結婚休暇だけで日数も3日。妊娠・出産・育児に関する休暇は、育児参加休暇(取得者は夫)と子の看護休暇を除き全て無給とされている上に、対象や期間、時間も多くが正規より制限・短縮されています。
 賃金については、臨時的任用事務職員の給与は何年働いても、大学卒程度採用の正規職員初任給である1級29号で頭打ちとされています。これは全国的に見ても著しい低賃金です。
 学校において臨時的任用職員の職務は、正規職員となんら変わりません。また非常勤職員も、学校運営に不可欠の存在です。私たちの重ねての要望に対し県は、「全庁的な問題なので難しい」などと言い逃れていますが、県の臨時的任用職員は学校関係が大多数を占めています。圧倒的に多くの臨時的任用職員を抱える教育委員会が動かなければ、問題は解決しません。貴職からも県に改善を働きかけるとともに、貴職の裁量により改善できる手立てがあれば実施するよう要請します。
 
3.学校事務職員の定数について、学級数等客観的基準に基づき、複数配置基準引き下げ等により定数増をはかること。また、大量の欠員を生じさせないこと。
 現在の学校事務職員の定数は小学校27学級以上、中学校21学級以上が複数配置となっています。しかし学校現場の事務量は増大の一途をたどり、特に複数配置にわずかに達しない学校でひとり働く事務職員の多くが、重い負担を強いられています。また、就学援助加配基準は「要保護・準要保護児童生徒数が100人以上かつ25%以上の学校」となっていますが、受給児童生徒は多いが規模も大きな学校では25%という率がネックとなり、就学援助とそれ以外の双方ともが莫大な事務量になるにもかかわらず加配が受けられないことになり、不合理です。
 複数配置等定数増は、一定の線引きをせざるを得ないにしてもそれは合理的であるべきです。まして先述した「共同実施」加配のような、客観的基準に基づかない職員配置は定数改善と見ることはできません。「客観的基準に基づく定数増」という、真の定数改善に向けた取り組みを要請いたします。
 あわせて、県内における義務教育諸学校教職員の欠員は数年来増え続け、今年は2,500人近くにまで達しました。事務職員も前年から40人以上増え236人にのぼります。欠員は臨時的任用職員によって埋められていますが、不安定な雇用と低待遇に抑えられた非正規労働者を多用することで成り立つ「教育」には、いびつさを感じます。欠員の常態化は人員削減にもつながりうるものです。希望する臨時的任用職員を正規採用に転換するなどの方法で、大量欠員の解消に向け県に対し働きかけていただくよう要請します。
 
4.義務教育費国庫負担制度を堅持・改善すること。また、労働条件と教育の公平・均等を破壊する、教職員給与費・人事権等の基礎自治体への「権限移譲」を行わないこと。
 教育の機会均等を図るための義務教育費国庫負担制度ですが、1984年、当時の大蔵省が国の財政支出削減のために学校事務職員・栄養職員人件費の国庫負担適用除外を提起して以降、義務教育費国庫負担金から教材費、旅費、退職金等が次々に外されてきました。さらに三位一体改革で実施された給与費国負担率1/3への切り下げは、地方への負担転嫁を一段ともたらしました。こうした動きは私たちの労働条件の悪化につながるとともに、これまでもあった教育格差の一層の拡大を進めるものです。教育の機会均等は国の義務であり、その観点に基づく義務教育費国庫負担制度の改善が求められます。
 また今年3月、政府は地方分権を旗印に「義務付け・枠付けの第4次見直しについて」を閣議決定しましたが、その中に県費負担教職員の給与負担や定数・学級編成基準決定権の政令市移管が盛り込まれました。さらに、中核市やその他市町村への任命権を含めた移譲についても、実施の方向に舵を切っています。こうした施策は「地方分権」の美名とは裏腹に、財政力のある自治体とそうでない自治体との間で、労働条件においても教育においても格差をもたらすものと危惧します。このような「権限移譲」には反対であり、貴職におかれても地方団体の場で反対の声を挙げていただくなど、働きかけを要請します。
 
以上














 
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