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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

時間単位の年次休暇の制限撤廃を求める措置要求書

措置要求書

2024年5月1日  

  川崎市人事委員会委員長  様

 地方公務員法第46条及び勤務条件に関する措置の要求に関する規則の規定により、次のとおり措置の要求をします。
 

要求事項

1時間単位の年次休暇について「5日を超えない範囲内とする」との制限を撤廃すること
 

要求の理由

川崎市職員の勤務時間、休暇等に関する規則第6条第13項は、「一の休暇年度において、受けることができる1時間単位の年次休暇は、5日を超えない範囲内とする。ただし、人事委員会が別に定める場合を除く。」と定めている。そして現状、但書により制限除外とされているのは、管見の限りでは教育職と学校栄養職のみである。
制度を同じくする労働基準法に基づく年次有給休暇について厚生労働省は、「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、ゆとりある生活にも資するという位置づけ」としたうえで「まとまった日数の休暇を取得する」ことが制度本来の趣旨であるとして、時間単位での取得は労使協定の締結による年5日を限度としている。そして、本市上記規則の定めも同趣旨を受けたものと考えられる。
しかし現実の年次休暇の行使においては、「心身の疲労回復」「ゆとりある生活」のためばかりではなく、育児・介護・通院・体調不良・家事都合といった生活上の所用ないし心身上の支障により用いる例が少なくない。否、年次休暇の多くをそうした用途に費やしている(費やさざるを得ない)職員も多くいるのが実態だ。
そうした職員にとって、所用の範囲で休暇を取得でき先々の休暇残日数を確保できる時間単位の年次休暇は、非常に有益な制度として活用されている。
また、「心身の疲労回復」「ゆとりある生活」もその享受の仕方は人それぞれであり、丸1日労働から解放される過ごし方を求める職員もいる一方で、「少し早く帰る」等の形で疲労回復やゆとりある生活を享受することを求める職員もいる。
してみると、労働基準法に基づく年次有給休暇の趣旨と制度は現実の活用実態や個々のニーズに応えたものとは言えず、むしろ5日という制限は制度の有効活用を束縛し労働条件上の不利益として機能している。
ところで年次有給休暇を年5日までとする労働基準法第39条第4項は、地方公務員においては地方公務員法第58条第4項により読み替えられ、「特に必要があると認められるとき」に時間を単位として年次有給休暇を与えることができることとされている。換言すれば、労働基準法の定める年5日の限度は地方公務員には適用されず、法律上、時間単位での年次休暇の日数に上限はない。
だからこそ、本市においても教育職と学校栄養職についてその限度の例外とすることができている。要求者が2016年度まで休暇制度の適用を受けていた神奈川県をはじめ、他の自治体においても現に上限を設けていない例は多くある。
そのうえで、休暇制度は当然に「勤務条件」に当たるところ、地方公務員法第24条第4項は「職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当つては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」とする、いわゆる「均衡の原則」を定めている。本市当局も、各種労働条件に関わる労使交渉の席では頻繁に、国・他都市(政令指定都市)を比較材料として提示している。
しかるに、要求者が国と他の19政令指定都市について、年次休暇の時間単位での取得に関する制度を調査したところ、上限を設けているのはわずかに3市。うち2市はそれぞれ15日・10日と川崎市より高水準であり、川崎市と同じ5日という制限を設けているのは1市のみであった。
以上述べてきた通り、年5日という制限に法的根拠はない。一方で「均衡の原則」は地方公務員法が定めるものであり、国・他都市の大勢を踏まえれば現行の制限を維持することは地方公務員に反する。
現行の年次休暇の取得実態を踏まえれば、時間単位での取得が広がり取得の自由度が増すことは多くの職員にとって利益であることは疑いない。一方で、上限をなくしたとしても1日単位での取得が妨げられるものではないことから、「本来の趣旨」とされる「まとまった日数の休暇を取得する」ことも当然に保障され続けるものであり、いかなる職員にも不利益は生じない。こうした改善は、川崎市人事委員会が昨年10月の「人事管理に関する報告及び意見」において述べた、「年次休暇の確実な取得」や「一人一人のワーク・ライフ・バランスを実現」していくことにも資するものであることは疑いない。
よって。要求のとおりの措置を求める。
 

交渉経過の概要

要求者らは2016年度まで、神奈川県費負担職員として神奈川県の休暇制度が適用されていた。同制度においては年次休暇の時間単位での取得に制限はなかった。
しかるに、17年度に市費移管されるにあたり川崎市の休暇制度が適用され、この制限も適用されることとなった。
要求者が所属する学校事務職員労働組合神奈川川崎支部は、この市費移管に関わる交渉にあたり、年次休暇の時間単位での取得に制限を設けないよう要求してきた。(14年10月15日付「県費教職員給与負担の政令市費化に関わる申し入れ」ならびに「教職員給与の政令市費化に関する申入書」)
また市費移管直前から移管以降においても、毎年提出する「定員・予算並びに諸権利に関する要求書」(16年から23年のいずれも7月もしくは8月に提出)の中で「年次有給休暇の時間取得の制限をなくすこと。」を盛り込み、この要求書に基づく交渉の中でも取り扱ってきた。
しかし当局はそのすべてにおいて、「制度の改正等に当たっては、市全体で適用される制度となるため、全庁の動向に合わせていくものと考えております。」という、任命権者としての主体性のない回答に終始。平行線が続いている。


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