川崎支部が結成以来取り組み全校設置させた「事務室」課題は私たちの原点
事務室の環境でお悩みの方はご相談を
「自らの労働条件」としての事務室を取り戻そう!
異動先の事務室環境を校長交渉で改善
がくろう神奈川川崎支部はこの4月、異動した組合員の所属校長に「学校における労働条件に関する申入書」を提出。特に事務室の環境に課題のあった2校で校長交渉をもち、改善に導きました。
いずれの学校の事務室もまず、校長室と職員室の間に位置し、教員がふたつの部屋の間を行き来したり、廊下に通り抜ける≪通路≫と化していました。事務職員が事務室にいようがなんの遠慮も挨拶もなく、時に声高にお喋りさえしながら通り抜けていくことが当たり前の環境でした。
またそれぞれ、複写機(コピー機)が事務室に配置され機器の騒音に加え利用する教員がひっきりなしに出入りし時に教員同士雑談を始める、キーボックスや児童個人票といった事務職員管理外の書類・物品まで事務室に置かれ入れ替わり立ち替わり教員が出入りする、教員が挨拶も断りもなく勝手に事務室の電話を使い始める、他職種の職員数名の常駐スペースとして事務室が使われ執務机も置かれている、などなど。学校事情云々以前に社会常識が問われるような、事務室に対する扱い・認識がはびこっている状況がありました。
これを受け川崎支部は校長交渉で、現状の異常さや環境の劣悪さを指摘。両校とも改善を進めることで合意し、すでに概ね完了しました。事務職員のための組合だからこその取り組みと成果です。
事務室は事務職員の労働条件であり権利!
そもそも川崎の学校事務室は、川崎支部が1981年に結成され、設置率1割にも満たなかった事務室の全校への設置運動を最重要課題として取り組み、83年に労使確認により勝ち取ったものです。
この時の内容として重要なのは、事務室は学校運営上のなにがしかの「効果」や「機能」という観点(=事務室設置に全く取り組んでいなかった川教組が当時慌てて吹聴した「教員のための事務室」=「事務センター」論)ではなく、川崎支部が市教委当局に対し「事務職員にとって必要最低限の労働環境として事務室は必要」と迫り、これを受け設置に至った点にあります。
事務室は事務職員が労働条件=労働環境として自らの手で勝ち取った大事な権利です。しかし少数職種であるがゆえに、立場が弱いと見られればその権利はたちまち浸食され、管理職・教員の多数を背景としたさまざまな理不尽の押し付けにさらされがちです。また、中には多数である管理職・教員に良い顔をしたいがあまり、自らその権利を放棄していく事務職員も存在します。「事務センター」論を振り回す川教組や、校長による人事評価は、そうした少数者抑圧に拍車をかけます。
私たちは今回の取り組みを通して、「事務センター化」した事務室の環境の悪さを再認識しました。同様の問題を抱える学校は他にもあるかと思います。事務室環境の改善を求める方はご連絡ください。事務職員に必要なのは「事務センター」ではなく、真の「事務室」です。
今年も酷い!賃金差別と分断の昇格発令
今年も3級在級わずか1年で4級昇格が ついに10歳差以上の在級逆転も
客観基準無視の不透明・恣意的な昇格発令
がくろう神奈川川崎支部は「昇格」に対して従来より一貫して、◎昇格は賃金改善である ◎賃金は公平に分配されなければならない ◎ゆえに昇格も誰もが公平に発令されるべき ◎そのため年齢順の発令を、との立場を取り、年齢や在職年数といった公平で客観的な基準による発令を要求してきました。
昇格基準をめぐっては、県費負担職員時代は相当程度、年齢・在職年数といった客観的要素に応じて設定され、また運用されてきました。少なくとも、採用13年目に県4級(現在の市3級に相当)、40代後半から50歳頃に県5級(現4級相当)昇格というのは、誰もが適用されてきた学校事務職員の昇格であり賃金カーブです。長らく差別的な運用が続いた県6級(現5級相当)についても川崎支部の取り組みの結果、定年まで勤めればほぼ全員が昇格する状況を作り出してきました。
しかし給与負担の市費移管に伴い川崎市教委当局が設けた新基準は、年齢や在職・在級年数といった客観的な基準の要素が大きく後退し、対して校長の推薦の有無や推薦書・内申書上の評価、そして市教委当局による選考という主観的要素の影響が格段に色濃くなったものでした。
そして実際、新基準後は年齢・在職年数上位者を大幅に飛び越す恣意的な昇格発令が横行。今年4月の発令も同様で、その結果ついに10歳差以上で在級の逆転という、従来なら到底考えられない状況が生まれています。
また、川教組事務職員部の中でも長く3級に留め置かれる組合員がいる一方で、元部長が若年で5級昇格、現部長がやはり若年で、かつ3級在級わずか1年で4級昇格が発令されています。在級1年での昇格は県費では基準上あり得なかった早期昇格です。教組の中でも幹部ばかりが甘い汁を吸う構図がさらに鮮明になりました。
客観的要件による昇格基準の見直しを!
私たち学校事務職員は多くの場合1校に1人か2人。校内比較は事実上不可能ですし、職務環境は校種・学校ごとに異なっており比較は馴染みません。しかも全体で見れば二百数十人の事務職員に対して168人の校長がいて、それぞれが判断した推薦なり評価なりを比較するというのですから無理は明白。公平性は一切担保されません。
事は制度設計の問題です。市教委当局は主観的評価による昇格発令の問題性を認め、従前のように客観的な年齢・年数要件による昇格発令となるよう、昇格基準自体を見直すべきです。川崎支部は近く、申入書を提出し見直しを要求します。