「学労川崎」827号(2025年11月13日発行)
定数配置の確約・ハラスメント対策・長時間労働予防・市教委責任明確化等 要求
川崎市教委が7月に公表した「学校事務職員の在り方に関する今後の方向性(案)」。
学労川崎は公表直後に「強い反対と厳しい対処の意」を基本姿勢として表明。9/30には以下の囲みの通り「「学校事務職員の在り方に関する今後の方向性(案)」に関する申入書」を市教委に提出し、より具体的な要求・指摘を行いました。
いずれも労働条件に関する重要課題。厳しく追及し、良好な労働環境につなげます。
【申し入れ項目】1.「グループ化」と、学校事務職係長・課長補佐級職員の「上司化」(業務増を伴う助言、業務進捗管理、研修体制整備、人事評価のサポート)を行わないこと。2.業務増を推進しないこと。(補足としての要求並びに指摘)1.グループ化について・法的位置づけ・性質について、労使協議を通して整理すること。・義務標準定数を最低基準とした事務職員配置を継続するとともに、欠員補充・休業休職代替職員の速やかな配置についても徹底する旨、確約すること。・グループへの参加は事務職員個々の任意とすること。・グループ内のハラスメント対策を講じること。過剰なマイクロマネジメントや自己流の業務方法・意識の押し付け等、具体的に危惧される事案について、定期的に組合と協議の席を設けること。毎年、教育委員会の責任のもとハラスメント研修を実施すること。・係長・課長補佐のグループにおける権限(職権上の限界、やれること・やれないこと)について労使協議を通して整理し、係長・課長補佐はもとよりすべての学校事務職員・校長・教頭に向けて、教育委員会としてわかりやすく周知すること。・グループ内における係長・課長補佐による不当な言動に対して、責任を負う主体を明確にすること。(自身の所属長か、係長等の所属長か、係長等自身か、等)2.業務増について・川崎市学校事務職標準職務について、労使協議を通して整理すること。2017年4月の改正により同年同月の学校教育法改正対応は済んでいること、その際に盛り込まれた「教育活動支援に資すること」をめぐり、同年3月14日の労使協議において当局が行った「現在実際に事務職員が各々担っている範囲のうち」「表の見た目としては変化があるが、内容については変化はない」との説明を再確認すること。・2020年7月・文部科学省事務職員標準職務参考例通知の取扱いを改めること。具体的には、事務職員の労働環境・業務負担が一切調査・検証・議論されずに策定されたものであること、「職務内容を定めるための基礎資料」に過ぎず機械的に適用されるものではないことを、確認すること。・長時間労働の予防策を具体的に示すこと。実効性を明確にするため、グループ校内で36協定や人事委員会規則を超過する時間外勤務が発生した場合、ただちに取り組みを停止すること。・担当職務の明確化を進めるにあたっては、グループのOJTではなく教育委員会が服務監督権者の責任として、基礎的な業務説明やマニュアル・業務フロー整備を行うこと。現行案では、グループ間での非標準が生じる可能性が極めて高いこと。
ハラスメント被害をめぐり校長・市教委と交渉
複数校での考え方・手法・価値観の押し付けは「支配」
事務職員複数配置校勤務の組合員より、経験年数も職位も上の相手方事務職員から次のような行為を日常的に受けているとの相談がありました。
・教職員との会話や業務電話の内容につき逐一報告を求める。・遂行した業務に対し必要な範囲を超えて仔細な見直し・指摘を行う。・提出が必要な業務について締切より早期の対応を求め急かす。
学労川崎はこれらについて、「優越的な関係を背景とし、業務上必要かつ相当な範囲を超え、就業環境が害される」パワーハラスメントに該当すると判断。当該組合員と話し合ったうえで、市教委並びに当該校長宛に申入書を提出し交渉を持ちました。
交渉では事実関係や今後の対応を質しました。特に今後をめぐっては、当該組合員が安心して働ける環境整備が最大の目的であるとしたうえで、第一義的には被害者ではなく加害者を異動させるべきであるとの立場をとりました。
その後、校長が相手方に聞き取りを行った結果が報告されました。大まかには、一部は認識の相違、一部は記憶にない、一部は必要な範囲のこと、との主張でした。これを受け校長は、ハラスメントには該当しないとしつつコミュニケーションの課題や心的負担を与えた可能性を認めるとともに、管理職も状況に気づくことができず反省しているとの認識を回答。今後相手方への指導助言を行うとともに、組合員の良好な労働環境構築に配慮する旨も示されました。
これを受け学労川崎は、録音等の明確な証拠を持ち合わせていないことから全容解明は困難としつつ、「締切より早期の対応を求め急かす」点については相手方の主張からもその事実が複数認められ、それは一般的な事務業務遂行から逸脱したものであること、また相手方が主導した「毎朝、業務全体の進捗確認」も他の複数校や教員同士の間では一般的な行為ではないことを指摘。そうした相手方特有の業務遂行の考え方・手法を、当該組合員は抗拒困難な立場のもと合意なく押し付けられてきたこと、相手方にはそうした権限はなく管理職の指示・認識・了解もないのに、それが行われてきたことが問題であったと強調しました。
そのうえで「安心して働ける環境整備」を最優先する立場から「ハラスメントとは認定しない」結論に対する異議は差し控えるものの、ハラスメントの「認定」と「有無」は異なるしハラスメントの有無と問題の有無も異なるとし、環境整備を強く求めました。この判断は、ハラスメント「認定」は懲戒処分に直結するがゆえの「認定」ハードルの高さも考慮したものです。
いかに経験や職位が上でも、あるいは校長や市教委やそれ以外の場で高い評価を受けていても、あくまで対等である同僚事務職員に自身の考え方・手法・価値観を押し付けることはまったく不適切です。それは「支配」であり、被害者から自信と主体性と心身の健康を奪うものであり、ひいて安定的で健全な学校運営をも阻害するものです。「学校運営参画」云々以前の問題です。
おりしも「在り方方向性案」で事務職員のグループ化が打ち出されています。階層的なグループ組織で業務増を進める構造が、ハラスメントの温床となることを強く危惧しています。同様に考える方も多いのではないでしょうか。自らを守るため、また学校事務を誰にとってもそんな職にしないため、学労川崎でともに!
(※プライバシー保護のためハラスメント被害やその影響の詳細は一部記述を控えました)
組合加入・労働相談歓迎
学校事務職員を長く続けたい方、学校事務をもっと良くしたい方、働き方を改善したい方、仕事の悩みを抱えている方、学労の取組に参加したい方、学労の取組を応援したい方――お気軽にご連絡を。
PR