「学労川崎」826号(2025年11月10日発行)
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初任給経験年数加算上限=臨任・任期付職員給与上限
撤廃 まさかの先送り
人事委員会給与報告を無視し、議会答弁も顧みず
何より臨任・任期付職員の期待を踏みにじる市当局と市労連
全号給賃上げも物価高に及ばぬ上げ幅の一方
若年昇格者・上位級職員優遇で競争をあおる
◇2025年度賃金確定の概要(学校事務職員関係)
〇月例給(基本給)・高卒初任給12,300円、大卒初任給12,000円、若年層を重点に全級号給で引上げ【25年4月~】・各級平均引上げ率…1級=5.40%/2級=4.35%/3級=2.97%/4級=2.77%/5級=2.53%・非常勤学校事務職の時給単価89円引上げ(1,581円)【条件により25年4月もしくは12月~】・係長級以上の初号額を引上げ早期昇格の場合の昇格メリット拡大【26年4月~】〇一時金(期末・勤勉手当)・年間0.05月引上げ4.65月とし、引上げ分は期末と勤勉に均等配分【条例改正公布日~】期末2.500月→2.525月/勤勉2.100月→2.125月(標準区分=2.095月)・再任用職員は0.05月引上げ2.45月とし、引上げ分は期末と勤勉に均等配分【条例改正公布日~】期末1.400月→1.425月/勤勉1.000月→1.025月(標準区分=1.025月)・期末・勤勉手当職務段階別加算割合の引上げ(4級=6→8.5%/5級=7.5→10%)【26年4月~】〇その他・交通用具通勤手当10km以上の引上げ【25年4月~】と60km以上の距離区分新設【26年4月~】・配偶者扶養手当廃止・子扶養手当引上げの段階的実施【26~28年度】配偶者=現7,000→4,700→2,300→0円/子=現10,000→11,000→12,000→13,000円・通勤手当支給限度額引上げと新幹線等支給要件見直し【26年4月~】・初任給決定の下位区分適用【26年3月~】→学労川崎は ①物価上昇に届く賃上げ水準でないこと ②賃金格差拡大を進める内容であること ③初任給経験年数加算上限の撤廃が盛り込まれていないこと を主な理由として合意に及ばず→川教組・市職労等で構成する市労連は合意し、上記内容で確定・実施へ
学労川崎は今年も、市教委当局と賃金確定交渉に取り組みました。11/10の最終団体交渉で当局は、上記囲みの通り最終提案。
これに対し学労川崎は以下の回答(抜粋)を示し、再提案を要求。しかし当局は市労連との合意を理由に再提案には応じず、合意に及びませんでした。
◇学労川崎の回答要旨(抜粋)
▽22年4月以来、3~5%の物価上昇。平均3.16%の月例給引上げ幅では物価上昇に届かず、特に3級以上の引上げ幅は3%未満。モチベーションを低下させ、生活を顧みない内容。
▽係長級以上職の昇格メリット拡大と期末・勤勉手当職務段階別加算割合引上げは、賃金格差を拡大し競争を煽り協働を阻害し、職場環境をさらに悪化させる。
▽一時金引上げの勤勉手当への配分は、職員全体の生活向上につながらない。
▽人事委員会報告で求められた、臨任・任期付職員の給与改善につながる初任給経験年数加算上限撤廃を無視。強く抗議し撤廃を盛り込んだ再提案を要求。有期雇用労働者への差別待遇を続ける市長と市労連の怠慢・傲慢を許さず、教育委員会は教育長を筆頭に速やかな実現の取組を。
▽月途中任用の臨時的任用職員への諸手当支給、とりわけ通勤手当支給がなぜできないのか。月途中任用は当局都合、通勤経費は避けられない。通勤費用職員負担の状況改善を。
▽「独自任用」「到達級に天井あり」「おおむね1~2人配置」「経験年数や職制段階にかかわらずおおむね同一の担当職務」といった学校事務職特有の労働・雇用条件を踏まえ、安心・公平な賃金体系を。級格付けに合わせて学校事務職内に職制段階による差異を構築・強化することは論理の転倒。
▽人事評価の賃金への反映につき、人が人を評価する際に完璧はあり得ないという謙虚さを胸に置き、制度設計・制度運用を。
個々の労働環境改善も組合で
学労川崎の取組で事務室改善を実現
今年度異動した学労川崎組合員の勤務校で、事務室の環境改善を実現しました。
当該校事務室は、まず隣の職員室とを仕切っていたはずの幅1.8mにわたる引き戸が取り払われており、そこを通して職員室の続き部屋の状態。それだけでなく、職員室側のスペースにはコピー機、KEINSパソコン・プリンター・サーバー、そして大量のワーク集や教員用研修図書が占めていました。
小規模校のため印刷機よりコピー機の使用頻度が多く、教員がひっきりなしに出入り。その場の手近な台でコピーしたプリントを使った作業を始めることもしばしば。コピー機前(※事務室内)は職員室至近の手っ取り早い場所として、立ち話での打ち合わせから愚痴の言い合いから談笑まで教員たちの井戸端状態。事務室のうち事務職員のスペースと呼べるのは、文房具置き場を含めても半分程度。要するに「事務室」とは到底呼べない環境でした。
校長面接で状況を目の当たりにした組合員の求めを受け学労川崎は、3月中に校長と4/1の労使交渉実施を約束。4/1にただちに校長と教育委員会の双方に申入書を提出し、事務室の移転(印刷室との交換)を具体案として改善を求めました。
これを受け4月下旬には教育環境整備推進室の課長らが視察に来校。校長には、現在の環境の劣悪さに加え現「事務室」を印刷室とすることでより有効な活用につなげられることも訴え、提案通りの改善が決まり8月下旬には移転を実現しました。
それから2か月強。新・事務室は他のあたりまえの学校同様、落ち着いて仕事をできる環境になりました。新・印刷室についても、分散していた消耗品を集約配置するとともに、長机を入れて、広々と作業もでき資料を開いて打ち合わせもでき、給食の配膳スペースにもできる(それまでは校長室だった)部屋になりました。
実は前任の事務職員の方も、事務室環境への問題意識を持っており印刷室との交換という同様の提案はしていたそうですが、実現には至りませんでした。今回の改善は、組合として要求したがゆえだと考えます。
学労川崎は、個々の組合員の労働条件・労働環境についても組合として取り組みます。事務室のことでもそれ以外のことでも、ひとりひとりの困りごとに寄り添い改善・解決を目指す組合です。
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