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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「学労川崎」822号(2025年5月18日発行)

「年休の時間取得制限撤廃」を求めた人事委員会への措置要求

職員の利益を顧みず全国最低の制度を維持する「棄却」判定

 

市費移管と川教組の合意で悪化

 私たち学校事務職員を含む小中特別支援学校教職員は2016年度まで、神奈川県費負担職員として県の休暇制度が適用されていました。その当時、年次休暇の時間単位での取得に制限はありませんでした。しかし17年度から川崎市の休暇制度が適用され、年間5日=40時間までと制限されるようになりました。学労川崎は交渉で制限導入に強く反対しましたが、川教組は合意し改悪が強行されました。
 学労川崎は以降も「時間取得制限撤廃」を毎年要求し、労使交渉を行ってきました。しかし市教委当局は「市全体で適用される制度となるため、全庁の動向に合わせていく」という主体性のない回答に終始し、平行線が続いてきました。
 一方で22年度には、教員と学校栄養職員のみの制限撤廃で当局と川教組が合意。学校事務職員の休暇制度改善は、川教組から切り捨てられてしまいました。
 

全国最低

 労働組合は労働条件の改善を目指すことが役割です。学労川崎は労使交渉による制限撤廃が進まないことを受け新たな手段として、昨年5月に人事委員会への「措置要求」を行いました。
「措置要求」=職員が労働条件について、人事委員会に対して改善等を要求する制度。公務員への労働基本権制約の代償措置として、地方公務員法に根拠を持つ。
 時間取得制限を撤廃すれば取得の自由度が増し多くの職員にとって現実的な利益である一方、1日単位での取得が妨げられるわけでもなくいかなる職員にも不利益は生じません。人事委員会が謳う「一人一人のワーク・ライフ・バランスを実現」にも資するものです。
 また地方公務員の労働条件については、国・他自治体との間に権衡(バランス)を失しないようにしなければならないとする「均衡の原則」が、地方公務員法で定められています。実際に労使交渉の中でも当局が(特に労働条件切り下げにあたり)しばしば理由とする考え方です。
 しかるに年休の時間取得では、国は制限なし、他の政令指定都市19市中16市も制限なし。残る3市でも、1市は学校事務職員も含めた教職員には制限なし、2市の制限日数はそれぞれ15日・10日と川崎より好条件です。川崎市の条件は全国最低であり、均衡の原則に反する状況です。
 

「制度全般は概ね同様」?

 しかし人事委員会はこのほど、措置要求を「棄却」。年休の時間取得制限について撤廃の必要はないと判定しました。
 判定は、職員の現実の利益や人事委員会自身が謳う「ワーク・ライフ・バランス」に言及さえせず、公務員には適用されない労働基準法条項を唯一の根拠に「労働者保護の観点からまとまった日数の休暇取得が必要」と強弁。制限を撤廃してもそうした権利は侵害されないという学労側の指摘は無視されました。
 また均衡の原則をめぐっては、付与日数や付与日、繰越日数、最大日数といった要求と無関係な要素を並べ立てて「年次休暇制度全般については、概ね同様」と無茶苦茶な強弁。時間取得における明らかな不均衡の存在を認めながら、結論ありきで黒を白と言いくるめる暴論に、開いた口がふさがりません。
 

まだまだ取り組みは続く

 人事委員会は制度上は中立的な行政委員会とされていますが、所詮は市の一機関。そもそも委員長は元・川崎市の局長です。
 私たちはこんな判定であきらめるつもりはありません。二の矢・三の矢で改善を実現します。ともに取り組みましょう!
  

 

問題だらけの新旅費システム

現場との意思疎通なきシステムは業務の妨げ

 
 4月から稼働した新旅費システム。業務システムが新しくなるのであれば、機能も操作性も動作環境も従来より良くなると考えるのが当たり前。しかしその当たり前が、川崎市の役所では通用しません
 いにしえのダイヤルアップ接続時代(←若手には通じない)を思い出させるかのような動作環境の遅さ、旧システムにあった便利な機能(予算科目の自動反映や他職員からの複写作成)の廃止、復命では修正できない予算科目、登録外施設の所在地入力方法の煩雑化、極めつけはまともなマニュアルもなく、決裁ルート通知は4月下旬になってから。
 この1か月半のあいだ曲がりなりにも旅費事務が進行しているのは、現場学校事務職員の努力と創意工夫と自発的な情報共有の結果です。同時に給与厚生課担当職員の過重業務も懸念されます。新旅費システムの設計・導入に責任を持つ市・市教委上層部には猛省を求めます。
 学労川崎は4/8、その時点で特に顕在化していた問題に絞って、新旅費システム改善を求める申入書を市教委に提出しました。
 
新旅費システムの改善を求める申入書
(4/8提出)
 私たち学校事務職員労働組合神奈川は労働条件に関わる課題として、学校事務ならびに学校現場の負担軽減につながる業務改善の一層の推進を求めています。
 4月1日より新旅費システムが導入されました。そもそも同システムの導入にあたり、当組合への提案も情報提供もなかったことは問題です。
 そのうえ、実際のシステムを操作する試行期間も十分なマニュアルもないまま、もっとも多忙な4月1日に導入したことは、現場の負担も正確・適切な事務執行も顧みないものであったと言わざるを得ません。
 実際に、わずかにこの数日の間でも新旅費システムにおける様々な問題が起きています。これらは試行期間と、現場で旅費事務を担当する職員の組合である当組合との協議を持つ時間を設けていれば、回避できたことです。
 このことを踏まえ、以下のとおり申し入れます。
1.新旅費システムの動作環境が非常に遅い日があった。入力が多く負荷のかかる場面においても動作に影響しないよう、環境を改善すること。
2.新旅費システムの操作マニュアルを速やかに整備すること。
3.予算科目について旧システムと同様、一度選択した科目が次回以降自動で選択されるよう改修すること。
4.上記のことを実施するまでの間、旧旅費管理システムの併用すること。
 
 市教委当局は1・3について「所管部署に改善の要望を行う」、2について「具体的な作業手段の周知やマニュアルの整備を行う」と回答しました。
 申し入れ項目以外にも、改善を要する点は数々浮き彫りになっています。学労川崎は引き続き、速やかかつ具体的な改善を求めていきます。
 また同時に、将来別のシステム導入・改修等に際して同様の問題が繰り返されることのないようにする観点からも、取り組んでいきます。


 
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