横浜「事務連携組織」への参加
「任意」と市教委明言
「全員参加」とされていた横浜の共同実施
横浜市教育委員会はこのほど、現在全市で行なっている「学校事務の共同実施」(学校事務連携組織)への事務職員の参加に関し、従前の「悉皆(全員参加)の事業」という姿勢を改め、「校長判断に基づく任意参加の組織」との見解を当組合に示した。
横浜では共同実施を「事務連携組織」と呼称し、事務長制導入と並行して2017年度から事業を行ってきた。複数の学校事務職員をグループ化して事務連携組織単位とし、事務長(係長級)は各事務連携組織を統括する、というのが横浜の共同実施の基本的構造だ(特別支援学校を除く)。
もっとも、日常的な事務連携組織の運営について事務長はほとんどタッチしておらず、拠点校の事務職員を「ブロックリーダー」として市教委が委嘱し、事務連携組織の運営実務を行なわせる形をとっている。
届かない開催通知 その意味するところは
しかるに今年4月。事務連携組織の開催に際してがくろう神奈川組合員の所属校を管轄する事務長が、組合員に対して事前の日程調整や開催通知を一切送ってこない、という出来事が起きた。その理由について事務長は、「(当該組合員が)このかん事務連携組織に一貫して不参加のため、所属校長と相談して開催通知等を送らなかった」と説明した。
職員本人と校長が不参加を決めれば開催通知自体を送らなくて良し、とするならば、もはや事務連携組織は悉皆(全員参加)の事業ではないということになる。がくろう神奈川はこの点、市教委当局に照会した。
その結果市教委当局は、「事務連携組織参加の是非は当該校長の判断に属する。今回、組合員に対して開催通知等を送付しなかったことについて市教委は回答するべき立場にない」という趣旨の回答を行った。
これは事実上、横浜において共同実施(事務連携)が任意参加の事業であることを当局が認めたものである。さらに組合側が事務連携組織の任意性について念押しすると、市教委側は「任意である」と明言した。
問題の本質は共同実施と事務長制
横浜における学校事務の共同実施は学校事務の集約を図るという側面よりも、事務長を筆頭に市教委の施策を事務職員相互の監視・点検のもと浸透させ、自己統制を強いるという側面がこれまでも強かった。その一方で根拠が曖昧で正確さにも疑義がある「情報共有」や、事務長が持ち込む資料内容に露骨な誤りが含まれるなど、内実は惨憺たるものだった。
こうした状況にも関わらず当の事務長は訂正も謝罪もせず、市教委も監督責任を放棄してきた。共同実施(事務連携組織)や事務長業務の所管課がどこなのか、事務長の管理監督者は誰か、という組合の問いかけにさえ、当局は明確に回答できないというお粗末な状況を考えれば、悉皆事業の体をなしていないことは明白だ。
問題の本質は共同実施そのものの是非、また無責任な事務長たちとその業務(特に事務長が根拠のないまま他校事務職員の人事考課に介入している状況)自体にある。共同実施と事務長制廃止に向け、さらに取り組みを進めたい。
県「旅費制度の見直し」10月実施へ
事務手続きの簡素化推進 旅行雑費は廃止
神奈川県は5月、「旅費制度の見直し」について概要を固めがくろう神奈川も提示を受けた。国家公務員の「旅費法」改正に合わせて同様の見直しを行うものだ。
内容は大きく「条例額と実勢価格との乖離の解消」(宿泊・転居等)、「実態・運用に即した規定の整備」(特急料金要件見直し・実費支給原則等)、「事務手続きの簡素化・効率化」の3本。
特に学校現場にも身近な内容では、以下が挙げられる。
▽自家用車車賃の18円/kmへの引上げ
▽1km未満でも旅客運賃発生時は実費支給
▽旅費の発生しない出張につき、任命権者の実情に応じて口頭命令(システム入力省略)可
▽旅行雑費の廃止
▽研修出張時の用務終了につき当日所属報告の義務がないことを周知
▽旅行代理店等による旅費請求手続き可
車賃旅費引上げはかねてがくろう神奈川の要求してきたことであり、歓迎する。一方で旅行雑費の廃止は、業務環境の変化を踏まえた結果とはいえ残念だ。
ゼロ円出張での口頭命令を可とするかどうかについて、任命権者の県教委は現段階では固めていないとしている。旅行代理店による旅費請求手続きは、修学旅行等の引率出張で活用される可能性がありそうだ。
見直しは8月頃を目途に順次通知される見通しだ。がくろう神奈川は今後も引き続き、旅費制度の改善を求めていく。
全学労連 学校事務の有期雇用割合が高い自治体に質問書
がくろう神奈川も参加する学校事務職員労組の全国組織「全学労連」は毎年、各都道府県・政令市の小中学校教職員配置状況を文科省より入手、分析している。これにより、事務職員においてかねて有期雇用(臨時的任用・任期付)の割合が高いことを明らかにし、文科省交渉や国会議員要請等でその問題を訴えてきた。
今回新たに、有期雇用者数が実数の20%を超える13府県市(全国平均は12・7%)の教育委員会に対して直接質問書を送付。全学労連の問題意識を伝えるとともに、現状認識を質す取り組みを行った。
このうちもっとも割合が高いのは「共同実施先進県」宮崎県で34.1%。実に3人に1人以上が有期雇用だ。
割合が23.6%に及ぶ神奈川県も対象となった。質問と神奈川県教委の回答は以下の通り。
【質問】
総実数に占める「臨時的又は期限付任用者」の割合が全国平均に比して著しく高いことについて、①認識していたか ②要因はなにか ③いかように評価しているか ④採用定員増など状況改善に向けた取組を講じているか(講じている場合その内容)。
【神奈川県教委の回答】
①全国平均よりも高いことについては認識していないが、欠員対応臨時的任用職員数が多いことは認識しています。
②事務職員の複数配置校が多数存在すること、定年退職以外の退職者が想定以上に発生したためです。
③解消すべき課題であると認識しています。
④状況改善の取組として、受験者確保のため、職員採用のホームページで業務内容、職の魅力、やりがいについて発信するとともに、採用試験説明会では試験概要と業務内容の説明を行っています。
また、令和2年度以降、公立小中学校等事務Ⅰ種及びⅢ種採用試験の採用予定者数を増やし、最終合格者も採用予定者数と同数としており、職員確保に取り組んでいます。
回答は神奈川を含め9府県市から寄せられた。その結果おおむねいずれも、実態を認識し解消・改善すべき課題と捉えていることがわかった。
質問・回答を通して当該自治体に現状認識を促し、対応を言語化させることができた点、意義のある取り組みになったと考える。一方で、もっとも深刻な宮崎県からは回答が寄せられなかった。
臨時的任用・任期付職員はいずれも「常勤職員が行うべき業務に従事」し、補助業務ではなく常勤職員と同様の業務を担っている。そしてその多くは、緊急でも臨時でもなく本来常勤職員を配置すべきところ、有期雇用職員の配置で替えられている実態がある。
本来は長年の勤続者を筆頭に、有期雇用職員の無期雇用転換を進めるべきだ。単に「正規」に置き換えれば良いというものでもない。がくろう神奈川は全学労連とともに、無期雇用転換要求と一体でこの課題に引き続き取り組んでいく。
神奈川県内どこからでも加入歓迎!
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全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)主催
「全交流」(全国学校事務労働者交流集会)
日時:8月2日10:00~3日11:45
会場:滋賀県大津市「ピアザ淡海」
労働者間の分断を深め、無賃残業を温存し、長時間労働を助長する
「給特法改正=教職調整額10%への引き上げ」に抗議します
「働いた分は払う そんな当たり前の学校労働を!