忍者ブログ

学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.310(2023年12月11日)

文科省 共同学校事務室による業務負担増の可能性認める

全学労連秋季中央行動 業務転嫁・業務負担増反対の声挙げる

 
 がくろう神奈川も組織参加する、学校事務職員による独自労組等でつくる労働団体・全学労連(全国学校事務労働組合連絡会議)。その全学労連が毎年実施する秋季中央行動が、今年は12/1に取り組まれた。
「学校における働き方改革」が直接的・抜本的な課題解消につながらない中、教員から学校事務職員への業務転嫁が安易な手段として進められている。しかし、学校事務職員も元来担っている業務における負担は年々増しており、教員の負担軽減のために業務転嫁を受け入れる余地はない。それでもなお転嫁が強行されている地域では、学校事務職員から悲鳴に近い声が挙がっている。今でさえ、学校事務職員の精神疾患による休職者の割合は教員のそれを大きく上回っており、事態の悪化も強く懸念される。

 
 全学労連はそうした問題意識のもと、以下の項目から成る「2023年度全学労連政策要請書」を策定。これをもとに文部科学・財務・総務の3省と全国都道府県教育委員会連合会、そして文教関係衆参国会議員への交渉・要請行動を展開した。
 
▽「チーム学校」「働き方改革」「質の高い教師の確保」といった政策における、教員から学校事務職員への業務転嫁に反対します。教職員定数の改善や学校が負う業務・役割そのものの縮減といった、抜本的かつ具体的な施策を求めます。
▽学校事務職員の労働条件と雇用を破壊し、学校運営にも支障を生じさせる「共同学校事務室」「学校事務の共同実施」に反対します。
▽義務標準法の定める学校事務職員定数を遵守し、欠員を生じさせないよう求めます。児童生徒数や学級数等客観的基準に基づき、配置基準の改善と定数増を求めます。あわせて、市区町村費負担学校事務職員の配置拡充に向けた施策を求めます。
▽義務教育費国庫負担制度の改善と総額裁量制の廃止を求めます。
▽有期雇用職員の労働条件改善と、無期雇用転換に向けた法制・施策を求めます。
 
 文科省交渉では、「学校事務の共同実施」「共同学校事務室」が学校事務職員の業務負担増を招いているとの認識を持っているか質した。これについて文科省は、業務量の変化を否定する調査結果も存在するとの留保はつけつつも、「そういった認識は持っている」と回答。文科省としても、共同実施・共同学校事務室が学校事務職員の業務負担増を招く可能性があることは認めた形だ。全学労連交渉団からは、特に週1回・2回と頻繁に集合する共同学校事務室ほど負担が大きい、加配職員の付く事務長の負担は軽い一方で他の事務職員は多忙となっている、といった実態を指摘。文科省側も「調査結果はあくまで一参考。皆様の意見も踏まえ総合的に検討する」と応じた。
 交渉・要請行動後の討論集会では、各地で進む学校事務職員の業務増や毎週開催される共同学校事務室が所属校業務を圧迫している実態、そしてそれに対する学労組合の取り組みを共有した。
 また、友誼組合である大阪教育合同労組の元委員長で現参議院議員の大椿ゆうこさんも参加し挨拶。「自分の1議席は労働者のため・闘う労働組合のための1議席。ぜひ使ってほしい」と力強いアピールをいただいた。
 

 

秋の賃金確定 県内各地における取組と結果

 
【横浜】▽23年度の賃金闘争は、横浜市教委当局の提案が市人事委員会勧告内容を一歩も出ることがないまま決裂した。ボーナス0.10月増・大卒初任給月額12,000円引上げなどの内容は国・市人勧の内容と何ら変わらず、中堅以降の職員の月例給は1%にも満たない引上げ幅だった。▽常勤職員の賃金改定に伴い、会計年度任用職員の報酬単価が大幅に引上げられたことは評価できるが、改定時期について当局側は次年度実施を譲らなかった。組合が求めていた当該年度4月の遡及改定については次年度以降、12月1日在籍の月額会計年度任用職員に関しては常勤職員に準じて遡及改定としたが、時間額職員については当該年度1月から改定と、異なる対応となってしまった。▽空前の物価高の中、今年の春闘では大手企業を中心に5%近い賃上げも勝ち取られているが、横浜市における賃金闘争は物価上昇率にも及ばない不十分なものにとどまっている。引き続き「生活給たる賃金」という原則を踏まえ取り組みを進めたい。
 
【川崎】▽23年度賃金確定は「大卒初任給11,000円をはじめ全号給で基本給引上げ(平均1%)」「期末手当0.05月・勤勉手当0.05月引上げ(会計年度任用職員は期末0.05月引上げのみ)」「年齢別最低保障額表改正」等の内容。▽川崎支部は「3~5%の物価上昇・1.5~3%前後の実質賃金低下の中で基本給引上げ幅が1%のみ」「賃上げ原資を成果給部分=勤勉手当に配分」「会計年度任用職員の一時金(期末+勤勉)引上げは常勤職員の半分にとどまり格差拡大」等を問題とし合意に至らなかったが、市労連は合意し実施の運びになった。▽臨任・任期付職員の実質的な賃金上限となっており組合の重点要求事項である「初任給経験年数加算上限」については、市教委当局の主体的な問題意識を確認。撤廃に向けた強力な取組を求めた。▽会計年度任用職員の期末手当は0.05月しか引上げられなかったが、市長・教育長の期末手当は0.1月引上げ。有期雇用労働者を差別し、お手盛りで自身の手当は増やす市長・教育長を厳しく批判したい。
 
【神奈川県】神奈川県の賃金確定内容は、基本給で若年層在籍号給を重点(最高12,000円)に全号給引上げ、地域手当で23年度12.19%(+0.1%)・24年度12.21%に引上げ、期末手当と勤勉手当でそれぞれ0.05月引上げ、等が盛り込まれた。また会計年度任用職員の報酬改定は、今年度から4月遡及改定適用される。このほか、夏季休暇や慶弔休暇の取得期間拡大、小1~小3の子に係る部分休業制度の創設、「孫休暇」導入等が来年度から実施。同性パートナーについても手当・休暇対象となる配偶者とすることも決定した。
 

 

川崎市平和館見学 暴力・差別・貧困・環境破壊のない世界を

 
 がくろう神奈川も参加する神奈川県労働組合共闘会議は11月25日、「川崎市平和館」の見学を行った。戦前は軍需工場であったところ米軍に接収され、1975年に返還された跡地に立地している。
 平和館は「平和とは、すべての人間が暴力や差別、貧困や環境破壊に脅かされず安心して生活できること」との考えのもと、包括的な平和への理解促進、啓発の場となることを目指している。
 常設展示は10ブロックあり、「①平和を考える」「⑨さまざまな暴力」では貧困・差別・環境破壊も平和を脅かす存在であることを説明。また「③日本と戦争」「⑤戦争と人間」では映像を、「④兵器と戦争」では模型を使い分かりやすく説明をしている。さらに「⑥国家による弾圧」では強者の弱者に対する一方的な暴力である弾圧を解説、「⑧武力紛争とメディア」では紛争時のメディアの動きを示している。
 戦争や武力紛争を弱者の視点でとらえ、差別・貧困も平和に反するものとする姿勢が特によかった。1時間半ほど見学時間を取ったが、映像や解説、展示物が豊富で時間が足りないくらい。皆さんもぜひ訪れてほしい。

PR

学校事務職員労働組合神奈川

連絡先
横浜市港北区篠原台町36-28
 東横白楽マンション602
shino3628★gmail.com
(★を@に変えてください)