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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.309(2023年10月2日)

学校現場が壊れてゆく…東京の共同実施導入地区

共同実施・共同事務室に否定的な市区町村教委の声も明らかに

 
 8/26、東京都教委が進める共同実施に反対する集会「東京版学校事務の共同実施はなにをめざしているのか」が開催された。
 7校のうち1校に「共同事務室」を置きそこには都費の事務職員を4人配置、他の各校には会計年度任用事務職員1人を「共同実施支援員」として配置するという、「人員削減」を前面に掲げた学校事務職員の合理化政策を、都教委が突如発表したのは12年前。大量の欠員未配置を放置してきた末の学校事務職員の棄民化政策だ。と言うわけで、学校事務職員関係の7労働組合すべて(全学労連加盟組合はもちろん、日教組系・全教系・自治労系の組合も)が集まり「7者協議会」を組織して闘っている。
 12年度に江東区と武蔵村山市で開始。「10年後には全都で」と意気込んだ都教委だが、12年経って導入した自治体は未だ10。この4年間の新規導入は無しだ。都教委が市区町村教委に行っていた共同実施の「意向調査」の存在が判明し、20・21年度分は情報公開で開示されたが、都教委はその内容から共同実施を進めるうえで都合が悪いと判断したのか、22年度分は非開示。ならばと、7者協は全市区町村に対しての情報公開請求で調査内容を入手した。
 集会では共同事務室に対する市区町村教委の「本音」と、導入自治体で働く共同実施支援員の方々からの生の声が報告された。事務職員が学校にいないと副校長や教員に負担がいき、「回っていかない」学校の現場実態がある。また、短時間勤務にもかかわらず学校事務職員の役割を丸ごと期待されてしまう共同実施支援員の大変さは深刻で、サービス残業せざるを得ない状況が放置されている。こんな無理を重ねれば学校現場が壊れるのは自明だ。都教委「意向調査」への回答には、学校現場に責任を持つ市区町村教委として共同事務室導入に否定的な姿勢が滲み出ていた。
 同様の課題は全国的にも共通する。共同実施・共同学校事務室を東京で・全国で葬ろう!
 

 
がくろう神奈川は7/12に第27回定期大会を開催。運動方針を以下の通り固めました。引き続き労働者の立場に立った労働運動を進めていきます。
 
〇教育の民営化に反対し、学校事務職員制度を発展させよう
〇労働基本権を奪還し、労働条件改善を勝ち取ろう
〇諸権利の防衛・拡大を実現しよう
〇職場の管理強化を許さず、差別・分断を打ち破ろう
〇女性労働者に対する差別・分断を打ち破ろう
〇有期雇用労働者の労働条件改善を実現しよう
〇国家主義的・新自由主義的教育改革と対決しよう
〇組織を強化し、全ての労働者と連帯しよう
〇政治的社会的課題に取り組もう
 

 

<横浜>初任給下位区分不適用での賃金不利益 人事委員会に措置要求

結果は「棄却」も横浜市教委の対応を「不適切」と判定

 
 横浜市では従来、大学卒業資格を持たず採用された学校事務職員の初任給決定について、最終学歴卒業後の職歴等の前歴(経験年数)が考慮されず、大学新卒初任給適用とされてきた。
 職員によっては、最終学歴に応じた初任給に前歴加算を行う(=「下位区分適用」)方が大学新卒初任給よりも高位の号給となる場合があり、当該職員にとって不利益な制度であった。また、この下位区分適用は決して特別な制度ではなく、国や多くの自治体ではかねて実施されているものであった。
 がくろう神奈川横浜支部の取組もあり、22年4月から横浜市でも下位区分適用が実施されることとなったが、現職者のそれ以前の賃金不利益については回復されなかった。このため当事者である組合員が22年10月、横浜市人事委員会に措置要求を行った。措置要求とは公務員の労働基本権が制限される代償として保障される制度で、勤務条件に関する内容の是正を「中立・公平」とされる人事委員会に求める制度である。
 今回の措置要求内容は概ね2点。

①横浜市は国・他自治体が実施している下位区分適用を長年実施しなかった。この結果、下位区分適用が実施されるまでのあいだ、賃金の不利益不均衡が発生をしていた(当該組合員の場合総計約100万円)。これにつき何らかの回復措置を求める。

②当該組合員は採用試験合格後~採用前、横浜市教委に対して下位区分適用についてメールで質問し、市教委は「大卒・高卒関係なく経験年数加算がある」と下位区分適用が実施される趣旨の説明をした。しかしそれは事実に反し、実際には下位区分適用により適用される給与号給より低い号給(大学新卒初任給)が適用されてしまった。虚偽説明による不利益であり何らかの救済・回復措置を求める。

 これについて23年8月に出された人事委員会判定は概ね以下の通りであった。

①下位区分適用がなかった期間の不均衡について言及せず。下位区分適用は採用前の経歴の多様化に適切に対応しただけで、過去に遡及するものではないから是正勧告する必要はない。

②横浜市教委の一連の説明について「不適切である」と判断。しかし横浜市教委は規則にのっとり給与号給の決定をしたものであるため、何らかの措置を講ずることを求めることはできない。


 国・他自治体との不均衡があったこと明白であるにも関わらずそれに言及せず、要求を棄却したことは遺憾である。ただ、横浜市教委の当該組合員に対する勤務条件の説明について「不適切」との判断を示させたことは大きな収穫であると考えている。
 がくろう神奈川は判定内容を精査しつつ、不適切な説明をした横浜市教委に対して回復措置の交渉に臨んでいきたいと考える。勤務条件について虚偽の説明をされて悩んでいる方がいたら、是非がくろう神奈川まで相談をされたい。
 

 

全学労連主催「全国学校事務労働者交流集会」が県内で開催 

共同実施・共同学校事務室と有期雇用の問題を中心に議論

 
 8/5~6に神奈川・葉山町で、全国学校事務労働者交流集会(全交流)が開催された。主催する全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)加盟の学校事務労組組合員を中心とした参加者により、学校事務を取り巻く様々な問題について積極的な意見交換、討論を行った。また、個人で参加した県内の事務職員もいた。
 1日目のテーマは「共同実施・共同学校事務室の現在」として、全学労連が実施したアンケート調査などをもとに全国に広がる学校事務の共同実施、共同学校事務室の実情について話し合った。人口減を見越した学校の統廃合や自治体自身の合理化を追求する施策を背景にし、学校事務についても労働強化と合理化が進められようとしている。アンケートなどからは全国的に共同実施が何らかの形で導入されている実態が浮き彫りになったが、一方で実施形態は自治体でかなりばらつきがあり「共同実施のための共同実施」と思われる側面も否めない。学校徴収金業務などの新たな業務の事務職員への押し付け(労働強化)や職の階層化へと着実に進んでいる、学校事務の共同実施・共同学校事務室に対抗する方策を話し合った。
 2日目は学校現場における有期雇用の現状について、問題提起が行われた。がくろう神奈川からも有期雇用の組合員から報告があり、長年にわたり任用更新が繰り返されながら毎年度末には任用継続の保障がない状況に陥ることへの不安が語られた。また川崎で取り組まれた臨時的任用職員の無期雇用転換権を市議会に求める取り組みについても報告がされた。自治体における臨時的任用職員の大半が学校現場に集中している。教員業務支援員(職員室アシスタント・教職員事務支援員)や部活動指導員など、時間給で働く会計年度任用職員も年々増加しており、彼・彼女たちも雇止めにあうリスクを抱えながら働いている。「有期雇用の格差是正は学校から」という問題意識の下、取り組みを進めて行きたい。

☆より詳しい集会報告は「全学労連」HP掲載のニュース450号をご覧ください

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