忍者ブログ

学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.308(2023年6月12日)

文科相「質の高い教師の確保のための環境整備」を中教審に諮問

教職員も労働者 必要なのは「魅力」ではなく「労働条件」だ

 

「教員不足」…だけではない! 人的余裕のない学校現場

「教員不足」が叫ばれて久しい。今年度も各地で年度当初から教員の欠員未補充が発生しており、例えば川崎市では4/6時点で小・中・高・特の各校で合わせて60.5人にのぼることがわかっている。
 ただ実はこの欠員未補充、川崎市では教員だけでなく学校事務職員においても生じており、4/6以降6/9現在に至るも3人が欠員未補充にある。この問題ではがくろう神奈川川崎支部が市教委並びに校長交渉をもち、速やかな配置実現に取り組んでいる。
 それはそれとして、職種に関わらず欠員未補充とその常態化は、適正な学校教育の実現を担保するはずの教職員定数配置の空洞化であり、学校教育にマイナスをもたらすものだ。そして何よりも、本来よりも少ない人数で学校運営業務を進めなければならず、現職者は長時間労働や労働強化(労働の過密化)を課されることとなる。これは労働条件にかかわる問題に他ならない。
 4/28に文科省が、22年度教員勤務実態調査の集計速報値を公表した。前回調査より改善がみられたとは言え、教員の平均在校時間はなお11時間前後にのぼることが明らかになった。他方で、そんな教員の精神疾患休職率を学校事務職員のそれはさらに上回っている実態もある(本紙前々号既報)。
 もはや学校現場に人的余裕はなく、「あちらを立てればこちらが立たず」。教員の負担軽減が必要だとしても、それを事務職員に転嫁すれば今度は事務職員が立ち行かなくなる状況だ。抜本的な改善として人員増と業務縮減を進めるしかないはずだが、その歩みは遅々として進まず、むしろ「コロナ明け」でさまざまな手間のかかる活動が復活することによる逆行の動きも見る。おそらく学校現場で働く皆さんの多くも、人員増・業務縮減ともに実感を持てていないのではないだろうか。
 事ここに至り、この5年間騒がれた「学校における働き方改革」の「座礁」を見ずにはいられない。
 

「質の高い教師の確保」「魅力向上」 現場実態から遊離した政府の方向性

 こうした中 5/22、永岡文部科学大臣は中央教育審議会に「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」を諮問。「質の高い教師の確保のため」の検討が始まることとなった。
「抜本的に教職の魅力を向上させることが喫緊の課題」との問題意識を設定したうえで、「一層実効性ある働き方改革の推進」「教師の給与等処遇の改善」「学校の指導・運営体制の充実」の一体的・総合的推進を目指すとされている。
 しかし、長時間労働をはじめとする労働環境の劣悪さが文科省調査結果も含めてこれだけ明らかになってもなお、「教員不足」を含めた現下の学校現場で起きている問題の性質を雇用・労働問題として捉えることをせず、「令和の日本型学校教育」「質の高い教師の確保」「教職の魅力向上」といった現場実態から遊離した言葉遊びを弄する政府・文科省の姿勢には、現状に対する危機意識の欠如、現場との隔絶を感じずにはいられない。
 

「教職の魅力向上のため」は学校事務職員に何をもたらすか

 一方で、従来の「学校における働き方改革」と大きく異なるポイントとして「教職の魅力向上」が核心に置かれていることを挙げたい。このことは、私たち学校事務職員の働き方(働かされ方)にも大きく関係しかねない。
 諮問では働き方改革の一層の推進として「更なる役割分担・適正化を推進する観点からの学校・教師が担う業務の在り方」が検討事項の筆頭に挙げられている。これ自体は従来の働き方改革の延長線上と言えるが、その目標は大きく異なっている点に注目する。
 19年に中教審答申が出された「学校における働き方改革」にも多くの問題があったが、それでも一応は「学校における」であり、その結果教員以外の職種についてもそのあり方が検討に付され、「過重労働とならないように」といった論調があった。
 しかし今回の諮問は「教職の魅力向上のため」の働き方改革、「教職の魅力向上のため」の役割分担・適正化を追求するものだ。この点から、教員から学校事務職員への更なる・無遠慮な業務転嫁推進の結論が導き出されるおそれが十分にある。警戒が必要だ。
 政府・当局がいま学校現場で生じている問題を雇用・労働問題として正しく捉え、その正しい解決に向けた努力をするということであれば、私たちとしても応援したいしそのために必要な協議があれば検討する用意もある。しかし、特定職種を特別な地位(聖職?専門職?)として扱うことを前提として、その魅力向上のための犠牲になれといった話には応じる余地はない。
 教員も学校事務職員も他の学校教職員もみんな、労働者なのだ。労働に対して適正な対価・労働条件が保障されなければ、あるいは対価・労働条件に見合わない過重労働を迫られれば、空洞化が進行するのは当然だ。私たちが求めるのは「魅力」ではなく「適正な労働条件」であり、それは労働者として当然のことなのだ。
 

 

5/1神奈川メーデーに参加 すべての労働者の労働条件改善を訴える

 
 5月1日。労働者の祭典・メーデーが各地で祝われる中、横浜・反町公園でも「神奈川メーデー」の集会とデモが開催され、がくろう神奈川も神奈川県労働組合共闘会議の仲間とともに参加した。
「メーデー」はアメリカ・シカゴの労働者が1886年5月1日、当時12~14時間労働が当たり前だった中にあって8時間労働制を求め大規模なストライキを闘ったことに端を発する。この時、ストライキに参加した労働者が警官隊や冤罪裁判により殺害される事態となり、世界中の労働者に衝撃と怒りを与えた。これに抗議するため毎年5月1日に、世界中の労働者が集会・デモを行うようになり、今日まで続くメーデーの祭典が始まった。
 今年の神奈川メーデーには県内から約240名が結集し「物価高を上回る賃上げを」「全ての労働争議解決を」「最低賃金を時給1,500円以上に」「憲法改悪反対」などを訴えた。
 この間コロナ禍のなか、メーデーの取り組みも十分に行えていなかったが、今年は横浜駅までのデモ行進も行い街行く人に要求実現をアピールした。
 日教組も加盟する「連合」など、同日にメーデーの取り組みを行っていない組織もあるが、メーデーの成り立ちを考えれば5月1日に取り組むことに意義がある。今後も多くの働く仲間の参加を呼び掛けたい。


PR

学校事務職員労働組合神奈川

連絡先
横浜市港北区篠原台町36-28
 東横白楽マンション602
shino3628★gmail.com
(★を@に変えてください)