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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.305(2022年12月5日)

>>> 全学労連・秋季全国行動で文科省交渉や議員要請を実施 <<<

学校事務職員の声を直接届ける全学労連の取組

 
 がくろう神奈川も組織参加する、学校事務職員による独自組合等でつくる労働団体・全学労連(全国学校事務労働組合連絡会議)。その全学労連が毎年実施する秋季全国行動が、今年は11/25に取り組まれた。
 行動に合わせて「2022年度全学労連政策要請書」を策定(「全学労連」HP掲載のニュース443号参照)。「学校における働き方改革」の名の下に進行する教員から事務職員への業務転嫁=負担増反対や、臨時的任用職員など公務職場で働く有期雇用労働者の労働条件改善と無期雇用転換をはじめとする7項目の要請事項を携え、文部科学・総務・財務の3省と全国都道府県教育委員会連合会、そして文教関係衆参国会議員への交渉・要請行動を展開した。
 このうち文科省交渉では、昨今広く問題となっている「教員不足」をめぐる、学校現場での教育職以外の職種への影響について認識を質した。今や年度途中からの休業休職の代替はおろか、年度当初から教員の欠員が生じることも珍しくなくなっている。やむなく教頭・副校長や教務主任が授業を受け持つ、あるいは学級担任を兼ねるなどする中、手薄となる級外業務について事務職員等の他職種職員が様々な形でカバーしているのが、私たちの身近な現実だろう。
 ところが文科省の担当者は「職員が欠けた場合の業務は校内で分担することもあり得る」としつつ「事務職員の業務が増えるといった影響はないと考えている」との回答。あまりの現場感覚のなさにあきれる。文科省は「標準的職務」「役割」「参画」などと述べ立ているが、それがいかに机上の空論に過ぎないかはこの一件でも明白だ。現場実態は断じて違うと強く抗議し認識を改めるよう求めた。
 交渉・要請行動の後には議員会館内で討論集会。全国の学校事務労組の仲間のほか、交流の深い独立系教員組合の方々、そして長く自治体非正規雇用公務員の問題に取り組み続けている方も参加。ジャーナリストの竹信三恵子さんの講演を受け、活発な討論を行った。
 現場から遠く離れた霞が関・永田町の人々は、しかしその現場に対して影響力を持つ立場にある。そうした人々の無理解に対して、ただ嘆いているだけでは始まらない。労働組合として現場の学校事務職員の生の声を、直接届け続けていくことが大切だ。
 

 

全学労連討論集会講演<公務労働における有期雇用・女性労働を考える>

有期雇用・女性労働者の待遇改善から労働者全体の待遇改善へ社会と職場を巻き込んだ労働運動を!

ジャーナリスト 竹信三恵子さんのお話から

 
 今年の全学労連秋季行動では、久しぶりに講師を招いての討論集会を開催した。お招きしたのは、ジャーナリストで和光大学名誉教授の竹信三恵子さん。
 今や自治体職場の3人に1人が有期雇用労働者といわれ、そのほとんどは短期雇用かつ年収200万円以下にとどめられている。さらに、その4分の3は女性だ。竹信さんは、公務職場で働きながらも経済的自立が難しい状況を指す「官製ワーキングプア」という言葉を考案するとともに、様々な現場を取材し問題を告発してきた、力強い私たちの仲間だ。
 会計年度任用職員制度が導入されて3年目。総務省による、同制度事務処理マニュアル例示では「再度の任用は原則2回まで」と書かれており、多くの自治体では年度末にかけて全国で数十万ともいわれる多数の、継続を希望する現職職員への“雇止め”が行われる可能性がある。
 竹信さんは最初にこの問題に触れ、総務省マニュアルは先行する国の「期間業務職員」の運用を「例示」として挙げたにすぎず、3年目「公募」は「法律上の必須でない」とも書かれていることを指摘。まずその「必須でない」ことを国から自治体に通知すべきだと訴えた。労働契約法で規定された民間労働者の5年無期転換雇用について、「公務員の任用も労働者としては同じ」と適用を求め、「公募」で数十万の雇い止めが起これば社会問題化すると警鐘を鳴らした。
 会計年度任用職員制度は、この間の「正規」公務員削減の中で、拡大した「非正規」公務員を1年有期の働き手として合法化・固定化する制度で、住民と密接に関わる相談やケア労働(=女性が多く担う)を「非正規化」し、舵取りする仕事(=男性)を権力的業務として「正規」職員の仕事に位置付け、ジェンダー秩序を利用した上下関係を作り出したと言う。
 規制と拘束は「正規」並みだが、待遇は従来の「非正規」並みを堅持。制度導入前はフルタイムだった職を15分勤務時間を短縮しパート化することで退職手当逃れを図る脱法行為も行われるなど、低賃金でしか働けない構図が作り出されている。労働実態と雇用形態が乖離することにより、労働者のやりがい搾取と「非正規」労働者への軽視・蔑視も広がっている。「差別は最強で最悪の賃下げ装置」と竹信さんは喝破した。
 そもそも、利潤追求の民間企業と、利益は上がらないが社会全体の人権を支える公務は異なる役割を持つものなのに、公共サービスの民営化等によりこのふたつを一緒にするするところから政策の機能不全が始まった。
 必要なことは、競争ではなく誰もが平等に働くために、有期雇用労働(=女性労働)者の待遇を改善することが、労働者全体の待遇改善繋がることを意識し基本に据えること。「はむねっと(公務非正規女性全国ネットワーク)」の活動等、声を上げる当事者たちと連帯し、公共サービスを受ける地域の市民と繋がること。コロナ禍で表面化した女性の貧困の問題とリンクする状況を跳ね返す、社会的な労働運動の必要性を語ってくれた。
 非常に内容の濃い問題提起に刺激を受け、討論の時間が足りなくなるほど。ヒントを形にする組合の取り組みをやっていかねばと心に誓った。
 
☆講演資料は「全学労連」HPトップに掲載されています。ぜひご覧ください。
 

 

〇秋の賃金確定 県内各地における取組と結果〇

 
【横浜】横浜支部は、空前の物価高に見合う賃上げを第一に要求を突きつけた。特に市人勧が勤勉手当のみ引き上げの対象としたことは、勤勉手当を支給されない会計年度任用職員(会任職員)にとって不利益をもたらしかねず、会任職員賃金の引き上げもあわせて行うよう市教委に対して強く要求した。市教委からの改定案は、常勤者については若年層を中心とした給料表改定、勤勉手当0.1月引き上げという市人勧の域を出ないものだったが、会任職員についても期末手当0.1月引き上げ(ただし報酬単価は2023年度から引き上げ)という、任命権者として一定の踏み込んだ提案がなされたことを前向きに捉え、大枠受け入れとし決着した。
 
【川崎】川崎の賃金確定内容は「若年層~40歳台初めの基本給引上げ」「勤勉手当0.1月引上げ」。川崎支部は「物価高に応じた賃上げ対象・水準にない」「賃上げ原資を成果給部分=勤勉手当に配分」「会計年度任用職員の手当改善が置き去り」の3点を主な理由に合意しなかったが、市労連は合意し実施の運びになった。一方、臨任・任期付職員への実質的な賃金上限となっており組合の重点要求事項である「初任給経験年数加算上限の撤廃」について、市教委当局は「臨任・任期付職員への経験年数加算上限については撤廃の必要性を感じている。制度所管の人事委員会に伝えていきたい」と回答。当局が「撤廃の必要性」を認め改善に取り組むと明言したのは初めて。画期的な前進もあった。
 
【神奈川県】神奈川県の賃金確定内容は、基本給で高卒初任給4,000円・大卒初任給3,000円をはじめ30歳代半ばまでの号給で引上げ、地域手当で22年度12.05%・23年度12.09%に引上げ、勤勉手当0.1月引上げ、等々が盛り込まれた。このほか、臨時的任用職員・任期付職員等に対する通勤手当支給の仕組みや年次休暇の算定、休暇制度において改善が図られた。

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