忍者ブログ

学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.306(2023年2月6日)

 しんどいのは教員だけではない! 事務職員が仕事を引き受けるのではなく

学校業務全体の負担軽減を目指す労働組合運動へ

 

教員の精神疾患休職 過去最多

 学校現場の労働環境の悪化は、教職員の身体や生活ばかりではなく心をもむしばんでいる。
 昨年末、文科省は「令和3年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」を公表。調査結果概要の中で、教員の精神疾患による病気休職者数は5,897人と前年度から694人増加し、過去最多にのぼったとした。報道各社もこの結果を大きく報じ、朝日新聞は翌1月に「教員の精神疾患 実質的な働き方改革を」とする社説も掲載するなど、反響を呼んだ。
 現に学校現場で働いている私たちからしても、教員のそうした状況はもはや身近なものではないだろうか。
 過重労働や長時間労働が精神疾患につながることは論をまたない。精神疾患による病気休職者の増加、そして休職を飛び越して退職に至る教員もいる中、そうした状況を生み出す要因となっている学校の労働環境の改善が、急務であることは疑いない。
 

教員より高い事務職員の精神疾患休職率

 しかしながら、「教員の負担軽減」「教員が子どもと向き合う時間の確保」といった言葉のもと、教員が担ってきた業務を学校事務職員に代替させ、その負担を転嫁する動きが広がっていることは問題だ。
 私たちがくろう神奈川は学校事務職員の労働条件・労働環境に責任を持つ労働組合として、事務職員の業務負担増につながる考え方や政策には強く反対する。教員の負担軽減は人員増と業務縮減により解決すべきであり、学校内で別の職種に転嫁して解決すべきものでは断じてない。
 そもそも、今現在でも学校事務職員の労働環境は良好なものとは到底言えない。
 先の「人事行政状況調査」によれば同年度にいて、精神疾患による病気休職者が全体に占める割合は、教員が0.64%のところ学校事務職員は0.95%と、教員より高いポイントとなっている。これを踏まえれば、事務職員の負担軽減も教員のそれと同様に急務であり、「実質的な働き方改革」が求められるべき状況にある。
 

業務負担増に皆で立ち向かおう

 しかし事態は逆を行っている。「必ずしも教師が担う必要のない業務」の受け皿に事務職員を名指しし、「学校以外が担うべき業務」とされた学校徴収金業務さえ学校事務職員の標準職務に盛り込み、さらには「校務運営への参画」の言葉のもと教育活動以外のありとあらゆる業務を事務職員に押し付けようとする文科省。現場を顧みることなく文科省の「働き方改革」に乗っかる教育委員会。そうした文科省・教委を批判するどころか肯定的に受け止めたうえで「主体的・積極的に学校事務をつかさどる」「自分たちから率先して学校運営に参画」などとその真の意図を糊塗隠蔽し、事務職員への業務転嫁=業務負担増を事務職員の内部から推進する日教組(浜教組・川教組・神教組)。
 こうした中央・地方・御用組合の結託の結果が、教員より深刻な休職状況というファクトを抱える事務職員に対して、にもかかわらずさらなる負荷をかけようとする政策の進行なのだ。かねて指摘しているが、「学校における働き方改革」や「標準職務」通知にあたり、事務職員の職務実態は顧みられていない。そのうえで、教員に過重に乗っている負担をただ事務職員に乗せ換えようとしているだけの話だ。事務職員がそれに耐えられるかどうかは考えることもなく。
 これに対抗するとともに、学校現場で具体的に業務転嫁や過重負担を跳ね返せるのは、私たち学校事務労働運動=がくろう神奈川をおいてない。
 必要なのは学校業務全体の負担軽減であり、事務職員の献身や犠牲ではない。こうした課題で現に職場で苦しんでいる方。将来に心配を抱く方。思いを同じくする方。ぜひ当組合の門を叩いてほしい。
 

 

23春闘改善 大幅賃上げ実現を!
民間賃上げは公務賃上げの第一歩

 
 2023年の春闘がスタートした。ロシアのウクライナ侵攻や世界的な資源高に端を発したインフレにより実質賃金の目減りが止まらない中、労働組合全国組織の一つ、連合はベースアップ(ベア)5%増を掲げて経営者団体との交渉に入ったと報道されている。
 対する経営側は、賃上げの必要性を「共有」しながらも大手企業では今年の賃上げ幅を3%前後としており、基本給ではなく手当や一時金で措置しようとしている。消費者物価指数が約4%という高い比率で上昇を続け、エネルギー価格も上昇を続ける情勢下にもかかわらず、こうした経営側の姿勢は私たち労働者の恒久的な生活保障に背を向けたものと言わざるを得ない。
 昨年の神奈川県内の自治体職員の賃金改定状況を見ると、初任給や30代職員までの賃金引上げやそれに伴う会計年度任用職員の報酬額改定が行われたものの、引き上げ幅は極わずかなものであった。インフレ状況を反映していない勧告をほぼそのまま「提案」してきた県、市町村当局の無責任さは今さら指摘するまでもないが、民間賃金水準を決定する春闘は夏以降におこなわれる公務員賃金水準に影響するものであり、私たちは積極的に連帯、注目する必要がある。
 重要なのは、賃金とは経営者や行政当局が「決定」するものではなく、労働者と労働組合が「要求」するものだという点だ。今春闘における民間賃金水準の大幅引き上げと、それをもとにした人事委員会の調査・勧告、さらに各自治体当局による具体の賃金引上げに向けて、私たちの主体的な取り組みが求められている。
 また、会計年度任用職員と常勤、臨時的任用職員と常勤間の待遇較差も依然深刻だ。昨年の賃金(報酬)改定では、会計年度任用職員だけ実施時期を次年度(23年度)へ後ろ倒しされた。繰り返し任用を続けられる会計年度任用職員、臨時的任用職員の無期転換権確立と賃金引上げは、生活給保障という観点からも一体で求めていきたい。
 

 

各地区で雇用保障や労働条件改善に向けて活発に取り組む

 
【横浜】新採者への不当取り扱い許さない
 今年度の新採用学校事務職員1名について、横浜市教委当局が条件付採用期間を延長している模様だ。
 地方公務員法により新採用者は採用後の6か月間を「条件付採用期間」とされているが、任命権者は特に必要と認められる場合は1年を超えない範囲でこれを延長することが出来るとされている。
 条件付採用期間の職員はいわゆる「身分保障」が制限され、人事上の不利益処分を受けても人事委員会への不服申し立てができない。過去にも市教委当局は新採用者の条件付採用期間を不当に延長した上で処分を強行しており、今年度の条件付採用期間延長がそうした市教委による不当な取り扱いにつながらないよう、がくろう神奈川横浜支部は監視を行っている。

【川崎】臨任組合員の雇用継続を求め交渉
 最長1年の有期雇用である臨時的任用・任期付(以下「臨任」)の学校事務職員。常勤(「正規」)職員と同じ仕事を担い、繰り返し任用によりすでに10年以上勤続する職員も何人もいる。しかし、有期雇用ゆえに毎年年度末になると、次年度の雇用に不安を抱えている。本来、これまでの経験と業務遂行を正当に評価し、本人の希望に応じて正規採用すべきものだ。
 川崎支部は臨任組合員の加入以来毎年、当該組合員の雇用継続を求める取組を行っている。今年度も市教委当局に申入書を提出し交渉を設定。当該組合員の切実な願いと組合としての重大な決意・覚悟を突き付けた。併せて、長年勤続する臨任職員全体の雇用継続の必要性についても訴えた。

【湘南】査定昇給制度の不公平な運用を是正
 県は人事評価を基に昇給号給数を決定する「査定昇給制度」を実施している。がくろう神奈川はそもそも、一方的な評価のもと職員間に賃金格差を生じさせる同制度に反対だ。その上で、賃金は公平・平等に配分されるべきという立場から運用の是正を求めている。
 例えば藤沢市のある組合員の場合、過去7回中6回が上位(5・6号)昇給基準を満たす総合評価Aであるところ、それ以前を含む採用以来13回の昇給機会で一度も上位昇給がなかった。上位昇給は計算上、4~5回に1回は全職員に回るもの。基準を満たしていながら上位昇給から外され続ける職員の存在は、不公平・不平等な運用の一例だ。
 がくろう神奈川は、県教委に昇給の内申を行う藤沢市教委に対し「査定昇給制度に関する申入書」を提出。昨年10月に交渉をもった。市教委当局は内申にあたり「いたずらに差がつかないよう努める」「公平になるよう取り組む」と表明。考え方の一致を確認し、今年1月の昇給発令もそれに沿った結果となった。
 具体の事例をもって不公平な昇給運用の実態を認識させたことが、市教委当局の回答につながった。この回答は当然ながら個人ではなく全職員を対象としたものであり、事務職員全体にとっての成果だ。
PR

学校事務職員労働組合神奈川

連絡先
横浜市港北区篠原台町36-28
 東横白楽マンション602
shino3628★gmail.com
(★を@に変えてください)