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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.303(2022年6月13日)

「教員の負担軽減」は事務職員の責務なのか?

事務職員への際限なき業務転嫁を招く論理に立ち向かおう

 
 中教審(中央教育審議会)が学校徴収金の徴収・管理について、「本当は自治体が担うべきだけど学校が担わざるを得ない場合は事務職員に」という、自治体に逃げ道を与える前提のいい加減な答申を出してから3年。
 文科省が学校徴収金の徴収・管理について、「学校が担わざるを得ない場合」をあらかじめ想定して事務職員の職務と明文化した、本末転倒な「事務職員の標準的な職務」通知を出してから2年。
 その悪影響は学校現場をむしばんでいる。
 神奈川県内を含む全国の学校現場で、学校事務職員の業務増が進行している。それを加速させているのが、「学校における働き方改革」の名のもとに進められる「教員の負担軽減」のための、教員担当業務の事務職員への転嫁だ。とりわけその対象となっている業務が、「学校徴収金」業務であろう。
 誤解のないように言えば、問題の核心は「学校徴収金業務は事務職員が担うべきか否か」という限定的な話ではない。目下の傾向は、学校徴収金業務をやっていなければ学校徴収金業務が、すでに学校徴収金業務をやっていればさらに別の業務が、といった形でとにかくあらゆる業務が事務職員に押し付けられようとしているというもの。そうした「別の業務」も豊富に用意されている。就学援助、学籍転出入、教科書給与、ホームページ管理、ICT、地域連携、学校行事……と尽きるところを知らない。加えて、日教組事務職員部や全事研といった団体が程度の知れた「出世」に目をくらませて、あれもこれもとさらなる業務増を自ら推進していることも大きな問題だ。
 ともあれ、学校徴収金業務をやっていれば業務増はそこで止まるというものでない。学校徴収金業務をやってようがやってまいが結局、「とにかく事務職員はもっと仕事しろと」いじめられる構図だということだ。
 
 ところで一口に「学校徴収金業務」といっても、その内訳には「予算立案」「徴収」「支払」「出納管理」「決算報告」といった段階があり、「担当」といっても幅がある。
 こうした各段階の中で特に事務職員への押し付けが進行しているのは、「徴収」段階である。もちろんそれだけでも十分な負担増なのだが、少なくとも徴収し各学年に振り分けたあとの、予算立案・支払・出納管理・決算報告は各学年において主体的に処理するのが当然であるし合理的だろう。
 しかしながら、「学年会計も事務職員がやれ」という動きも広がりつつある。先ほどの話と同じ。「学校徴収金だけなら」が学校徴収金だけに止まらない、「徴収だけなら」が徴収だけに止まらない。「教員の負担軽減」を錦の御旗に掲げた事務職員への業務転嫁は、止まるところを知らない貪欲な拡大傾向を持ち続けている。
 そもそも学校徴収金の問題とは、教員が自身の教育活動の展開において公費を超えて児童生徒に財政負担を求める構図に、教員がどれだけ主体的意識を持っていくか、という問題ではないか。その点で「単なる会計事務だ」と扱うのは不適切だし、「単なる会計事務だから事務職員がやれよ」とすれば、ますますそうした意識は薄れていく。教員は、児童生徒から供与され事務職員が徴収管理するカネの、単なる消費者の意識に堕ちてしまう。その時、「教員の負担軽減」の裏側に付いて回る「子どものため」というお題目は、果たして信のおけるものであろうか。
 何よりも、数十人の教員の負担軽減は1~2人の事務職員の「責務」なのか?私たちは「否!」と考える。
 

 

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横浜 初任給決定時の前歴(経験年数)加算で改善を実現!

 
 横浜市ではこれまで、大学卒業資格を持たず採用された学校事務職員の初任給決定において、最終学歴卒業後の職歴等にかかる前歴(経験年数)が一切考慮されず一律に前歴加算なしの大卒初任給適用とされてきた。しかし職員によっては、最終学歴に応じた初任給に前歴加算を行った場合の方が大卒初任給よりも高位の号給となる場合があり、それに該当する職員にとっては不利益な制度であった。
 この問題についてがくろう神奈川横浜支部は、保有する学歴免許によって生じる初任給決定の較差は著しく合理性を欠くとして、市教委当局に対して是正を求め交渉を行ってきたが、当局は当初、前向きとは言い難い姿勢であった。しかし国家公務員においては、大卒資格を持たない大卒程度採用試験採用者について、大卒初任給と高卒初任給+前歴加算とでより高位となる号給を適用するという初任給決定方法がなされている。神奈川県や相模原市も同様だ。
 国のみならず同じ県内政令市でも行われている初任給決定方法を、横浜市が採用できない理由はない。こうした初任給決定の較差が職員採用に影響しているのではないかという懸念も持ち上がった。こうした要因から、この4月より改善が実現した。
 新たな初任給決定では、大卒資格を持たない者が大卒相当採用試験により採用された場合、「保有する学歴免許(短大卒・高校卒・中学卒)+職歴等の前歴加算」と「大卒初任給(前歴加算無し)」とでより高位の級号給が適用される。
 さらに今回の改善にあたっては、過去5年の採用者に対しても同じ方法で初任給決定をやり直す「現職者調整」も行われた。昨年がくろう神奈川に加入し、この問題の改善に向けた取り組みを推し進めた組合員も、この現職者調整により給与月額の大幅な引き上げと昇格の前倒しが実現した。
 豊富な前歴を持つ職員が、学歴免許の違いだけでそれを一方的に切り捨てられてしまうのは不合理な賃金差別だ。横浜市では改善されたが、川崎市ではいまだに同じ問題が残ったままだ。がくろう神奈川川崎支部もかねて、賃金交渉や人事委員会要請で毎年、改善を要求し続けてきている。横浜に続き川崎でも、初任給決定較差の撤廃を実現しよう!
「横浜市初任給、昇格、昇給等の基準に関する規則」今回追加された条項
(下位の区分を適用する方が有利な場合の号給)
第11条の2  第6条から第9条までの規定による号給が、その者に適用される初任給基準表の試験等欄の区分より号給欄の号給が下位である試験等欄の区分(「その他」の区分を含む。)を用い、又はその者の有する学歴免許等の資格のうちの下位の資格のみを有するものとしてこれらの規定を適用した場合に得られる号給に達しない職員については、当該下位の区分を用い、又は当該下位の資格のみを有するものとしてこれらの規定を適用した場合に得られる号給をもって、その者の号給とすることができる。
 

 

5月1日「神奈川メーデー」 世界の労働者と連帯し取組を展開

 
 がくろう神奈川が組織参加している「神奈川県労働組合共闘会議」(県共闘)など30団体で構成する「神奈川メーデー実行委員会」が5月1日、3年ぶりとなるメーデー集会を開催した。過去2年、コロナ禍の影響を受け同集会は開催できなかったが、今年は実施することができ大変うれしい。
「メーデー」の起源は1886年、米国の労働者が8時間労働制を求めてストライキを決行したことにあり、今では労働者の祭典として世界中で行動が取り組まれている。日本にでも8時間労働制や最低賃金制度を求めて始まったメーデーは、100年を超える歴史がある。
 労働者の権利確立・向上や反戦の取り組みに大きな力を発揮してきたメーデーであるが、近年は労働組合の組織率の低下や労使協調路線をとる労働組合の存在もあり、残念ながら影響力が低下しているのが実情だ。それでも、労働者がメーデーに結集し掲げてきた要求は今なお切実なものであり、戦争と軍拡が進行する今こそ、世界中の労働者がひとつの日に、生活・生命・権利を守る取り組みを展開する意義は重い。
 今年の神奈川メーデーは反町公園を会場に、約250人の労働者が集まった。集会では主催団体から、メーデーの意義や労働を取り巻く情勢分析、そして戦争反対の訴えがあり、参加団体からの春闘などの闘争報告や外国人労働者の労働歌、JAL解雇撤回争議を闘う労働者の報告と歌が披露された。
 集会後のデモ行進は有志によるものではあったが、県共闘を中心としたメーデー参加者60人により沢渡中央公園までの1.7kmを元気よく行進した。「最低賃金を1,500円に!」「労働者の権利を守れ!」「パワハラ・セクハラ許さない!」「戦争反対!」「9条改憲反対!」「核共同保有を許すな!」といった訴えを沿道に響かせた。労働者も社会の一員。地域に出て自らの主張を市民に訴えることは必要だ。メーデーの重要性を再認識した1日であった。
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