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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.302(2022年4月11日)

人員削減を招く共同学校事務室=共同実施

私たちはなぜ「共同学校事務室」=「学校事務の共同実施」に反対するのか

 
 学校事務職員をめぐり暗い先行きを語る論説が絶えない。「将来なくなる仕事に挙げられた」とか「AIに取って代わられる」とか「定型的業務をやっているだけでは生き残れない」とか、そこではとかく乱暴で脅迫的な言葉が用いられる。職員の人減らし合理化を進めたい自治体当局が言うならまだしも、事務職員内部でもそうした論説を好んで広める集団がいる。中でも日教組に至っては、文科省に「事務職員の定型的業務にはAIを導入しろ」と要請する始末だ。
 私たちがくろう神奈川=学労運動は、学校事務職の人減らし合理化・廃職攻撃に対して自らの生活と権利を守る立場から立ち向かう組合だ。その立場に基づく重要課題のひとつに、「共同学校事務室」=「学校事務の共同実施」(学校事務の組織化、学校間連携、事務連携…とも)に反対する取り組みがある。文科省と日教組がともに推進するこの施策に、なぜ私たちは反対するのか。組合紹介を兼ねて、ここで明らかにしていく。
 

事務職員の配置数の仕組み

 本題に入る前に、まず学校事務職の配置根拠について説明したい。私たち学校事務職員は多くの場合、1校に1人ないし2人しか配置されていない。一方で特別支援学校では3人・4人配置という例が多い。小・中学校でもごくまれに3人配置の学校が存在する。
「比較的小規模な学校は1人で大規模な学校は2人配置」というおおまかな認識はみなお持ちだと思うが、ここではもう少し深掘りしていく。(ただし特別支援学校は高等部も関係し論点が拡散するので別稿に譲る)
 教職員の配置数を決定する考え方のことを「定数」という。学校事務職員が1人配置なのか2人配置なのかも、その学校の「事務職員定数」が1人であるのか2人であるのかによって決まっている。この「定数」は一般に、法律や条例等に基づいて決定されており、学校事務職員の定数は義務標準法(公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律)にその根拠が定められている。
 義務標準法によれば、小・中学校1校に対する事務職員定数は基本は1人。これに小学校なら27学級・中学校なら21学級以上の場合、「複数配置」として定数は2人となる。また、要保護・準要保護児童生徒数が100人以上かつ25%以上の学校には定数が1人加わる「加算措置」がある。これらを総称して、「法定定数」もしくは「基礎定数」という。
 では、小・中学校で3人配置の学校は「複数配置」かつ「加算措置」の結果なのか?実はそうではない。そもそも要保護等による加算措置定数配置校は要件の厳しさと不合理から、該当校は非常に少ない。がくろう神奈川も参加する学校事務労組の全国組織「全学労連」の調べによれば、2020年度の要保護等加算措置定数は横浜市で5人、川崎市ではゼロとなっている。
 しかし、同年度の川崎市立小中学校では実に4校で、事務職員が3人配置された。どういうことなのか。これは「基礎定数」とは別の定数「加配定数」によるものだ。「加配定数」とは、学校個々の事情に応じて基礎定数に加えて配置する定数を指す。制度自体は法令上に定めがあるが、その数は毎年の政府予算により決まり、さらに申請数や配置先も任命権者が政策的に決定するもの。ゆえに政策に左右され定数として不安定であるという問題がある。基礎定数が客観的要件に基づく定数であることとは対照的だ。
 学校事務職員の業務量というのは基本的には学校規模に比例する。してみると加配定数配置校は業務量とは別の判断から、1人多く配置されているということになる。そしてこの学校事務職員加配定数の根拠は、「共同学校事務室」ないしそれに類する条件整備の観点からの「特別の配慮」とされている。
 

東京では共同実施で事務職員70人削減

 ここまで見ると、「共同学校事務室による加配で定数が増えるなら、人減らし合理化ではないではないか」と感じる人もいるだろう。しかし、それは「特別の配慮」の間だけの話。「共同学校事務室」=「学校事務の共同実施」の本質が、学校事務職員を学校から引き剝がし複数の学校の事務を集約的に処理し事務職員を削減することにあるのは、先行事例を見れば明らかだ。
 お隣・東京都でも「共同実施」による学校事務職員削減が都教委により進められている。東京都はそもそも、義務標準法に基づく基礎定数に反して複数配置や加算措置を行わず、学校規模にかかわらず1校1人とする独自定数基準を置いていた。そこにさらに「共同実施」の導入を進めた結果、これを受け入れた10市区では248校に対して事務職員配置178人と、実に70人もの削減状況が生まれている(21年度)。このうち狛江市は、10校に対して事務職員はわずか5人だ。負担の重さは想像に難くないし、そのような体制では学校事務業務もどれだけ円滑に遂行されるだろうか。
 こうした実態を直視すれば、「共同学校事務室」「学校事務の共同実施」「学校事務の組織化」で事務職員の負担軽減や労働条件改善や学校運営の改善につながるなどという発想は、幻想にすぎないことがよくわかる。だからこそ私たちはこれに反対しているのだ。
「事務組織を作れば序列ができる。出世の道ができる。昇格できる」と個人的欲望に転び、事務職員全体の労働条件も円滑な学校事務の基盤も掘り崩す日教組=浜教組・川教組は、事務職員が結集すべき組合ではない。がくろう神奈川こそ、学校事務職員の労働条件に責任を持つ、学校事務職員にとって真に必要な労働組合だと強く呼びかける。
 

 

あなたの身近な「がくろう神奈川」 横浜・川崎両支部アピール

 

横浜支部より

横浜支部は2022年度も職場の問題を第一にした取組を進め、さらに多くの学校事務職員の加入を呼び掛けます。この間、管理職からのパワハラ問題や任用継続の問題についてがくろう神奈川に加入することで問題解決につながるケースが続いています。それまで浜教組に加入していた方が、当の浜教組が職場交渉さえ怠る中、がくろうに加入(移籍)することで課題解決ができた例もありました。皆さんも2022年度こそ、躊躇わずにがくろう神奈川へ加入してください。
 

川崎支部より

市費移管以来、人事異動基準の改悪や業務環境・プロセスの一方的変更、差別的休暇制度導入など、市教委当局は学校事務職員をないがしろにする施策ばかり打ち出しています。加えて「働き方改革」の名のもと当局・校長・川教組が一体となり、事務職員にばかり業務負担増を迫る動きが広がっています。こうした状況に異を唱え、立ち向かい、労働条件の悪化を止められるのは学労川崎だけです。私たちは奴隷ではない。諦めるのは止めて、ともにまっとうな労働環境を獲得しましょう。
 

 

ウクライナ軍事侵攻反対!即時停戦を!神奈川県共闘が声明

 
 去る2月24日、ロシア軍が隣国ウクライナへ軍事侵攻したことを受け、がくろう神奈川も参加する神奈川県労働組合共闘会議(神奈川県共闘)は、「ロシアの侵略に反対し、即時停戦を求める」声明を発した。合わせて、同趣旨の書簡を駐日ロシア大使宛にも送付した。
 戦争はすでに2カ月目に突入し、戦火を逃れるウクライナからの避難民は国内外で400万人以上にのぼる。プーチン大統領率いるロシア政府は自国内の反戦の声を圧殺し、一般市民をも標的とした無差別な攻撃を続けている。
 それのみならずロシア当局は、核兵器の使用にまで言及している。核兵器禁止条約発効から1年が経ち、批准国が60か国になった今こそ、核兵器そのものを禁止する世界的な気運を作らなければならない。
 また、今回のロシア政府の侵略を契機に日本国内でも戦争放棄を定めた憲法9条の改悪や日米軍事協力強化を進める動き、さらには元首相らから「核兵器の共同保有」なる発言まで飛び出した。戦争の危機をあおり、改憲への口実にしようとする策動には断固反対しなければならない。
 いかなる理由があろうとも、隣人の生活を戦争という暴力で侵害することは許されない。平和な生活と仕事だけが世界の労働者共通の「利害」だ。ウクライナ、ロシアで平和のために闘う人々、平和を求める世界の人々と連帯して戦争を止めよう。

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