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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.300(2021年11月15日)

3政令市で賃金確定交渉取り組む

期末手当の引下げと会計年度任用職員への機械的適用は許せない!

 
10月の人事委員会勧告を受け、県と県下3政令市においてそれぞれ賃金確定交渉が進められてきた。
がくろう神奈川は横浜・川崎・相模原の3政令市に対し、各支部が先頭に立って交渉・折衝に臨み、大卒程度採用試験により採用された高卒資格者の初任給決定方法の改善(前歴加算の実施)や臨時的任用職員の賃金改善(特に相模原市が未だに設けている頭打ち=号給上限の撤廃)といった要求を重点に据え、取り組んできた。
また、各人勧で示された期末手当引下げをめぐっては、この数年来の「引上げは勤勉・引下げは期末」という「能力給」志向を批判するとともに、勤勉手当が支給されない会計年度任用職員に対してもこれを常勤職員と同じく機械的に適用するのは、均衡に反し社会正義に反すると強く訴えた。
当局は総じて、現行制度や慣例的運用を盾にするばかりで論理的な説明・反論のないまま組合の主張を退ける姿勢に終始しているが、要求なくして改善はあり得ない。今後も引き続き、労働条件改善を求めていく。

賃金確定状況の概要

横浜…11月17日最終回答(現段階では期末手当0.15月引下げの当局提案)
川崎…期末手当0.15月引下げ/住居手当の支給条件見直しと支給額一部引下げ
相模原…期末手当0.15月引下げ。
県…給料表の年功的給与カーブを見直し国を上回る部分を引下げ(経過措置4年)/期末手当0.15月引下げ。
 

 

マイナンバーカード取得状況調査で職員・家族の個人情報が流出!

問われるべきは政府のマイナンバーカード政策

 
10月下旬、川崎市教委内でマイナンバーカードの取得状況調査に際して、市職員とその被扶養者の個人情報が漏洩・流出する事案があった。
マイナンバーカード取得状況調査は、もともとは総務省の依頼通知により各自治体において2019年より実施されており、川崎市においても同年度から数度にわたり調査が行われてきた。
今回流出したのは、川崎市教委所管の全所属(事務局・小中高校・総合教育センター・給食センター・図書館等)の、地方公務員共済組合加入の全職員とその被扶養者に関する、所属と氏名、今年3月時点のマイナンバーカード取得状況といった個人情報だ。
どうして起きたのか。総務省の新たな依頼通知を受け川崎市総務企画局は調査の実施にあたり、職員と被扶養者の氏名や前回調査時の回答を記載したExcelファイルを各局に送付。これを受けた各局担当課は、所管の各所属ごとにファイルを分けたうえで各所属に送付し、回答を受けることとなっていた。ところが、市教委はこれを行わず全所属の職員・被扶養者の情報が記載されたファイルを、そのまま各学校に送付してしまったのだ。
いかに行政機構内部でのこととはいえ、本来知られるはずのない職員並びに被扶養者(=一般市民)の個人属性、親族扶養関係、極めてプライベートな判断・行動であるマイナンバーカード取得状況といった個人情報が、職員本人の所属外である実に百数十に及ぶ部署に向けて流出したものであり、重大な事案だ。
併せて、この個人情報流出が、政府・総務省による地方公務員に対するマイナンバーカードの取得状況照会・勧奨という政策の結果として起きたことも、重大な問題だ。この政策は、情報管理上の危険性や個人監視・管理の強化といった様々な問題が指摘されるとともに、そもそも取得自体任意であるマイナンバーカードについて、無理にでも普及させるためその手始めに公務員とその被扶養者を標的にして、取得状況の調査と一体での取得勧奨という圧力めいた方法により取得率を上げようとしたものだ。もとより照会・調査自体不当なものであり、批判の声が挙げられてきた。
そうしたマイナンバーカード取得状況調査が、それが行われなければ起きなかったはずの個人情報の流出を引き起こしたことは、ひとり川崎市教委の事務処理上の課題にとどまらず、マイナンバーカードの取得勧奨政策やマイナンバー制度そのものの意義・意味が改めて問われる。
今回調査の発端には、10/12付の総務省通知がある。そこでは「10月20日より本格運用が開始されるマイナンバーカードの健康保険証利用等を念頭」としている。しかし、マイナンバーカードを保険証として利用できる医療機関は10月時点で1割にも満たない。
自民党・公明党は来年の参院選を睨んだバラマキ政策に当たっても、「ポイント」をニンジンにぶら下げてマイナンバーカードの取得や保険証利用、銀行口座紐づけに誘導しようとしているが、人をバカにした話だ。人間をカネで操ろうとする輩というのは、古今東西を問わず心底軽蔑すべき悪党の典型だ。公務員には圧力を、市民にはカネをちらつかせて屈服を強いる政府・与党のマイナンバー政策を許してはならない。
 

 

「誰一人取り残さないデジタル社会」の正体とは…

 
がくろう神奈川も加盟する労働組合の共闘団体・神奈川県労働組合共闘会議は、9月21日に学習会を開催。「デジタル化社会に抗するには」をテーマに、「共通番号いらないネット」の宮崎俊郎さんに話をしてもらった。
9月に発足したデジタル庁は、デジタル化社会の司令塔的役割を持つが、早速、平井前デジタル担当大臣や官僚にNTTからの接待疑惑が発覚した。政府は「誰一人取り残さないデジタル社会」と謳っているが、逆に言えばこの国で生活する全ての人を、国の管理・監視下に置くことにほかならない。また、デジタル庁は多くの人材を民間から集めているが、このことがIT利権をめぐる官民癒着を生んでいる(※)。さらに、マイナンバー制度を利用した国民総背番号制や地方自治体ごとにある個人情報管理の全国共通化は、自己情報コントロール権を危うくする。こうした状況に私たちが抗するには、「アナログ選択権」の行使が重要だと、講師の宮崎さんは言う。
「なんでもデジタル化」に流されるのではなく、自己情報の管理やアナログを選択することを、個人としても労働組合としても必要に応じて選び取っていくことが大切だ。
(※)その後の報道で、デジタル庁の民間出身職員のほぼ全員が非常勤職員で、出身企業との兼業が大半を占める実態が明らかになっている。
 

 

教員超勤訴訟 一審原告敗訴判決
「渾然一体論」で司法の責任を放棄

 
10月1日、埼玉県の小学校教員が提起した超過勤務をめぐる訴訟の一審判決が、さいたま地裁で出された。
結果は原告敗訴。給特法における超勤4項目以外の超勤労働に対する労基法37条に基づく時間外割増賃金の支払という主位的請求と、労基法32条の定める法定労働時間を超えて労働させたことに対する損害賠償請求という予備的請求。このいずれも、裁判所は認めなかった。
判決の全体を貫いているのは、「教員の業務は、教員の自主的で自律的な判断に基づく業務と校長の指揮命令に基づく業務とが日常的に渾然一体となって行われているため、これを正確に峻別することは困難」とする≪渾然一体論≫だ。判決はこれに基づき、給特法の立法趣旨を肯定するのみならず、4項目以外の超勤の存在を極めて狭く認定したうえ、それでもなお認定せざるを得なかった法定労働時間超過(労基法32条違反)に対しても、給特法と≪渾然一体論≫を背景として「校長が労基法32条違反を認識し、あるいは認識可能性があったということはできない」とするなどして、違法状態さえ免責した。
労働事件において労働実態を「渾然一体」で済ませてしまえるのなら、裁判所なんかいらない。今回のさいたま地裁判決は、司法の責任放棄に他ならない。
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学校事務職員労働組合神奈川

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