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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.299(2021年9月13日)

コロナ禍の学校

感染症による差別や労働強化を許さない職場を!!

 
 8月。新型コロナウイルス感染症の第5波は過去最悪の感染拡大と死者・重症者、そして医療逼迫を引き起こした。菅政権の取る「ワクチン一本鎗」とその割に迅速性の欠いたコロナ対策は、変異株の流行とともに感染者の年代が変遷していく事態に対して、まったく対応できなかった。
苦し紛れに「若者はワクチンを打ちたがらない」などと根拠不明の責任転嫁を口にしつつ「若者優向け接種」を始めてみると、今度は接種枠を大幅に上回る希望者が殺到し、抽選に漏れた人たちが連日行列をなすという事態に。そんな泥縄式ワクチン施策の裏で、様々な理由から職域接種や優先枠の網にかからず、自治体や地域医療機関の接種予約も早々に埋まってしまう中で、接種を受けられない「普通の人」がまだまだたくさんいる。
 また、アレルギーやアナフィラキシーの懸念、その他体質や治療上の関係から接種できない人たちもいる。医師の判断を受けた人はもちろん、そうでなくともこれまでの経験から重篤な副反応を心配する人も同様だ。事は他ならぬその人自身の生命・健康に関わること。他人がその当否を云々するものではない。
 そんな中にあっても、政府や企業、マスメディア(すでに打った人たち?)は、ワクチン接種を前提とした経済活動緩和や「3回目接種」の是非を論じ始めている。職場ではワクチン接種状況の調査が行われ、それを理由とした差別や不利益取り扱いが現実に起きている。「ワクチン格差」がもたらす意識のギャップは深刻だ。かねて指摘されてきた感染者に対する差別に加え、ワクチン施策が新たな差別・分断をもたらしている。
 コロナ対応に伴う過重労働・労働強化の課題も今なお深刻だ。差別と労働強化は、ともに労働組合が闘うべき課題。私たちも取り組んでいく。
 

 
学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)は7月15日に定期大会を開催。運動方針重点目標を以下の通り固めました。引き続き、労働者の立場に立った労働運動を進めていきます。
 
○3政令市当局との賃金・諸権利交渉体制を確立・強化し、労働条件改善を勝ち取ろう。政令市費化による労働条件改悪を押し返そう。
○パワハラ・セクハラ・いやがらせ等のハラスメントを許さない取り組みを進めよう。
○共同実施導入と任用一本化に反対し、学校事務職員制度を守り抜こう。
○「働き方改革」「デジタル化」をテコとした労働強化・合理化攻撃を跳ね返そう。
○有期雇用職員の労働条件改善を前進させよう。雇用継続に取り組むとともに、無期雇用転換の道を切り開こう。
 

 

「無観客」でも「学校観戦」を強行!!

>>> 競争と分断のパラリンピックはいらない! <<<

 
 オリンピック同様、無観客となったパラリンピックだが、開催都県の首長からの強い要請で子どもたちを動員する「学校連携観戦」は強行された。
4都県のうち、静岡県はすべての学校が観戦を中止。埼玉県はただ1校、新座市の小学校が自衛隊朝霞駐屯地で開催された射撃競技を観戦した。千葉県は多くの学校の参加のもと観戦を始めたが、引率した教員からコロナ陽性者が出て途中で中止となった。そして、当初80万人の観戦を予定していた東京都。小池知事は最後まで意欲を見せたが市区町村の辞退が相次ぎ、最終的には杉並・渋谷・新宿・八王子の4地区と都立学校の合わせて120校9,568人が観戦した。引率教員や保護者からは「まさに命がけ」との声も。     
 パラの観戦における「教育的意義」とは何か?自衛隊基地に競技観戦に行くこと?「日の丸」を掲げ応援する渋谷区の小学校の報道もあったが、五輪憲章には「国家間の競争でない」ことが明記されている。国別メダルのランキングを含めて五輪憲章に反するものだが、首長らの考える「意義」とは大方こんなところか。悲劇だ。
 学校の現場では子供たちの分離・分断が進む。選ばれたトップアスリートの競技を一日見て、障がい者への理解が図られるのだろうか?かつて特別支援学校に通っていたミウラタケヒロさんはTwitterでこうつぶやく。
「障害のある人って何?小学生の頃、地域の小学校の校長に『君がうちの生徒と交流してくれたら学ぶことがたくさんあるんだよ。ふれあいを大切にしたいのでぜひまた来てください』と言われて、誰と交流するかは自分で決めるし僕は教材じゃないしふれあい動物園じゃないです」。
 もともと、パラリンピックは戦傷者のリハビリから始まった。競争に置くことで社会復帰を促すことが原点だった。現在では、スポンサーからの支援を受けられる一握りのパラアスリートたちが、高額な装具で競い合う。IPC(国際パラリンピック委員会)の決めた厳しい選考基準をクリアした選手だけが参加できる特別な大会なのだ。
「障がい者を対象としたもう一つのオリンピック」は、障がいを持つ多くの人々とは無縁の世界だ。競争と分断、差別と優生思想のオリンピック・パラリンピックはいらない。ひとりひとりの人格を尊重し、助け合いながら共に生きていける社会を目指したい。
 

 

映画評『日常対話』監督:ホアン・フイチェン(黄惠偵)

 
 母の過去を知りたいとカメラを回し、そして監督自身も過去と向き合うためにカメラを回す。本作は、監督が同性愛者の母との“対話”を試みるドキュメンタリーだ。
 カメラは使い方によっては暴力的になりうる。公安が勝手にデモ参加者の写真を撮ることもそうだし、ドキュメンタリーの撮影だって例外じゃない。「撮影」を英語で言うとシューティング(shooting)と言うが、射撃のことも意味する。カメラは人を攻撃する武器にもなり得るのだ。(ちなみに、この話は小田香監督の『ノイズが言うには』の上映後トークで聞いた。)しかし、この作品では、カメラを通してでなければできなかった“話す”、“聞く”を試みる。
 監督は母の元カノたちにもインタビューをしていて、母のモテテクなども聞き出している。ぜひ参考にしたい。一方、母と監督である娘二人の“対話”では、母が元夫から受けた暴力の話や、監督が父から受けた性暴力被害の話に及ぶ。この映画を撮らざるをえなかったのだろうという監督の切実な想いが伝わってくる。
 人には、なかったことにして誤魔化して日常を過ごしていたとしても、いつか向き合わなければいけない過去があるのかもしれない。この映画は、向き合ったあとに見える世界を少し見せてくれたと思う。(安)
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