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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.298(2021年6月28日)

定年延長決定-ーどうなる?労働条件  

 

定年延長は生活保障

 6月4日、参議院本会議で国家公務員法・地方公務員法の改正案が成立した。これにより私たち地方公務員の定年について、段階的に65歳まで引上げられることとなった。引上げは2023年度から始まり2年おきに1歳ずつ引上げ、31年度に65歳定年が完成する。
 そもそも公務員の定年をめぐっては、2011年に人事院が国会及び内閣に対し、公的年金の引上げに合わせて段階的に65歳まで引上げることが適当とする「意見の申出」を提示していた。それに沿った場合、引上げは13年度から25年度にかけて、つまり今からすればすでに順次引上げが実施されていたはずのものだ。しかし、定年延長は約10年にわたりその時々の政権による政局・国会対策の材料とされ、直近では安倍前政権による検察私物化人事「黒川検事長定年延長問題」の影響も受け、長らくたな晒しにされてきた。
 もうひとつの阻害要因は固定観念的な「公務員優遇」批判で、今回の法改正にあたってもそれは見られた。しかしそうした批判が、役職定年制導入を遠ざけ逆に再任用校長などの再任用役職者をここまで温存してきた事実は、皮肉に感じる。
 いずれにしても、本来は年金支給年齢引上げに対応した生活保障の観点から、早期に進められるべきものだった。
 

人事・給与をめぐる法律上の方向性は…

 さて、重要なのは定年延長後の労働条件がどうなるかだ。地方公務員の労働条件の具体は各自治体の条例で決めるものだが、改正地方公務員法においても人事と給与について、方向性が示されている。現段階ではこれについて見ておきたい。
 人事面では大きく、「役職定年制」と「定年前再任用短時間勤務制」の2点の導入が挙げられる。
「役職定年制」は、管理職の上限年齢を導入し同年齢後は非管理職に降任させるもの。年齢は条例で定めることとなるが、60歳と定めた国家公務員との権衡を失しないこととされている。
「定年前再任用短時間勤務」は、60歳以降定年前に退職した職員について、定年退職日相当日までの間再任用短時間勤務職員として採用できるとするもの。60歳以降の勤務は短時間で、という希望に応じる制度とされている。
 給与面では基本賃金について、60歳以降は60歳前の7割水準とした。また、その他給与・退職手当について国家公務員の定めとの均衡をとる旨の要請が盛り込まれており、その場合退職手当については、60歳までの基本賃金を基礎とした算定額と60歳以降の基本賃金(7割)を基礎とした算定額を合算したものとなる。
 いずれにせよ、労働条件の確定は今後の各自治体における条例制定によることになるが、その前提には労使交渉がある。この先1年以内に本格的な労使交渉が持たれる見通しだ。
 高齢層職員の労働条件は今の高齢層だけではなく、若年層も含めた全職員の生涯賃金に関わる。がくろう神奈川は全体の労働条件前進を目指し、交渉に臨んでいく。
 

 

 川崎発・デジタル化で狙われる行政の外注・人減らし合理化

 
 川崎市は5/31、総務企画局長名で全庁に対し「デジタル化の実現に向けた全庁業務量調査の実施について」依頼文書を通知した。
 それによれば、《行政手続のオンライン化等の「デジタル化」を実現するため、業務プロセスそのものの見直しを図る「業務プロセス改革」を推進する》としたうえで、現状の業務プロセスや業務量を可視化し改革を推進するため、コニカミノルタ㈱の《調査・分析ノウハウを活用して無償にて》全庁業務量調査を実施するというものだ。
 そんなコニカミノルタ丸抱えの調査の中身はというと、各部署のあらゆる業務を細切れに腑分けし、そのひとつひとつについて業務量のみならず《正規職員が行う必要があるか》《正規職員が行う理由は何か》を、その業務を担っている当の現場職員に対して示せと迫る、とんでもない内容だ。
 このことから「業務プロセス改革」のその先に、正規雇用職員をさらに減らして非正規雇用への転換を進め、あるいは民間企業への外注化を進める意図があることは明白だ。コニカミノルタはITソリューションを中核事業としているほか、関連会社では人材派遣も行っている。無償調査で得られる行政業務プロセスは営利事業上格好の情報。「タダより高いものはない」。その陰で行政職場の人員や労働条件はさらに切下げられていくのだ。
 川崎の動きは菅政権のデジタル化推進の延長線上にある。他都市への波及も懸念される。非人間的なデジタル化~行政合理化と対決しよう!
 

 

児童生徒の観戦動員はもちろん オリンピック自体の開催中止を!!

 
 今夏、政府やJOC・IOCが開催を強行しようとしている東京オリンピック。首都圏を中心に新型コロナウィルス感染状況が一向に沈静化しない中、学校現場に教育委員会を通じてあっせんしている観戦チケットをめぐり、神奈川県内では既に中井町などで全校一斉の観戦中止を決めていが、横浜市でも感染リスクへの懸念からか半数のチケットがキャンセルとなっている。
 開催の有無もさることながら観客数上限の規制がどうなるのか不透明な中、横浜の学校現場には市教委から現時点での「観戦意向」を確認する問い合わせが相次いでいる。政府はワクチン接種を遮二無二推し進め、何とかオリンピック強行開催にこぎつけようとしているが、世界的に変異株の罹患率も上がってきているばかりか、すでに訪日している海外選手にもコロナ陽性者が出るなど、オリンピックの開催が新たな感染拡大につながるであろうことは明らかだ。昨年来、学校現場では「感染防止」の観点から行事の縮小、中止が相次いでおり、オリンピックを観戦するために感染リスクをわざわざ冒す道理は存在しない。
 開場予定地の一つになっている横浜スタジアム周辺では野宿者の排除も始まっており、寿町の仲間たちが市当局に期間中の滞在先と食事について対応するように取り組みを進めている。開催に伴う人の流れは通常のプロスポーツのそれとは比べ物にならず、また海外からの人の流れも加わる。コロナウィルス感染をしない、させないという学校現場のこれまでの努力に矛盾するオリンピックへの児童生徒観戦「動員」もさることながら、オリンピックの開催自体、行うべきではない。
(※記事は6月21日時点)
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