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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.294(2020年9月23日)

7/17文科省 事務職員と教員の「標準職務例」通知

事務職員への膨大な業務増大に反対しよう!!

 
 文部科学省は7月17日、「事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について(通知)」を発出した。同通知は学校事務職員の「標準的な職務」並びに「積極的に参画する職務」の「参考例」を示している。文科省は同日、教員に関する同様の通知も発出した。
 事務職員・教員の標準職務明確化は、いわゆる「学校における働き方改革」の施策の一つとして位置づけられたもの。「標準職務例」は、わかりやすく言えば事務職員と教員双方の職務の「範囲」について、文科省が一定の方向性を示したものである。これが学校現場にどう影響してくるのか、私たち学校事務職員はこれをどう捉えれば良いのか。以下述べていきたい。
 

教員の標準職務例の従属物

 まず両通知の位置づけを整理しておこう。
先述のように両通知は「学校における働き方改革」を背景としている。そして「学校における働き方改革」をめぐる議論の中心は、終始一貫して教員の働き方や職務のあり方であったことを、想起する必要がある。そこにおいて、事務職員の労働環境や業務負担の改善・軽減という観点は一切出てくることはなかった。
 加えて、両通知の文書番号に着目すると、教員版が「2初初企第14号」で事務職員版が「2初初企第15号」とこれに続く。教員の標準職務例がまず先にあり、それを前提として事務職員の標準職務例があることをよく示している。
 今回の事務職員標準職務例は本質的には、教員の標準職務明確化を図るうえで「教師が担うべき業務の範囲」から外れる業務を事務職員に押し付けるために、教員の標準職務例の従属物として策定されたものに過ぎない。
 事務職員の標準職務例は独立した標準職務例としてあるのでは断じてない。事務職員の標準職務例だけを取り上げてその意義を見出したり論ずるのは誤りだ。
 

膨大な業務を事務職員に転嫁

 しかしその「程度の軽さ」は、同時に事務職員に対する要求の苛烈さとして表れている。そもそも事務職員の業務実態や負担を顧みることなく、ただ「教師が担うべき業務」から外れる業務を軒並み転嫁しているものなのだから、その職務範囲が膨大化するのは当然だ。
 事務職員の標準職務例に学校徴収金業務が盛り込まれたのは特に問題だ。学校徴収金業務をめぐっては「学校における働き方改革」の議論を通して「学校以外が担うべき業務」「地方公共団体が担っていくべき」とされていたにも関わらず、文科省は「仮に、学校が担わざるを得ない場合」をあらかじめ想定して事務職員の「標準職務例」に敢えて盛り込んだ。「学校以外が担うべき業務」だが学校事務職員の標準職務だ、という文科省の破綻した論理は、徴収金業務を学校内に残存させるだけだ。
 こうした論理が通用するなら話は徴収金にとどまらない。教員の業務範囲から外れつつ地方公共団体も手を差し伸べない広大な業務範囲を、ひとり学校事務職員のみに負わせる論理になる。行きつく先は殺人的業務量だ。
「標準職務例」には他にも、「事務全般に関すること」が「職務の内容」に盛り込まれている。いろいろ並べ立てた末に結局「全般」なんて話になるのであれば、こんなものは出す必要がないだろうと言いたくなる。
 通知はさらに、「積極的に参画する職務」の例も示している。これは主に副校長・教頭からの業務転嫁を意図したもの。こちらにまで「参画」したら、いったいどれだけの業務量になるか。にわかには想像できない。
 

通知は「参考例」に過ぎない

 ただ、この文科省通知に強制力はない。通知は標題の通りあくまで「参考例」に過ぎないし、実際の標準職務や職務配分に当たっては、地域や学校、当該校職員個人の実情を考慮するよう促している。通知を根拠にあの膨大な業務負担が機械的に現場に適用されるものではない。
 事務職員の働き方や業務量を顧みることなく教員や管理職の働き方(改革)の視点のみに基づいて策定された「標準職務例」によって、膨大な業務増大が強いられることは容認できない。文科省通知の実体化に反対しよう。 
 

 

県内・全国で拡大中 「パートナーシップ制度」導入

相模原市は職員の結婚休暇等にも適用!
 
 2015年、渋谷区で導入され大きな話題になったパートナーシップ宣誓制度。5年を経てすでに47の自治体に拡大。県内でも、横須賀、小田原、横浜に続き、この4月からは相模原、逗子が導入、6月からは川崎も。この先も拡大は必須だ。
 パートナーシップ制度とは、同性カップル等セクシャルマイノリティの人たちが申し出れば、自治体が証明書を発行する制度だ。法律的な効力はないが、手術の同意やアパートの賃貸契約等での効果が生まれている。神奈川県は県営住宅の入居条件に宣誓カップルを認めてもいるのだ。相模原市は制度導入を受けて、申し出があれば結婚休暇、忌引、介護休暇を認めると服務規定を改定した。
 同性等カップルの権利保障は証明書のある無しに関わらず必要なことだ。パートナーシップ制度には様々な条件付け等問題もある。性自認や性的指向は極めて個人的なものだから、本来は本人の申告ですむはず。けれど、この制度の導入で、少しずつ、認知・拡大される状況がある。自治体職場での権利拡大はさらに広げる大きな一歩となるだろう。先ずは全ての権利への拡大へ、そして大いに活用することだ。
 

 

【新書紹介】戦後補償を和解につなげるために

 
 安倍政権の下で韓国と日本の関係はかつてなく悪化した。戦時中に日本製鉄(現新日鉄住金)で強制労働をさせられた韓国人元徴用工が損害賠償を求めた裁判で、同社に賠償を命じる韓国大法院の判決が下されたことがきっかけである。1965年調印された日韓基本条約・請求権協定での国家間の合意を反故にする「ちゃぶ台返し」だと日本政府やマスコミが騒ぎ立て、影響は貿易や防衛問題にも波及し険悪な状況が続く。
 7月に刊行された内田雅敏著「元徴用工 和解への道―戦時被害と個人請求権」(ちくま新書)はこの問題を考えるうえで必須と思う。内田弁護士は中国人強制連行・強制労働の問題に長年深く関わり解決に尽力されてきた。
「戦後補償請求の解決をなすに際しては、①加害の事実及びその責任を認め謝罪する。②謝罪の証しとして経済的な手当(賠償・補償)をなす。③将来の戒めのため歴史教育を行う。この三点が不可欠」と内田さんは言う。鹿島建設(旧鹿島組)花岡和解はこの先例となり、後の西松建設(旧西松組)広島安野事案、三菱マテリアル(旧三菱鉱業)事案での和解内容はより一層充実したものとなった。その経験を踏まえて問題解決の具体的な方向性を示している。


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