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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.290(2019年11月18日)

教員への1年単位の変形労働時間制導入 法案出る

働き方改革の名のもと長時間労働を追認・固定化し

社会全体の労働環境悪化を招く給特法改正法案反対!

 
 政府は10月18日、「公立義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」の一部改正法案を閣議決定し、現在開会中の国会に上程した。
 同法案は、教員の1日あたりの勤務時間を1年単位で増減させることが出来る「1年単位の変形労働時間制」を自治体の判断で導入出来るようにすることが柱。学期中などの繁忙期の勤務時間を長く設定し、その分を長期休業期間中などに休日等として振り分けることにより、休日のまとめ取りが出来る、としている。
 しかしこれは、8時間労働制の原則を更に大きく歪めるものであり、学校の長時間労働を追認・固定化し合法化・常態化していくものに他ならない。4月の長時間労働の疲労を8月に回復させるという発想は働く者の健康を顧みない無謀なものだ。
 さらに、同制度は本来なら労働基準法に基づき、労働者の過半数代表との労使協定締結を必要とするところ、本法案では協定や合意はおろか労働組合など労働者側との交渉さえ必要なく、条例を制定するだけで導入できることとされている。労働者保護法制としての労基法を真っ向から否定し突き崩そうとするものだ。
 このような法案が通過すれば、その悪影響はいずれ労基法自体にも及び、教員に限らず全公務員に、公務員に限らず全労働者に拡大し、日本社会全体の労働環境がますます悪化していくことになるだろう。
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 1年単位の変形労働時間制導入を盛り込んだ今回の改正法案は、学校における「働き方改革を推進するため」としている。しかしその中身が、長時間労働の解消ではなく長時間労働の一方的な合法化だというのだから、政府・文科省の言うところの「働き方改革」の欺瞞はここに極まった感がある。
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 学校の多数を占める教員の勤務時間が制度的にも長時間化されれば、学校全体の働き方働かされ方が変わっていくことになり、同じ学校で働く私たち事務職員も無関係ではいられない。
 がくろう神奈川も参加する全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)は、毎年実施している秋の中央行動において、今回の給特法改正法案への反対も訴えていく方針だ。がくろう神奈川も全学労連のもと取り組んでいく。
 

 
「学校事務の共同実施」20年度実施方針を止めた日野市の学校事務職員

共同実施は事務職員の雇用も円滑な学校運営も破壊する

 
 複数の学校の事務職員が定期的に集まり、事務の共同処理を進める「学校事務の共同実施」。「学校間連携」「事務連携」「相互支援」など自治体により名称や位置付けはまちまちだが、共同実施ないしそれに近いものが県内でも徐々に広がっている。
 しかし「共同実施」は学校事務合理化の施策の面が強く、「共同実施」推進の先には事務センター化、人員削減、非常勤化、そして廃職まで想定される。こうした想定は現実に、「共同実施」先行県において臨時・非常勤職員の増大が顕著であることや、明確に人員削減を目的に掲げ導入を進めようとしている東京都を見れば明らかだ。東京都狛江市では、本来は学校ごとに1人配置される事務職員を拠点の1校のみに集約するとともに人員を削減して、10校分の事務を5人で行う共同実施体制が敷かれている。
 出世欲にかられた一部事務職員はしゃかりきに推進しているが、事務職員全体の立場からすれば労働条件と雇用を破壊するものであり、自らの墓穴を掘る愚行に他ならない。
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 そんな東京都。共同実施導入を進める都教委に対し市区町村教委ごとに対応は異なる。そんな中、日野市では市教委が一度は「20年度実施」としたところ、事務職員から課題を綿密に示したことで白紙になる出来事があった。
 示された課題は、人員の不足、「中間組織」たる共同実施組織が学校と市教委の間に挟まることによる組織系統と業務の煩雑化(教委も学校も)、学校現場で生じる混乱、共同実施組織と学校現場の分担の問題など。どこの現場でも同じように考えられる課題だ。市教委の認識と実態の食い違いも指摘されている。
「共同実施は働き方改革に有効」というのが最近の推進派のアピールだが、実際は決してそうではない。人員削減でも出世欲でも、邪な意図で学校事務職員制度を弄ぶことは許されない。 
 

 

天皇代替わりと学校ー祝意の強制はごめんだ!

 
 新天皇の即位儀式が続いている。政府は5/1(即位当日)と10/22(即位の礼)を「国民こぞって祝う」として祝日にした。驚いたのは子どもたちへの指導を求める通知が文科省から出されたこと。条文に天皇への「敬愛」「共感」を盛り込んだ退位特例法や、宗教儀式そのものである即位式典を国事行為で行うとした憲法無視の閣議決定などを添付した4/22付文科省通知がそれだ。日本会議系右翼議員である赤池誠章・自民党文部科学部会長は、自身らが通知の発出を求めたこと、内容的には不充分でありさらなる通知を求めていく旨をブログに記している。学校に政治的に介入する立場が赤裸々だ。
 八王子では4月、昭和天皇の墓に退位の報告をする天皇(現上皇)夫婦の出迎えに地元小学校3校の子どもが動員され、沿道で「日の丸」を振って迎えた。大阪市立泉尾北小では、5月連休明けの8日に「即位記念朝礼」が開かれ、「愛国の歌姫」と称する女性シンガーソングライターが「神武天皇」「仁徳天皇」「令和の御代」の歌と話をしたという。
 教育基本法「改正」から13年。道徳が教科になり、社会の教科書にも天皇が積極的に登場する。浸透する土壌は出来つつあるように思う。
「嵐」の登場した民間式典等、若い人たちをターゲットにした取り組みも盛んで、「天皇」や「日の丸・君が代」「万歳」が何のためらいもなくメディアから垂れ流されていく。そして、それらと地続きで、「天皇」や「愛国心」教育が学校に入り込む。
 学校は人権を学ぶ場だ。人間が神になる儀式、神話に基づく神器を継承する儀式を教えることなどできない。天皇代替わりに学校を、子どもたちを巻き込むな! 
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