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学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」

「連帯」No.281(2018年3月12日)

横浜新人学校事務職員解雇撤回闘争

報告集会へご参加を!


 2012年4月、横浜市に学校事務職員として採用されたSさんは、未経験で単数校に配属された。学校事務の仕事を理解・習得しようと学びつつ進行する仕事も頑張ってきたが、管理職も市教委も「仕事が遅い」「間違いが多い」と決めつけ、条件附採用期間の半年延長、そして年度末には分限免職処分となってしまった。
 この間、Sさんが加入していた職員団体は何もせず、相談しても「弁護士の紹介ならできる」程度の対応であったという。Sさんは処分直前にがくろう神奈川に加入。がくろう神奈川は半年近く市教委と交渉を重ね、処分理由のひとつとされ戻入もさせられようとしていた時間外勤務手当「不正受給」について、支給された手当以上の時間外勤務があったことを認めさせた。当然戻入はなくなり、処分理由としても崩れた。
 また13年9月、横浜地裁に処分の取り消しを求め提訴し、毎回傍聴席を満員にさせながら裁判を闘った。市は処分理由を具体的に立証できず、証人尋問でも圧倒し勝訴の期待は高まったが、地裁は訴え棄却。控訴したが東京高裁もまた内容を見ることなく棄却した。
 上告審の厳しい見通しを踏まえ闘いの終結を決断しましたが、こうした恣意的・でたらめな解雇が繰り返されないよう、教訓を共有化し今後に向かいたいと思います。報告集会への参加を訴えます。

横浜新人学校事務職員Sさん解雇撤回闘争報告集会
2018年4月17日(火)18:30〜20:30
横浜市開港記念会館 第1号室


学校における働き方改革

タイムカードは労働者の味方か?


 2月9日、文科事務次官名で都道府県・指定都市教育長宛にこのかんの「学校における働き方改革」の議論を踏まえた通知が出された。この議論の中では、学校職員の長時間労働解消に向けた方策としてタイムカードの導入が挙げられており、今回の通知にも盛り込まれている。
 労働者の労働時間を適正に管理・記録することは使用者の責務であることは、言うに及ばない。しかし、だからタイムカードなのだというのは強引な論理だ。
 そもそも一般に、労働時間の管理・記録はそれ自体が長時間労働を抑制するものではない。実際に抑制する機能は、時間外割増賃金の支払いを義務付けた労働基準法37条がそれを担っている。長時間労働を抑制し、労働者の命と健康と生活を守るために時間外割増賃金の規定があり、それを適正に支払う上での必要から労働時間の管理・記録が必要なのだ。
 ところが、教員については給特法の定めにより労基法37条は適用除外とされている。割増はおろか超過勤務分の賃金さえ支払われていない。長時間労働抑制のための、基本的な枠組みから外されてしまっているのだ。学校においてタイムカードの導入がこれまで進まなかったのも、この点が要因にあろう。必要のないところに手段は付いてこないという、当たり前の話だ。
 長時間労働を抑制する機能は、あれこれと考えるまでもなく労基法にしかと定められている。であれば、今からでもこれを適用するのが当たり前の考えだと思うのだが、中教審・文科省の論議はそうではない。≪時間外手当の支給はともかく、労働時間の管理・記録により長時間労働を抑制する≫という、改善策とそのための手段をあべこべにした考え方がここまで進められている。
 手段に過ぎないタイムカード導入は、長時間労働を規制する役割は果たし得ない。≪長時間労働の実態が可視化されることで改善が進む≫とはいかにも官僚が言いそうなことであるが、長時間労働の可視化は既に調査により明らかになっており、だからこそ解消が必要だというのが「学校における働き方改革」の出発点のはず。話が矛盾する。必要なのは、可視化された後にいかに抑制の機能を働かせるかという点である。
 その上で、ちょっとした交通渋滞や列車遅延、家庭や健康上の事情等により1分2分始業に遅れた程度でも、機械的に「遅刻」と断じるのがタイムカードである。タイムカードは本質的に、超過勤務は規制しないが、時間内へのわずかな食い込みも容認しない。労働時間の記録は必要であるにせよ、その手段がタイムカードでいいのか、新たな管理強化の導入なのではないかという点は慎重に考えられるべきだ。
 労基法が想定している職場は、時間外労働があれば時間外割増賃金が発生し、使用者はその支払い負担を抑制するため個々の労働者の業務負担を精選し、時間内に業務が終了する職場環境を確保する、という構造だ。「業務改善」の大号令もそうだが、構造を無視した小手先の対策は、改善どころか労働者をさらに窮屈にする。


政府・働き方改革関連法案

誰のための「働き方改革」なのか


「改革」「改善」と言えば“それまでを改めて良くすること”なのだが、どうも安倍政権が使うとそうではない。
 今国会で働き方改革関連法案が論議されているが、政権側の答弁はあまりにもお粗末だ。「裁量労働制拡大」では、提案根拠となるデータ自体に多数誤りがあった上、恣意的な比較手法が明らかになった。「裁量労働が過労死を招く」との批判に対して「労働局の特別指導で防げる」とした政府答弁も、過労自死→労災申請があって同局が動いたものであった。人が亡くならなければ違法状態でも野放しのままなのだ。
 裁量労働制拡大の法案化は労働組合や野党の闘いにより断念に追い込んだが、なお狙われている「高度プロフェッショナル制度」も危ない。この制度は労働時間規制を外し、いくらでも働かせられて残業代もゼロというもの。対象年収要件は1075万円以上とされてはいるが、将来的には400万円が想定される(自民党の支持母体である経団連が提唱)。この年収要件の改訂は省令で可能。多くの労働者の8時間労働制が壊されかねないものなのだ。
8時間労働制の破壊を許すな!
 安倍首相の就任早々の発言を思い出して欲しい。「この国を世界で一番企業が活躍しやすい国にする」である。働き方改革関連法は企業のためにあり、そこで働く者の命や権利を奪うものでしかない。働き方改革と言うのであれば、違法労働をなくすための監督強化や過労死根絶のための勤務間インターバル規制(終業時間から翌始業時間まで一定時間以上空けること)の導入が何より必要である。
 折しも春闘期の今、安倍政権の退陣を求め、8時間労働制の破壊を許さず、過労死のない社会を実現させるため行動しよう。
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学校事務職員労働組合神奈川

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