8月2日、控訴審が東京高裁で始まった。免職取消を求めるSさん側は詳細な控訴理由書を5月に提出。法廷では代理人弁護士が、原判決の事実認定には多くの誤りがあり口頭弁論を行うよう強く求めた。しかし裁判長は、双方の主張は尽くされているとして結審を宣告。10月18日判決となった。
法廷にはこれまでと同様、40名近い支援の仲間が駆け付け、終了後弁護士会館で報告集会を行った。
代理人弁護士の解説
〇裁判官は一審の裁判記録と、控訴審にあたって双方から提出された新たな書証を含め、4カ月かけて一審判決を検討し判決を書く。控訴理由書をどこまで読み込むか。見通しは楽観できないが、即日結審即こちらに不利ということではない。
〇処分の妥当性、均衡が一審の争点の一つだった。Sさんと同じかそれ以上に深刻なミスをしたベテラン職員に対する軽微な処分との不均衡を一審は認めなかった。新人のフォロー体制の不十分さを認めない一審判決は許されない。高裁の判断に期待したい。
〇通常の労働裁判なら和解の提案がまず出るが、行政相手だから和解はなしということか。一審判決の事実認定については大いに争う余地がある。Sさんに免職にするほどの能力不足などなかったことは明らかだ。それを口頭弁論で明らかにしたかった。
当該・Sさんのアピール
弁護士さんが力を入れて書いてくれた控訴理由書を、裁判官はきちんと読んでほしい。一審の敗訴には落ち込んだが、やることはやったという気持ちで判決を待つ。長かった裁判もあとわずか。もうしばらく支えてほしい。
支援の方々から激励
〇この裁判で学校事務職員の抱える問題が明らかになった。単数配置、支援の不十分さ、そして特に市教委の許しがたい体質…感情論・印象論で動く、無知なうえに勝手な解釈を施す、嘘で塗り固める。Sさんが裁判に訴えたことで、市教委にも慎重さが出てきたように思う。
〇一審判決には正直めげたが、Sさん本人は一層そうだろう。判決の如何にかかわらず横浜市教委のひどさを追及していこう。
〇一審判決で司法への信頼が崩れた。この裁判は日本中の労働者の問題、日本の司法の問題だ。
また、組合が呼びかけた公正な判決を求める高裁宛要請書への団体署名は120団体にのぼり、多くの労働組合や団体の注目を示した。いよいよ裁判は大詰め。控訴審判決、傍聴席を一杯にして見守ろう!
控訴審判決
10月18日(水)13:15から
東京高等裁判所8階809号法廷
※東京高裁は荷物検査があります。時間に余裕を持って来てください。
今年6月、中教審初中教育分科会に「学校における働き方改革特別部会」が設置され、7月以降4回開催されています。8月末には「緊急提言」も出されました。
学校現場の常態的な長時間・過重労働の問題は近年、社会的にも徐々に知られるようになってきました。私たちも、学校事務職員に限らずあらゆる働く人の過重労働が解消されなければならないと考えます。
しかし、「働き方改革」の名の下に進められている同部会の議論を見るに、その本気度ははなはだ疑問です。
緊急提言は【校長及び教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること】【全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと】【国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること】の3点を打ち出しました。要は現場の意識や取り組みが足りない、と言っているようなものですが、文科省に責任はないのでしょうか。道徳教育、小学校英語教育、全国学力学習状況調査、地域連携、教員免許更新制……学校現場がやらなければならないことを増やしているのは、国であり文科省ではないでしょうか。
そもそも教職員が長時間・過重労働を強いられている根源は、時間外勤務手当等の支払を不要とし教員を「定額働かせ放題」の立場に置く給特法にあります。際限なく増え続ける学校の業務や教育内容、求められる役割の膨大な山は、残業代を払わずにいくらでも働かせられる教員という存在にタダ乗りすることを前提としているとしか思えません。時間外勤務手当等の支払が必要ないからこそ、かえって学校になんでもやらせようという転倒した状況になっています。まず給特法を廃止すべきです。
一方事務職員をめぐっては、【学校教育法等が一部改正され,事務職員の職務規定が見直された趣旨を踏まえ,副校長・教頭,教員と事務職員との間での業務の連携や分担の在り方を見直す等,事務職員を活用すること】が謳われています。要は副校長・教頭・教員の業務を事務職員に押し付けようという、たいへんわかりやすい事務職員への労働強化です。絶対に許せません。「チーム学校」路線を継承した一連の攻撃であり、双方を貫く批判・反対の声を上げていくことが重要です。
学校現場の長時間・過重労働の解消は、学校が負う業務・役割そのものの縮減という抜本的な形でなされるべきことです。部会での議論は「教員の多忙解消」が中心となっていますが、だからといって業務負担を単に学校内で、単に教員から事務職員に、付け替えるだけということになって良いはずがありません。現場の望みは、抜本的な業務縮減と教職員定数改善にこそあります。
政令3市に賃金要求書を提出
政令市移管により政令3市では、賃金闘争の相手も県から市へ。がくろう神奈川は3支部間で取り組みを共有しつつ、8月中旬から9月中旬にかけ、3市にそれぞれ賃金要求書を提出しました。
基本賃金アップ、臨任賃金の大幅改善、移管による不利益の是正等を求め、原則的な要求を掲げて闘っていきます。