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「学労川崎」828号(2025年12月18日発行)

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初任給経験年数加算上限=臨任・任期付職員給与上限 市議会で市当局答弁

「27年中の規則改正を目途に進めている」

 

市労連と市当局に黙殺された上限撤廃

 学労川崎が長年取り組む、臨時的任用職員・任期付職員の実質的な給与上限として機能している「初任給経験年数加算上限(10年=40号給)」の撤廃。今年の人事委員会「給与報告及び勧告」ではこれを念頭に「初任給制度の見直しを行う必要がある」と明記され、上限撤廃実現の期待が高まりました。(本紙825号参照)
 しかし賃金確定交渉ではまさかの先送り。学労川崎は教育委員会当局に速やかな実施を強く求め、教委当局も強い理解を示したものの、川教組・市職労等から成る市労連と市当局がこの課題を一切黙殺し議題にさえしないまま合意に及び、不透明感が漂いました。(本紙826号参照)


有期雇用への差別賃金に再び議会質問

 しかしこのほど、12月市議会の「代表質問」(議員個人としてでなく会派を代表して行う、会派の総意たる質問)で、自民党市議団と共産党市議団がそれぞれ上限撤廃について質問してくださいました。
 この問題は1年前にも、学労川崎の要請書をもとに自民党市議団が代表質問で取り上げ、その際市側は「見直しに向けた検討を進めたい」と述べていた経緯があります。これを踏まえ自民党市議団は「今回の先送りは臨時的任用職員の処遇改善を少なくとも1年遅らせる結果」と批判し、検討状況・スケジュール等を質しました。
 これを受け初任給規則を所管する人事委員会事務局長は、「令和9年(27年)中に人事委員会規則を改正することを目途に、関係局と協議しながら検討を進めている」と答弁。期限を区切った形で改正の道筋が示されました。
 共産党市議団も「学校事務職員等の臨時的任用職員」と対象を具体的に挙げ「初任給加算の10年の壁」との表現で批判。市側は同様に「関係局と協議しながら検討を進めている」と答弁しました。

今度は労働組合の番!

 有期雇用では10年を超えて勤続していても10年分しか賃金に反映されない現制度は、労働条件の問題であるとともに人権問題でもあります。そのことが、良心的な議会会派にも響いたのだと思います。
 今度は労働組合の番。私たち学労川崎は有期雇用職員への賃金差別撤廃を真剣に目指す組合として、上限撤廃実現に向けた労使交渉を続けていきます。
 

 

年休の時間取得制限撤廃を目指す取り組み

人事委員会の棄却判定に対し訴訟に踏み切る

 
 学労川崎は昨年5月、人事委員会に対し、年次休暇の時間取得制限(5日=40時間)撤廃を求めて措置要求を行いました。しかし人事委員会は今年3月、撤廃の必要はないとする棄却判定を行いました。
 これに対してこのほど、学労川崎は本部組合のがくろう神奈川と協力し、書記長・伊藤を原告として棄却判定取消請求訴訟すなわち裁判に踏み切りました。

市費移管で切り下げられた権利

 私たち学校事務職員を含む小中特別支援学校教職員は2016年度まで、県費負担職員として県の休暇制度が適用され、年次休暇の時間単位での取得に制限はありませんでした。しかし市費移管された17年度からは5日=40時間までと制限されるようになりました。学労川崎は交渉で制限導入に強く反対しましたが、川教組は合意し改悪が強行されました。
 学労川崎は以降も「制限撤廃」を毎年要求し労使交渉を行ってきましたが、平行線が続きました。その一方22年度には、教員と学校栄養職員のみの制限撤廃で市教委当局と川教組が合意。学校事務職員の休暇制度改善は川教組から切り捨てられました。


全国最低なのに「概ね同様」

 学労川崎はこの状況を打開するため、昨年5月に人事委員会への「措置要求」を行いました。
 制限撤廃は多くの職員にとって利益であるとともにいかなる職員にも不利益は生じず、人事委員会が謳う「ワーク・ライフ・バランス」にも資するものです。
 また地方公務員の労働条件については、国・他自治体との間に権衡(バランス)を失しないようにしなければならないとする「均衡の原則」が地方公務員法で定められているところ、年休の時間取得では国と政令市の大半には制限がなく、制限のある政令3市も川崎よりは好条件です。川崎市の条件は全国最低であり、均衡の原則に反する状況です。
 にもかかわらず人事委員会は今年3月、措置要求を「棄却」。年休の時間取得制限について撤廃の必要はないと判定しました。こちらの述べた材料はほとんど無視し、均衡の原則をめぐっては要求と無関係な要素を並べ立てて「年次休暇制度全般については、概ね同様」と強弁する無茶苦茶なものでした。


制限撤廃へ皆さんの支援を

 学労川崎はこうした非論理的な不正義を容認しません。無理が通って道理が引っ込む川崎市行政であってはならないという思いから、裁判に踏み切りました。同時に、全国最低の年次休暇制度下にある川崎市職員全体の労働条件改善を、真に実現しようとする取り組みでもあります。
 12/3に初回の口頭弁論がありましたが、川崎市側は5人もの弁護士を立てながらわずか8行の答弁書を提出するのみで出席さえしませんでした。対する私たちは、弁護士も立てない本人訴訟です。
 率直に言って裁判は負担です。勝っても金銭的な利得はありませんが、それでも時間も費用も実務的労力も心理的負担もかかります。
 だからこそ、思いを同じくする方々は学労に加入しこの取り組みを支えてほしいと思います。皆さんのアイディアは訴訟の材料になりますし、組合費は訴訟費用を支えます。何より組合員の存在が、心理的支えになります。学労に加入いただくことが、川崎市の非論理的行政を正し年休時間制限撤廃を目指す取り組みへの最大の支援となります。ぜひ!
 

 

第3次教職員の働き方・仕事の進め方改革の方針

12/24までパブコメ募集中

 
 11/25、川崎市教委は「未来を育む学校サポートプログラム(第3次教職員の働き方・仕事の進め方改革の方針)」の素案を公表しました。
 素案で事務職員への言及はP40。「プロブラムの具体的な取組内容」の章で、「教員の更なる負担軽減に向けて、教員以外の職種が担える業務等を整理するとともに、学校における業務分担や執行体制の見直し等を行い、効率的・効果的に業務を推進する体制を構築」として「学校事務職員の執行体制の見直し」が挙げられています。
 これは明らかに、目下打ち出されている「学校事務職員の在り方に関する今後の方向性(案)」を念頭にしたものです。そして一連の記載を通して、その位置づけが「教員の更なる負担軽減」のためでありそのために事務職員の業務増が狙われていることもまた、明らかになりました。
 一方、事務職員の業務負担に着目した記載は見当たりません。素案全体としても「「川崎市の教員になりたい」、「川崎市で教員を続けていきたい」と考える人が増えるよう、取り組んでいきます」(「はじめに」より)と、徹頭徹尾教員目線です。
 近年はさすがに中教審の部会でも、事務職員の業務負担への懸念や校内での業務転嫁ではいけないといった指摘がしばしばなされています。川崎市教委の意識は周回遅れです。
 事務職員に関すること以外も含め、「プログラム」を見て感じることは多いと思います。12/24までパブコメも募集されています。市内在勤者として、皆さん提出可能です。積極的に声を寄せてみては。


 
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